弓月ひろみさんジャイアン鈴木さんによる会場で見つけたワークスタイル変革のヒント
「DISわぁるど in 北陸 かなざわ」レポートその3
2日間に渡って行われた今回の「DISわぁるど」のなかから、注目したい製品を取り上げるトークセッションを当サイト主催で行った。当サイトの所長である、まつもとあつしを進行役として、ガジェット系に強く当サイトでも執筆していただいている、タレントで文筆家の弓月ひろみさん、そしてIT系フリーライターのジャイアン鈴木さんに登壇いただき、会場で見つけたユニークな製品や、北陸でお馴染みの企業でスマートな働き方につながるアイテムを紹介した。
文/編集部 撮影/篠原孝志
ガジェット好きの2人が気になった製品とは?
まず、前日から実際に会場を見て回った弓月ひろみさんとジャイアン鈴木さんが、気になった製品をピックアップし紹介した。弓月ひろみさんが取り上げたのは、ニーズにぴったりな専用デバイスを作成するジェネシスホールディングスの「ムービーブック」。
「最初、名刺とか販促の文具かと思ったら、開けるとディスプレイがついていて、動画が自動的に再生されるというもの。このサイズから少し想像がつかなかったので、ちょっとビックリしました」と弓月さんがコメント。執行役員の葉山大輔氏によると、現時点ではどういう業態にフィットするのか模索中で、会社案内やメモリアルの用途、作業のマニュアルといったものに使えるのではというお話はきているそうだ。
弓月さんが気になったポイントとしては「すごくアナログ感とデジタル感が合わさったものであることと、いまはどうしてもスマートフォンやタブレットで見るのが当たり前の時代のなか、本を開くとディスプレイが現れてコンテンツが表示されるのが面白いと思いました」。
単にタブレットを渡されて、会社案内が表示されるよりは、こういった本のような形態のものを渡され、開いた瞬間に映像が流れるという一風変わったギミックがあるほうが興味をひくはず。家族の思い出を残しておく手段としても最適で、BtoC向けの新たなツールになりうるだろう。
一方、ジャイアン鈴木さんは、HULLの双方向翻訳機「FreeTalk」を取り上げた。持ち運びが簡単で、このような展示会などで海外の人と会話するときに重宝するアイテムだが、最近はこの手の翻訳機械をよく見かける。
ほかの機械との違いとしてジャイアン鈴木さんは「まず、4つの翻訳エンジンを搭載し、言語や会話の内容に応じて翻訳エンジンを使い分けていて翻訳精度を上げている点が1つ。それから、ノイズキャンセル対応のマイクが搭載されていて、周囲に雑音が多いこのような会場でも認識率が高い点。もう1つは、ディスプレイは2.4インチと大きめで、自分が入力した音声と翻訳が並んで表示されるので、正しく認識されているのか確認でき、きちんと正しく翻訳されていることがわかる点がいいですね」
確かに、展示会会場で音声認識をやろうとすると、認識率はかなり落ちてしまう。実際にデモ映像が流れたが、ジャイアン鈴木さんの質問をしっかり認識し、相手の中国語も正しく翻訳されていた。ボタンが2つあり、翻訳する言語を分けられるので、自分と相手とこの翻訳機を通じて会話できるのは便利だ。しかも38言語、170ヵ国で利用が可能。まだ発売日は未定だが、海外の展示会での商談だけでなく、たとえば日本のお土産屋さんにこれが1つあれば、海外からの観光客が訪れたときでも会話ができそうだ。
当サイトのジャイアン鈴木さんの連載でこの製品を取り上げることも決定したので、今後掲載するレビューも期待してほしい。
アイ・オー・データの働き方改革促進サービス「RIO Cloud」
続いて、北陸で古くから活躍する3つの企業のスマートなサービスやガジェットを取り上げた。まずは、石川県に本社のあるアイ・オー・データ機器から。同社は周辺機器メーカーとして、登壇したお二人を含めIT業界に関わる人にとっては古くからお世話になっているメーカーの1つ。今回ピックアップしたのは、アイ・オー・データのNAS「LAN DISK」とアール・アイの「Shadow Desktop」、クラウディアンの「HYPERSTORE」を連携した、働き方改革促進サービス「RIO Cloud」だ。
働き方改革の促進により、在宅勤務やテレワークといった場所にとらわれない働き方や、BCP対策として活用できるサービスで、中小企業でも低コストでトータル的なソリューションとして導入できるもの。「Shadow Desktop」がインストールされたマシンなら、エンドユーザーが意識することなく「HYPERSTORE」を採用するクラウドストレージサービスや自社内に設置した「HYPERSTORE」ストレージシステムに個人のデータが保存され、いつでもどこからでもデータにアクセス可能。さらに、NAS「LAN DISK」を利用することで、ファイル共有が可能となる。「LAN DISK」のデータにもいつでもどこからでもアクセス可能であることに加え、「LAN DISK」のデータはクラウドに同期される。すなわち、利便性と安全性(情報漏えい対策、BCP対策)の両立を図っている。
地震や大雨による自然災害が毎年のように起きている日本にとって、BCPはあらゆる企業に求められている。在宅勤務やテレワークにも活用できるので、働き方改革を進めたい中小企業にとっても注目したいシステムと言えよう。
PFUの「スキャナー×OCR」ソリューション
アイ・オー・データと同じ石川県に本社を置くPFUは、ドキュメントスキャナーの市場でトップのシェアを誇る企業だ。今回登壇したお二人も同社のドキュメントスキャナーを愛用しており、取材先で配られた資料の電子化や名刺管理などに活用している。
そんなPFUが企業向けに大量の書類をスキャナーでスピーディーに電子化し、高精度のOCRを活用することで、効率的なデータ入力をサポートするソリューションを展開している。たとえば、手書きの伝票。従来なら伝票を見ながら人手によってデータを会計ソフトへ登録していくという作業が発生。手間暇がかかる上、誤入力する可能性もあり生産性が高いとは言えない。
そこで、スキャナーで伝票を読み込ませ、それをOCRで読み取ることで効率よくデータ化。担当者は読み込まれたデータを確認。CSV形式で出力すれば、各種RPAツールとデータ連携が可能だ。
また、ブースでは免許証を読み込んで登録するというデモが行われていた。カード入会申し込みで本人証明書類の確認としてこのソリューションを活用すれば、お客さんの眼の前で作業することで、どのような使われ方をしているのか安心感を与えつつ、即データ化できるため作業効率が非常に高まる。こういった用途に特化したスキャナーも販売されており、本人確認といった個人情報を扱う企業は導入を検討すべきソリューションだろう。
省スペースでデュアルディスプレイ化するEIZO「FlexScan EV2785」
最後は、今年で50周年を迎える石川県の老舗メーカーEIZOだ。高性能、高品質のディスプレイを数多く手がけてきたが、それ以外にもセキュリティカメラ対応のディスプレイやモバイル対応など新基軸のハードも次々生み出している。登壇したお二人も昔から利用していたり、フリーになる前の編集部時代に、デザイナーは必ずEIZOのディスプレイだったという話題でもりあがっていた。
そんな中から取り上げたのは、モバイルノートPCと相性バッチリな「FlexScan EV2785」だ。この製品の特徴は、ベゼルが狭くとてもスリムな上、高さ調整が3段スライド式で自由に調整可能。最上点が高く、手前にモバイルノートPCを置き、上下のマルチディスプレイ化ができる。さらに縦画面にもできるので、作業用途に合わせた設置が可能なところもいい。
また、ジャイアン鈴木さんも指摘していたがUSB-Type Cケーブル1本でつながるところが大きな利点。モバイルノートPCは持ち運んで利用することが多く、デスクワークとモバイルワークの切り替えが煩雑だと非常に使い勝手が悪くなる。その点このディスプレイは、着席したらUSB-Type Cケーブル1本でディスプレイとモバイルノートPCを接続するだけ。しかも、映像だけでなく、音声やUSB信号、モバイルノートPCへの給電も可能なので、ACアダプターへの接続すら不要になる(対応したモバイルノートPCが必要)。
ご登壇したお二人もそうだが、マルチディスプレイでの作業はいまや当たり前。作業効率のアップだけでなく、正しい色味で作業する必要のある人にとってもEIZOのディスプレイはオススメしたい。
今回のトークセッションは時間の関係で1製品あたりの取り上げる時間が限られてしまったが、このセッションが終わったあと、今回紹介したブースでは、お客さんがたくさん訪れたとか。今後も良い製品を的確に読者へ伝わるよう、当サイトで積極的に記事化していきたい。