北陸からの働き方改革ソリューション発信! From北陸
「DISわぁるど in 北陸 かなざわ」レポートその4
「DISわぁるど in 北陸 かなざわ」では、富山、石川、福井の地元企業によるソリューションなどが展示され、働き方改革に役立つ、北陸発のさまざまな提案がなされていた。ここではスマートワーク総研として気になったブースをいくつか紹介する。
文/陣武雅文 撮影/篠原孝志
顔認証システムによるセキュリティ強化
ダイワ通信株式会社の展示は、監視カメラのソリューション。オフィスや用途に合わせてさまざまなタイプのカメラを用意し、広範囲をカバーする魚眼タイプのカメラや、遠くにある入り口を望遠で映し出すカメラなどが展示されていた。望遠タイプでは、実際に15mほど先にある会場入り口を映し出していたが、はっきりと映っていた。これだけズームが効けば、カメラがあることを気がつかれずに撮影できる。
また、顔認証システムを搭載したAIカメラのデモも行っていた。このカメラでは画像を比較して同一人物を割り出せるので、あらかじめ登録している人はその前を通るだけで認証が終了したり、逆に通したくない対象を登録することで、その対象が通った際に通知するといった活用も可能だ。
新人でもすぐに住宅設計ができ、見積もりもしてくれるCAD
株式会社アイティリンクでは、専門知識がなくても設計や見積もり、施工図面まで作ってくれるCADソフト「木らり」を展示。ノートパソコン上のマウス操作で、施主に見せながら設計図を作成でき、その場でパースも表示できる。設計や積算用のシステムとプレゼン用のシステムを1つにしていることで効率を高めるシステムだ。
あらかじめ登録してある部材からチョイスする形で設計し、使用した部材に応じた見積もりを提示する。施主の目の前で話し合いながら設計し、価格も提示できるので、プレゼン後に設計変更をする頻度を減らせ、スピーディな商談ができる。
現在はログハウス用のシステムのみだが、今後、従来工法や2×4、軽量鉄骨といった工法もリリースされる予定だ。
タブレットで動き方を設定できる協働ロボット
株式会社電陽社のブースでは、6軸の協働ロボットとAI搭載型の自動搬送ロボットを展示。協働ロボットはタブレット上でその動きをグラフィカルに選択していくだけで、その動き方を設定できるので、専門のオペレーターを必要とせずに使うことができる。例えば部品を一定間隔でピックアップするといった単純な動作をロボットにさせて、その部品を使った組み立てを人が行うことで生産性向上が図れる。
自動搬送ロボットは下部にあるセンサーで障害物を検知し、通路に沿って運ぶ、人や機械などを避けながら物を運ぶことが可能。協働ロボットと組み合わせ、物を乗せたら必要な場所に運んでいくといった使い方が可能だ。
作業効率をアップする音声ソリューションとサイコロ型IoTデバイス
株式会社江守情報のブースでは、製造業向けの音声ソリューションと、サイコロ型IoTデバイスで作業状況を把握できるソリューションを展示。音声型ソリューション「ヴォコレクト・ヴォイス」は、腰につける受信機とハンズフリーのヘッドセットを組み合わせて使う。音声で送られてくる指示に対して作業を行い、終了時に音声で報告することで作業状況を把握、作業実績もデータとして記録される。
サイコロ型IoTデバイスは、現在行っている作業を上の面にすることでIoTルータを通して作業内容を収集、把握することができるシステム。作業している場所も把握でき、どこにどのくらい滞在し、どの作業を行ったのかというデータをリアルタイムで取得できるので、業務改善を検討するデータを集められる。
車両認証やICカードに貼ることで、認証ができる透明なRFIDタグ
日本エレクトロニクスサービス株式会社のブースで展示されていたのは透明なRFIDタグ。車両のフロントガラスに貼り付けることができ、特定エリアへの進入認証などに用いることで、入退場時の受付・確認を簡素化でき、在車状況なども把握できる。現在、金沢駅のタクシー乗り場の入退管理システムとしても用いられており、透明で小さいため、車両の保安基準にも適合している。
このRFID透明タグは、社員証など、別のICカードを貼り付けて使うこともできる。これにより、複数のカードを持たずに、社員証と入室や通行の許可証を兼ねるといった使い方もできる。
現場とオフィスをリアルタイムでつなぐカメラソリューション
パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社 北陸社では、ヘルメットに取り付けるモバイル映像伝送システム「HDコムLive」を展示。現場の映像をリアルタイムで伝送し、映像・音声で双方向の会話ができる。このシステムでは同時に13地点を接続し、見比べることができる。映像や会話はもちろん記録できるので、あとで共有したり、見直すことで、ノウハウの蓄積や業務改善などにも活かせる。
送受信を行うAndroid端末は腰につけるだけなので、カメラと併せて手を煩わせることがなく、現場での作業に支障も出ない。
中小企業のAI・IoT導入費用を支援する石川県
「DISわぁるど in 北陸 かなざわ」が開催された石川県は、県内の中小企業の支援事業として、AI・IoT導入費用の助成事業を行っている。
製造業などの現場での稼働状況を測ったり、部品や製品の在庫・保管状況の把握のためにIoTを導入したい企業に対し、最大100万円の補助を行っており、今年度分は8月2日まで申請を受け付けていた。相談にも応じている。
超高速NASなど、働き方改革の土台を支えるハードウェア
「映像・コンテンツ」コーナーでブースを出展していた株式会社アイ・オー・データ機器は、本社を金沢に置く企業。ICTの根幹となるデータを記録するNASやRAIDを多数展示していた。大画面テレビに取り付けるだけでタッチパネルディスプレイとして利用できるようになる「てれたっち」は、通常はディスプレイとして用い、必要に応じて電子黒板にすることができるので、導入コストを抑えることができる。
発表前商品として参考出品されていたLAN DISKは4TB~16TBのNAS。10GbEを搭載することで高速なファイル転送速度を実現。CrystalDiskMarkのベンチマークでは、Seq Q32T1の読み込みが751.6MB/s、書き込みが53.00MB/sという速度を記録していた。
省スペースディスプレイやタッチディスプレイなどで働き方改革を支援
石川県に本社を置くEIZO株式会社も「映像・コンテンツ」コーナーにブースを構えていた。ICTには欠かせないディスプレイなどで働き方改革を支援している。展示では、ペーパーレスを推進するタッチディスプレイを置き、紙に書く感覚でペン入力の操作ができるデモを行っていた。
また、FlexScan EV2785は、4K表示ができるベゼルと非表示エリアを合わせて7.4mmというフレームレス型ディスプレイ。最大の特徴は、ケーブル1本でPCに接続し、電源供給もできること。通常外部モニターをノートPCに接続する場合、ほかに電源ケーブルが必要だが、FlexScan EV2785の場合は表示データと電源供給を1本で行うため、ノートPCに電源ケーブルを取り付けなくていい。
紙からデジタルへ作業効率化を加速させるソリューション
株式会社富士通パーソナルズではPFUのスキャンシステムによる働き方改革を展示。紙に印刷されているデータを効率よく電子化し、RPAへつなげるソリューションを紹介。イメージスキャナーやOCRソフトを活用して作業を効率化する方法を提案していた。また、同ブースでは小型の静脈認証装置や、静脈認証装置を内蔵しているPCも紹介。セキュリティ脅威を解決するソリューションも展示していた。
筆者プロフィール:陣武雅文
元デザイナーながら、MS-DOS時代からパソコン書籍編集者を務める。インターネット黎明期からコンピュータネットワークにおけるコミュニティに興味を持ち、制作した書籍もネット関連やグループウェア関連が多い。現在は働き方改革と最新テクノロジーの関わり方に注目している。