池澤あやかのサブスク研究室-第5回

ワークスモバイルの「LINE WORKS」
国民的チャットアプリと唯一つながり誰もがすんなり使えるすごさ


ワークスモバイルの「LINE WORKS」は、その名の通り国民的チャットアプリ「LINE」のUI/UXを踏襲しつつ、企業向けの機能を拡充させたコミュニケーションプラットフォームサービスです。日本国内で30万社を超える利用があり、大企業はもちろん、特に中小企業から支持されている理由とはどういったところなのか、お話を伺いました。


人と人とのつながりは、コミュニケーションが重要です。ビジネスにおいても同様で、近年社員同士がコミュニケーションの場としてチャットサービスを活用するのが当たり前になってきました。特にコロナ禍により、顔を合わせて会話する機会が激減したため、ビジネスを成功させるためには、チャットサービスが重要な役割を担うまでになっています。

チャットサービスで頭に思い浮かべるのは、やはり「LINE」アプリではないでしょうか。日本国内で約8400万人ものアクティブユーザーがいるとされるLINEは、老若男女を問わず誰もが使える唯一無二の存在といっても過言ではなく、ビジネスでも取り入れたいと考えるのは至極自然な流れでしょう。

ただ、LINEはあくまで個人向けであり、ビジネスで利用するには逆に使いにくい面もあります。そこで2016年にビジネス向けのコミュニケーションサービスとして登場したのが「LINE WORKS」です。今回は、普段エンジニアとしてLINE botの開発も行っている池澤あやかさんが、ワークスモバイルジャパンの名倉桂吾さんと古田麻依さんにお話を伺いました。

エンジニアでありタレントである池澤あやかさん

LINEとつながる唯一の存在LINE WORKS

池澤あやかさん(以下池澤) 「普段はエンジニアとしてLINE botを作成したりしているのですが、LINE WORKSはあまり触ったことがなかったので、本日はよろしくお願いいたします」

名倉桂吾さん(以下名倉) 「よろしくお願いします。まずはLINE WORKSについてお話しましょう。LINE WORKSはワークスモバイルジャパンという会社が提供しているサービスで、ご存じかも知れませんが、みなさんが利用されているLINEとは、兄弟会社という位置付けになっており、親会社のNAVERから出資を受けて設立した企業です。

LINEは、いわゆるコンシューマー向けで、自分ですべてを管理しますが、LINE WORKSは法人や団体向けのコミュニケーションプラットフォームサービスとして、管理者を置きメンバーを決めて使っていくというクローズドの世界になっています。

ワークスモバイルジャパン コーポレートビジネス 本部長の名倉桂吾さん(右)

とはいえ、コンシューマー向けのLINEとつながるビジネスチャットという意味では、唯一の存在なんです。社内だけでなく、社外とも簡単につながるというのが一番の売りになっていて、たとえば、お客さまが利用しているLINEに営業担当がつながるといった、世界観が独特の使い方になっています。

現在、日本国内で30万社を超える企業さんに使っていただいています。1000名以上の従業員のいる会社は日本に4000社ぐらいあるのですが、そのうちの3分の1近くが、既にLINE WORKSを導入されています。

メインターゲットは中小企業のお客さんで、特に50~100名規模だと、情シスやIT担当といった専属はおらず、総務の方が兼任の場合がほとんどです。よくITツールを利用するとなると情シスのようなIT知識を持った方が管理するイメージがありますが、LINE WORKSの場合は必ずしもそこまでITスキルが高くなくても導入でき、使いこなせるというのがポイントになります」

池澤 「それはやはりLINEに似たUIだから、皆さん使いこなせるということでしょうか?」

名倉 「そうですね。やはりそこは大きいと思います。実はLINE WORKSには、さまざまな機能があります。LINEと同じようなトークやビデオ通話はもちろん、プランによってはメールやカレンダー、スケジュール、アドレス帳、オンラインストレージ、掲示板、アンケートなど、LINEにはない機能も多くあります。

入口は、いわゆるLINEのUIです。スタンプなども使えます。LINEのような見た目なので、実際に使われる従業員やスタッフが非常になじみやすく、教育が要らないということは、よくお客さまから言われています。

そのためか、情シスがLINE WORKSの導入を決めるより、現場の方から「これを使いたい」と言われるケースが非常に多く、導入時のハードルが低いというのがLINE WORKSのメリットとなっています。

実は、農家さんのような第一次産業でもかなり使っていただいております。それこそ家族経営だったり、ITとは結び付かないような事業者なのですが、スマホで取引先と自由にやり取りしやすいということで、導入されるケースが多いですね」

LINE WORKSのトーク画面。基本的にはオリジナルスタンプはなく、LINE WORKSの中で使えるスタンプがセットされています

池澤 「確かに、家に戻ってからパソコンに向かって取引先とやり取りするより、作業中にやり取りしたほうが効率はいいですよね」

名倉 「そうなんです。ただ、LINEのシステムを流用しているのかというと、まったく違っていて、データセンターもアプリケーションもまったく別物です。データセンターはバックアップを含めてすべて日本国内で完結しています。また、1つのIDでスマホもパソコンも複数台同時に利用できるので、作業する場所に合わせて使い分けが可能になっています。

あとLINEとのいちばんの違いは管理機能とセキュリティですね。LINEだと個人管理なので、仕事で利用しているとスマホを紛失した場合、会社としては何もできず誰が責任を取るのかという問題になります。

LINE WORKSでは、管理者を立てて一元管理することになるので、スマホをなくしても、アカウントを止めるなどの対応が即取れます。MDMとも連携しているので、スマホの初期化やパスワードロックなども可能で、セキュリティ的にも高くなっています。ほかにも監査ログを取ることができます。誰が誰とどんなやり取りしたかが確認できるので、たとえば何かインシデントがあったときに役立つ機能も設けています」

池澤 「小規模事業者などでは、LINEでやり取りしがちですよね。きちんとセキュリティのことも考えないと」

名倉 「LINEとつながるというところもポイントで、たとえば、不動産会社の営業さんがLINE WORKSを導入していて、お客さんとのやり取りをLINEで行うといったとき、お客さん側としては、普段使っているアプリなので抵抗なく使えます。一方で、企業側からすると、営業成績のいい担当は、お客さんとどのようなやり取りをしているのか、そのノウハウを活かせないかと考えるでしょう」

池澤 「確かに気になりますよね」

名倉 「以前だと、電話でのやり取りのためビッグデータが残らないんです。メールでも時系列での分析は難しい。でもチャットだと、どう会話してどのタイミングで返信したりメッセージを投げたりしているのか分析が可能なんです。そこで、売上成績の高い営業担当のログを分析することで、新人研修などでノウハウとして伝えることができるようになります。そうした売上げアップにも貢献できるというのも1つの売りだと思います」

池澤 「電話でやり取りするよりチャットのほうが、時間を気にせず返答できるので、かえってやり取りしやすいですよね」

名倉 「そうなんです。あと最近の若い方は、なかなか電話に出てくれなかったり、メールも意外と返信してくれない人がかなり多いようなんです」

池澤 「でもLINEだったら……」

名倉 「意外と気軽に友だちになってくれます。最初の契約からもちろん、アフターフォローまでスムーズにやり取りできるということで、多くの企業に使われています。

LINEのユーザーは日本国内で8900万人ほどいますが、そのうち1000万人ほどがLINE WORKSとつながっています。LINEだと個人なので、友だちになるのは警戒しちゃうんですが、LINE WORKSだと公式というか、会社のLINEアカウントみたいな形になって、安心感が生まれてつながりやすくなるんです」

導入にはITリテラシー不要で安心して使えるのがいちばん

LINE WORKSのサイトには、さまざまな事例が紹介されています

名倉 「とにかく、LINE WORKSを導入する際にITリテラシーは要らない、LINEと同じですと言い切っています。実際、ハウスクリーニングのダスキン草加さんでは、『ITリテラシーはもうゼロです』とおっしゃっていて、そういった方々でも、LINEを使ってやり取りをしていたそうです。でもそれではダメだということで、Googleカレンダーを使おうという人もいたそうですが、みんなついていけないんです。結局社内でみんなが使えるのはLINE WORKSじゃないかということで使いはじめたそうです」

池澤 「LINEのUIではあるものの、さまざまな機能があるので、トーク以外はどうなのでしょう」

名倉 「ダスキン草加さんでは、最初は割り切ってトークだけに絞って使いました。そうしたら、LINEと同じということで完全に広まって、次はスケジュール管理をやってみようと。ステップアップをしていくことで、すぐにみなさんが当たり前に使えるようになったそうです。結果的に、お客さんのLINEとつながるところまで、かなりフル活用いただいています」

池澤 「使い方がわかっているUIから入っていけるというのは強みですよね」

名倉 「老若男女問わず扱える使いやすさによって、使える人、使えない人といった情報格差も生まれにくいところが、みなさんに受け入れられているポイントなのかなと考えています」

名倉 「LINE WORKSにはノートやアルバムなどLINEに似た機能もあります。ただ、ビジネスで利用する使い勝手を考えた機能も用意されています。たとえばトークルームでやり取りされた写真や資料を、自動的に保存されるフォルダ機能ですね」

池澤 「トークのやり取りを戻らなくて済むんですね。あと結構LINEだと期限切れちゃって落とせなかったり」

名倉 「おっしゃるとおりで、LINEだと保存期間の設定ができないので、気がついたら期限切れになっている場合もありますね。LINE WORKSの場合は、その期限を設定できるので、1年後まで残すということも管理者が設定できます。こうした機能は、グループごとにどの機能を使うか決めることも可能です。部署ごとだったりプロジェクトごとだったり、仕事の中で必要なグループ、必要なメンバーと、簡単にやり取りできます」

池澤 「LINEのアカウントのユーザーを含めたグループも作れるんですか?」

名倉 「作れます。アドレス帳には、LINEユーザーも外部のLINE WORKSユーザーも追加できるので、個人がお友だちになれば、普通に取引先の方ともやり取りができる仕組みになっています」

やり取りする人はアドレス帳で管理でき、LINEユーザーも外部のLINE WORKSユーザーも混在できます

botを導入してほかのサービスと連携

池澤 「ちなみbotは使えますか?」

古田麻依さん(以下古田) 「はい、開発したbotですとか、既にサービスとなっているようなbotをトークルームに招待することで利用可能になっています」

名倉 「このロボットマークが付いているのが全部botです」

体調チェック通知のbotが招待されているトークの画面

池澤 「どんなbotがよく使われていますか?」

古田 「そうですね。最近ですとオフィスに出社する機会が少なくなっているので、出退勤の bot を入れて、LINE WORKS のトーク画面で ”出社” と入力すると、自動的に “出社” と勤怠管理のサービス側に登録されたり。あるいはセンサーなどと連携して、アラートが上がったらLINE WORKS で通知を受け取るというように、LINE WORKS を業務の入り口とするような bot が多いですね」

名倉 「あと意外と多いのが安否確認でしょうか。たとえば地震が発生した場合、気象庁のデータと連携して震度を取得し、従業員データに登録されている地域などを基に、発生した地域に住んでいる人、出張されている人のIDだけに『大丈夫ですか』って送るんです。あとは選択肢で無事か否かを選択させて、管理者が受け取れるようになっていて、安否を一覧で確認できます」

池澤 「botを使いこなしたいという顧客の方から要望も多いですか?」

古田 「先日botについてのセミナーを行ったのですが、みなさん使いたいと思っているけれど使えないとか、作れない人、もっと活用したいけどどうすればいいのか、というご相談をたくさんいただきました。興味関心はいただいていると思っています」

池澤 「情シスやITの部署がある企業だと、botを作成して実装することも可能だと思うんですが、専属の担当者のいない中小企業だと難しいでしょうね。手軽に使える汎用的なbotはありますか?」

古田 「連携ソリューションは100以上用意されていますので、そちらをご活用いただければ、特に作り込む必要はありません」

ワークスモバイルジャパン コーポレートビジネス パートナーマーケティングの古田さん

池澤 「LINEにもbotってありますが、それとはまったく別物ですか?」

古田 「はい。ただAPIの仕様が異なってはいますが、LINEのbotを作っている方なら、LINE WORKSのbotも作れるぐらい、似ていると思います」

池澤 「それならLINE botを開発している私でも作れるかな」

古田 「LINE WORKS Developersというサイトがありまして、こちらの中でトークbot APIの仕様を公開しています。また、製品サイトの連携ソリューションページでは、100以上の連携ツールを掲載しています。連携ソリューションの中から bot開発ツールをご活用いただいたり、bot開発ができる方にはぜひ作ってみていただき、皆さんに合った bot活用をしていただければと思います」

連携ソリューションもあるので、すぐ活用できます

池澤 「外部といろいろ連携ができるから、活用次第では幅が広がりますよね」

古田 「やはり見た目がLINEに似ているので、いつもの使いなじみのあるトーク画面で出退勤の入力ができるとか、通知が届くようになるというところが、LINE WORKSの最大の特徴だと思うので、botをうまく活用していただきたいですね」

池澤 「確かに普通のアプリケーションを作ろうと思うと、スマホ対応しなきゃとか、PCにも対応しなきゃとか、どんどんと大変になっていくんですよね。社内ツールであれば、こうしたLINE WORKSのbotを使うと、そういった開発コストを掛けずにマルチプラットフォームに対応しちゃいますね」

名倉 「ビジネスの基盤としてチャットのコミュニケーションがあった上で、こういったbotとか業務システムともつながるので、その入口としてLINE WORKSを利用していただければ。いきなりDXをやれと言われても絶対無理ですから」

池澤 「確かに無理ですよね」

名倉 「まずはチャットを使って、いままで電話とかファクス、紙で行っていたことをデジタル化しましょう。その上でデータをさらにDXっていうところに向けて活用しましょうと提案しています。意外とそういう流れでやっていけば、勝手にDXできていたという世界観がつくれるので、そこをLINE WORKSは目指したいと思っています」

メッセージを自動翻訳して会話

池澤 「LINEにはないLINE WORKSならではの機能ってありますか?」

名倉 「LINE だとステータス表示はありませんが、ビジネス向けなので、「離席中」「不在」などのステータスを設定することができます。ほかにも、外部のLINE ユーザーから時間外に連絡が来たときに、自動応答できる機能もあります」

池澤 「確かに、そのあたりは必要ですね」

名倉 「企業によっては、運用面での工夫としてグループならいいけど何時以降は1対1のトーク禁止という制限もあったりします。そういうお話をいただくことで、企業用としてどうあるべきなのか勉強させていただいています。あとは、掲示板も既読が見えるようになっています」

池澤 「本当だ。既読した人数が付いている」

名倉 「さらに、誰が見たかも分かるんです。この機能はオフにもできるのですが、皆さん意外とこれオンにして利用されています。たとえば安否確認など緊急時は見たか見ていないかは重要なので」

池澤 「未読の人数も分かるんですね」

名倉 「役員さんが掲示板に社長メッセージを送ったのに、未読がたくさんあると気にされるそうです」

古田 「掲示板の場合は、未読の人たちに再通知もできます」

池澤 「絶対に読めよ、ってことですね(笑)。確かにこういう機能は使えそうです」

名倉 「あとカレンダー機能は、チームや作業、イベントなどの予定を個人とは別にプロジェクト単位で色分けして表示できます。工数管理をしたり、あとは施設予約や機材の貸し出しなども管理させていることが多いですね。従業員全員のカレンダーが見られるので、昔で言うホワイトボードで従業員が“戻り何時です”と書き込んでいたことを、このカレンダーに集約している企業もあります。

ほかにも便利なのが、ミーティングしたいときにメンバー全員の予定が合うところを検索すると、推奨をいくつか提示してくれる機能もあります」

池澤 「一人ひとり確認するのは面倒なので、それは便利ですね。チャットツールは、カレンダーとかメールとか連携していなくて、わざわざコピーして別のツールに貼り付けとかしなければならないんですよね」

名倉 「LINE WORKSは1つのアプリに集約されているので、これ1つで完結します。機能ごとに別アプリにするより、はるかに使いやすいと思います。」

カレンダーでは、メンバーの空いている時間帯の中から自動でいくつか提示してくれ、ミーティング時間を確保できます

名倉 「トークで便利なのは翻訳機能です。日本語でメッセージを送ると、自動で翻訳してメッセージを投げてくれます」

古田 「現在は日本語、英語、中国語、韓国語、ベトナム、タイ、ロシアなどが用意されています」

池澤 「いっぱいありますね」

名倉 「私も日韓を日常的に使っていますが、困ることはないですね。最近は、従業員に海外の方が結構いらっしゃいます。日本語があまり通じない場合、この機能を利用するだけで、非常に伝わりやすくなります。多国籍な企業ではかなり活用いただいております」

言語を選択しておけば、自動的に翻訳してメッセージを送ってくれます

名倉 「あと9月からゲスト通話やゲスト招待も利用できるようになりました。これまで、ライセンス持っていない方では利用できなかったのですが、URLを相手に発行して、音声ビデオ通話ができるようになりました。それからフリープランという100名までは無料で使え、グループ通話も4名まで最大60分間できるものもご用意しています」

池澤 「かなり柔軟になってきていますね」

名倉 「LINE WORKSのいいところは、チャットのコミュニケーションから始めるという動線があること。そして、ほかのサービスやツールと連携しても、すべてLINE WORKSが入口になるので、利用者としてはほかのサービスやツールのUI、使い方を覚えなくて済むメリットがあります。今後、APIを理解していなくても使えるようアプリディレクトリ(管理画面から追加するだけでご利用いただける bot)を拡充していく予定ですし、お客様のさまざまな要望や世の中の流れに応じて、機能を順次追加していきたいと思っています」

池澤 「普段エンジニアをしていて、LINE WORKSはLINEを使っている顧客の方とのやり取りがしやすいということを聞いていたので、その理由が今日のお話を伺って納得しました」

今回紹介したソリューション

LINEのような使いやすさはそのままに、
企業でも安心して使える管理機能と
セキュリティを備えたビジネスチャット

LINE WORKS


LINE WORKSはLINEのような使いやすさをそのままに、ITリテラシーを問わない使いやすさで導入後の教育コストは掛かりません。また外部トーク連携でLINEユーザー、外部のLINE WORKSユーザーとコミュニケーションを広げることができます。もちろんAPIを公開しており、他社ベンダーのサービスもしくは自社のサービスとAPIで連携が可能です。

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