AWSジャパン、公共分野のクラウド移行を支援

新サービス発表

 アマゾンウェブサービスジャパン(以下、AWSジャパン)は7月5日、「AWS ITXパッケージ ファミリー最新版」に関する記者説明会を実施した。同記者会見では、ITシステム基盤のクラウド移行を支援する「AWS ITXトランスフォーメーションパッケージ」(以下、ITX)の新パッケージとして「ITX for PS」を発表した。ITX for PSは、公共分野におけるITシステム基盤のクラウド移行を支援するパッケージだ。

 ITX for PSでは、三つの支援プログラムを提供する。一つ目がシステムのモダン化支援だ。同支援では、クラウド移行による経済メリットの試算などのアセスメントや、アプリのモダン化を具体的に検討・検証する支援策の提供を行う。さらに、サービスの利用状況を分析し、コスト最適化のロードマップを提案する。

 二つ目が公共専門分野支援だ。公共の専門知識・技術を持った専門チームがテンプレートなどを活用し、クラウド移行をサポートする。加えてクラウド人材育成・クラウド推進組織の立ち上げに関する支援や、AWSの利用料に対するクレジットも提供する。

 三つ目がデータ・生成AIの活用支援だ。専門チームが顧客のデータ基盤を分析し、新システムで取るべき構成を提示するデータプラットフォーム検討支援プログラム「DPMODA」(Data Platform Modernization Assessment)を提供する。さらに、テンプレートを用いた生成AIの実装支援も行う。

 同社 執行役員 パブリックセクター技術統括本部長 瀧澤与一氏は「ITX for PSによって、公共分野でもクラウド移行を加速させます。そうすることで、一人ひとりがデジタルの恩恵を享受可能な社会を実現できます」と展望を語った。

既存プログラムのサービスも拡充

 同記者会見ではITXのパッケージである「ITX for Cloud Native」のサービス拡充も発表された。

 同パッケージは、クラウドネイティブなシステム開発を支援する。DPMODAに加えて、AWSサービスを利用して生成AIを活用したアプリをアジャイル型で共同開発するワークショップ「Innovation EBA」(Experience Based Acceleration)の追加提供を行う。

 瀧澤氏は「サービス拡充によって、民間でもクラウド移行を加速させます」と意気込みを語った。

SASEソリューションの最新バージョンを発表

 パロアルトネットワークスは6月26日に、SASE(Secure Access Service Edge)ソリューションの最新バージョン「Prisma SASE 3・0」を発表した。Prisma SASE 3・0は、企業のセキュリティと生産性を向上させるSASEソリューションだ。

 同ソリューションの特長は四つある。一つ目が、多様なセキュリティ機能を備えるWebブラウザー「Prisma Access Browser」だ。Prisma Access Browserを用いて個人情報をはじめとした機密情報が含まれるWebページにアクセスすると、閲覧許可のないユーザーには個人情報にぼかしが表示される。さらに、バックグラウンドにはユーザー名や時刻などが入った透かしが表示されるため、直接画面を撮影することへの抑止力にもなるのだ。

 二つ目がデータセキュリティだ。大規模言語モデル(LLM)を活用した高精度のデータ分類機能によって、SaaSやクラウドなどに散在するデータの検出、分類、使用状況の分析、リスク評価を行う。データの状況はダッシュボードで一元化されるため、効率的に管理可能だ。さらに、生成AI向けのセキュリティ機能として「AI Access Security」を提供する。AI Access Securityでは、生成AIの利用状況とリスク値の可視化が可能だ。

 三つ目がアプリ アクセラレーションだ。独自のアプリ認識技術を活用し、アプリのパフォーマンスを向上させることで、レスポンス速度を高速化させる。

 四つ目がAIアシスタント「Strata Copilot」だ。Strata Copilotによって、自然言語を用いたリスクの可視化を実現する。

 最後に同社 SASE事業本部 Business Principal 和田一寿氏は、「Prisma SASE 3・0の提供によって従業員の生産性を向上させ、企業の成長につなげていきます」と意気込みを語った。