さらなる業務改善を実現するNECのAI技術
AI技術
NECは11月27日、研究開発と新規事業における戦略説明イベント「NEC Innovation Day 2024」を開催した。本イベントでは、同社のAI技術の強化と最新技術の説明が行われた。
AI技術の強化におけるポイントは三つある。一つ目が、同社の大規模言語モデル「cotomi」の新バージョン「cotomi v2」だ。推論能力の精度と推論速度を向上させ、消費電力の削減も実現した。さらに根拠を提示したり、AIが生成した文章と参照元の文章の齟齬を提示したりすることでハルシネーションを検知する機能や、自己学習によってプロンプト作成の負担を軽減する機能も搭載している。
二つ目が、業務の自動化を実現する「AIエージェント」だ。ユーザーが依頼したい業務を入力するだけでAIエージェントが自律的に業務を理解し、業務プロセスを遂行する。業務ごとにAIを構築せずとも高度な専門業務を自動化でき、生産性の向上につなげられるのだ。
三つ目が、図表の読み取り性能の向上だ。図表のテキストだけでなく、レイアウトの位置関係や図の大小、重なりといった暗黙のルールを読み取り、正確な情報を抽出できる。
また最新技術として、低画質な画像でも顔認証と虹彩認証を組み合わせたマルチモーダル生体認証を行える技術も発表された。小型の通常カメラで撮影した画像でも認証を行えるため、POSレジやATMなどへの組み込み、タブレットへの取り付けによるポータブル化といった幅広い用途に対応する。
同社 執行役Corporate EVP 兼 CTO 西原基夫氏は「AIエージェントによるシステムインテグレーション、生体認証技術の実装による市場拡大などにより、現事業の競争優位性を確保します」と意気込みを語った。
将来の疾病予測サービスを提供
本イベントでは新規事業として、ヘルスケアサービス「フォーネスビジュアス検査」も発表された。
フォーネスビジュアスは約7,000種類の血中タンパク質を解析することで、現在の身体の状態を可視化し、将来の疾病予測を行うサービスだ。具体的には、5年・20年以内の認知症、4年以内の心筋梗塞・脳卒中、5年以内の肺がん、4年以内の慢性腎不全の発症リスクを予測できる。日々変化する血中タンパク質を解析するため、経過のフォローも行える。
西原氏は「フォーネスビジュアス検査をはじめとした新規事業や知財ライセンス事業によって、次期中期経営計画では全社利益の10%の貢献を目指します」と展望を語った。
ブランドに準拠したコンテンツを生成可能
生成AI
アドビは11月28日、コンテンツサプライチェーン「Adobe GenStudio」の最新アプリケーション「Adobe GenStudio for Performance Marketing」に関する記者説明会を行った。Adobe GenStudio for Performance Marketingは、生成AIを利用したコンテンツ生成アプリケーションだ。
本アプリケーションの特長は三つある。一つ目が、マーケティングチームの利用を想定していることだ。まずクリエイティブチームが作成した学習元のコンテンツを登録し、登録された学習元のデータを基にAIがコンテンツを生成する。そのため、クリエイティブ業務に明るくないマーケティングチームでも、広告コンテンツのバリエーションを容易に作成できる。
二つ目が、ブランドガイドラインやペルソナに合わせたコンテンツを生成可能なことだ。画像ガイドラインやフォントといったブランドガイドライン、ターゲットのペルソナを登録でき、登録された情報を加味してAIがコンテンツを生成してくれる。さらにAIを活用したブランド検証機能を備える。生成したコンテンツがブランドガイドラインに準拠しているかどうかをAIが数値化したり、ブランドガイドラインに準拠していない項目を指摘したりするのだ。
三つ目が、ワークフロー機能だ。生成したコンテンツのレビュー依頼や承認が、アプリケーション内でスムーズに行える。
同社 デジタルエクスペリエンス事業本部 プリンシパル ビジネスデベロップメントマネージャー 阿部成行氏は、Adobe GenStudio for Performance Marketingのメリットについてこう語る。「キャンペーンと顧客が求める内容を理解しているマーケティングチームをコンテンツ制作に参入させることで、ブランドに準拠したコンテンツの量産が容易になります。そうすることで、昨今の急増しているコンテンツ制作の需要に対応可能です」