今回例として取り上げるのはアイ・オー・データ機器のPRO-G40だ。

テーマ ポータブルSSD活用術

高速なポータブルSSDは仕事の効率を大幅アップ

今回は、ポータブルSSDの活用方法を紹介する。高速なSSDを利用することで、作業が快適で圧倒的な時短になる。昨今はPCが高性能化しており、あなたのノートPCでも利用できる可能性は高いのだ。

大容量化するデータをどう扱う

 私たちが使うファイルは日増しに容量が増えている。もちろん、テキストファイルのような容量の少ないファイルもいまだに使うが、動画や画像ファイルの容量はどんどん増加しているだろう。スマホやデジカメが高画素化して、画質が向上しているからだ。

 動画は4Kも当たり前になってきており、一気に容量が増えている。また、仕事に使うPDFやPowerPointなどの書類にも写真を貼り付けることが多く、ファイルサイズは大きくなりがちだ。

 これまでは、気軽に使えるUSBメモリーが大変な人気だった。もちろん、今でもファイルのやりとりなどに使っている方は多いだろう。ところが、圧倒的に増えているファイルの容量を前にすると、「転送が遅い」と感じることが少なくないだろう。

 約3.88GBの動画ファイルを転送してみたところ、一般的なUSBメモリーでは、15分ほどかかった。このUSBメモリーはUSB 2.0の安価なモデルでよく使われているタイプだ。USB 3.0などに対応する高速な製品も登場しているが、速度や容量を考えるならお薦めはSSDだ。

 USBメモリーは、容量が大きくなるほど選択肢が減る。128GBあたりまでなら買いやすいのだが、512GBを超えると有名メーカー品は数が少なくなり、費用対効果もよくない。

 外付けタイプのポータブルSSDは大容量モデルが多く、512GB以上の製品がいくらでもある。1TB、2TBなどの大容量も選べる。

 つまり、大容量のファイルを扱うならポータブルSSDを選ぶ方が賢いわけだ。

Thunderboltは転送速度が速い

 最近よく耳にするUSB Type-C端子の規格がThunderboltだ。モバイルノートPCの多くのモデルにThunderbolt 3か4が搭載されている。普通に使っていると、充電に利用できたり、モニターにつなげたりするのがメリットだと思うだろう。だが、見逃せないポイントがデータ転送速度が速いことだ。

 USB Type-A端子に接続する一般的なSSDは転送速度があまり速くない。USB 3.2 Gen 1のモデルだと500MB/秒程度だ。USB 3.2 Gen 2のモデルで1,000MB/秒程度の製品が多い。ただし、受け入れ側のUSB端子が適合していなければならず、USB Type-A端子でUSB 3.2 Gen 2に対応しているPCは少ない。

 このあたりの規格は非常に分かりにくいのだが、今回の本題とは違うので、詳しい説明は割愛する。

 最新の規格はThunderbolt 5だが、まだ登場したばかりで、広く使われているのがThunderbolt 3と4。Thunderbolt 4が新しい規格だが、データ転送に関しては、どちらも最大で40GB/秒となっている。これまでの規格に比べると大幅に高速だ。

 最近のモバイルノートPCの中級モデル以降には、Thunderbolt 3か4のどちらかの端子を搭載しているモデルが増えている。

 今回例として取り上げるポータブルSSD「PRO-G40」は、最大書き込み3,000MB/秒でとても高速だ。

 どのくらい速いか、実際に3.88GBの4K動画ファイルをコピーして検証してみた。

 USB 2.0のUSBメモリーでは15分以上かかったが、550MB/秒のSSDでは15秒ほどと圧倒的に時間が短縮できる。さらに、3,000MB/秒のPRO-G40では、5秒程度だった。

 例えば、出先でファイルを受け取るときの待ち時間が大幅に違ってくるわけだ。SSDならどちらも大差ないように思えるが、もっとファイル容量が大きくなると、かなりの差になってくる。

 大量の動画をコピーしてほかの人に渡したり、ほかのPCに移したりするような場面では、少しでも高速な方がいいだろう。

大きさは幅58×奥行き111×高さ12mmだ。
iPhone 15と並べるとそのコンパクトさがよく分かる。
121gと軽いので持ち歩きも快適だ。
小型軽量なため、ジャケットのポケットにもすっぽり入る。かばんに入れて持ち運んでも場所を取らないサイズで、出張にも最適だ。
ケーブルは専用のThunderbolt対応タイプになる。PC側がThunderboltに対応していないと高速なデータ転送はできない。ただし、PRO-G40は、一般的なUSB Type-C端子でも利用できる。
実際に3.88GBのファイルを転送したところ、PRO-G40は、転送速度が最大3,000MB/秒と高速だ。
こちらは、私物のSSDのベンチマーク。550MB/秒と転送速度はかなり落ちる。

運用上の快適さが違う

 単にコピーの速度が速いだけでなく、高速なSSDは内蔵のSSDのようなレスポンスで使えるのがポイントだ。

 大量の動画ファイルから目的の物を探す場合でも、サムネイルが表示される時間すら速いわけだ。

 さらに、SSD上で動画を再生してプレビューする際の快適さが圧倒的に違う。大量のファイルを保存した場合、目的の物を探す作業だけでも高速なSSDはレスポンスが良く、PCの内蔵のストレージと同じ感覚で使える。1度高速なThunderbolt対応のSSDを利用すると、もう元には戻れなくなる。

 出張先などにファイルを持ち歩いたり、バックアップを取ったりするなら少しでも高速なSSDを強くお薦めする。

 例えば、500GB程度のファイルをバックアップしたりコピーしたりする際に、Thunderboltなら計算上5分程度になる。だが、一般的なSSDでは30分以上かかるケースもある。USBメモリーでは、そもそも容量が足りないことが多いのだが、足りたとしても一晩かかっても終わらないかもしれない。

 高速なポータブルSSDを持っていれば、PCに保存されているファイルを丸ごとコピーするのも負担ではない。海外出張の際にはネットワークの不調でオンラインストレージが使いにくい可能性もあるので、僕はSSDに運用中の全ファイルをバックアップして持参している。特に、飛行機の機内でも全ファイルが使えるのがいい。

 また、海外で撮影した動画は、万一失われると取り返しが付かないので、現地で必ず二重化している。

 今回紹介したPRO-G40の価格は、アイ・オー・データ機器の公式オンラインショップ「アイオープラザ」で1TBが4万9,280円(税込)だ。安価ではないが、データを失う可能性と比較すると十分に妥当な価格といえるだろう。

 もちろん、PCを買い替えるときにも便利に使えることは間違いない。一方で、持ち運びやすいポータブルSSDだからこそ、出先で紛失するリスクも存在する。取り扱いには十分に注意してほしい。

 PRO-G40は、ThunderboltとUSB-C(10GB/秒)接続に対応するので、PCのUSB Type-C端子がThunderbolt非対応でも利用可能なのが大きなメリット。ファイルのやりとりがしやすいのだ。