快適な通信と一括管理を実現
まずはUNIVERGE IXシリーズから紹介しよう。UNIVERGE IXシリーズは、高速化が進むブロードバンド回線でのVPN構築に適した企業向けの高速アクセスルーターだ。高い転送性能と暗号化によりパケットの秘匿や改ざん検知を行うプロトコル「Security Architecture for Internet Protocol」(IPsec)性能を実現している。ストレスのない社内ネットワークの構築や、高セキュリティ環境でのデータのやりとりといった、顧客のさまざまなビジネスニーズに対して高パフォーマンスと信頼性で応える製品だ。
UNIVERGE IXシリーズの特長的な機能の一つが、指定の宛先(URL/IPアドレス)のトラフィックを特定の経路に転送する「URLオフロード」だ。クラウドサービスのビジネス利用が拡大する中では、トラフィックの増加に伴うレスポンス低下によってアプリケーションやシステムが遅くなったり、利用できなくなったりする問題が生じる可能性がある。そこでUNIVERGE IXシリーズでは、URLオフロード機能によってMicrosoft 365の通信を自動識別し、オフロードすることで通信負荷の軽減を行うのだ。これによりクラウドサービスの快適な利用を実現し、ビジネスシーンにおけるロスタイムを削減する。また、Microsoft TeamsやZoomといったWeb会議ツールの自動識別にも対応するため、テレワーク需要により増加した通信の負荷軽減も可能だ。
そんな機能を持つUNIVERGE IXシリーズは、新機種の「UNIVERGE IX-R」シリーズを発売している。UNIVERGE IX-RシリーズはNECが提供するネットワーク機器のクラウド型統合管理サービス「NetMeister」との連携で、他社のサーバーやネットワーク機器との一括管理が可能になる「マルチベンダ管理」機能を利用できる。本機能を使うことで、UNIVERGE IX-Rシリーズに接続され、ネットワーク機器やハードウェアを遠隔から監視・制御するためのプロトコル「Simple Network Management Protocol」(SNMP)に対応した他社のサーバーやネットワーク機器を、NetMeisterの一つの管理画面で一括可視化・遠隔管理できるようになるのだ。UNIVERGE IX-Rシリーズだけでなく他社製品のCPU使用率、メモリー使用率、ポート状態、ディスク容量などの詳細情報も監視や管理が可能になり、機器管理の手間を大きく削減してくれる。
Wi-Fi 7対応機器をラインアップ
次にUNIVERGE QXシリーズを紹介しよう。UNIVERGE QXシリーズは、スイッチの「UNIVERGE QX-S」シリーズと無線LANアクセスコントローラー・無線LANアクセスポイントの「UNIVERGE QX-W」シリーズをラインアップしている。
UNIVERGE QX-Sシリーズは、レイヤ3スイッチやレイヤ2スイッチをはじめ、鉄道・工場・高速道路など設置環境条件が厳しい場所にも対応可能な耐環境モデルといった豊富なラインアップをそろえている。UNIVERGE QX-Sシリーズの機種は、ネットワークループを防止する「ループ検出」機能や、複数台のスイッチの一括管理が可能になる「IRFスタック」機能など、顧客の視点に立った多種多様な機能を搭載する。こうしたさまざまな状況で役立つ多様な機能を備えることで、エンタープライズネットワークのあらゆる領域やニーズに応える製品になっているのだ。
そのほか、データ通信が非常に少ないポートが自動的に省電力モードに移行する「Energy Efficient Ethernet」(EEE)機能など、省エネに貢献する機能を備える機種もラインアップしている。消費電力の削減に役立つので、サステナブルな職場を実現したい顧客にもお薦めできるのだ。
UNIVERGE QX-Wシリーズは、NECの最新ワイヤレステクノロジーを搭載することで、安定したカバー範囲と優れたユーザーエクスペリエンスを提供する製品だ。無線アクセスコントローラーでは、最大384台のアクセスポイントを管理可能なモデルや、1,536台のアクセスポイントを管理可能なモデルをラインアップする。大規模なオフィスや公共施設でも、UNIVERGE QX-Wシリーズ1台で設置した全てのアクセスポイントの管理が行えるので、ネットワーク管理者の負担を軽減してくれるのだ。
そして無線LANアクセスポイントは、フラグシップモデルの法人向けアクセスポイント「QX-W1240」が新規格のWi-Fi 7に対応している。Wi-Fi 7の特長である高スループットかつ低レイテンシーを実現し、大容量かつリアルタイム通信に強い無線LAN環境の構築を支援するのだ。またQX-W1240は、標準規格のWi-Fi 6Eも採用している。さらに2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯の三つの周波数帯域を同時に使える「トライバンド」により、最大12.9Gbpsの高速な通信を実現可能だ。通信機能を持つIoT機能を多数接続した際も、バンドを使い分けながら混雑を避けることで安定した通信ができる。
初期設定の自動反映が可能に
UNIVERGE IXシリーズとUNIVERGE QX-Wシリーズを使用する際に役立つのが、クラウド上で顧客単位・拠点単位のネットワーク機器管理が可能なNetMeisterだ。インターネットの接続環境さえあれば、NetMeisterに対応するネットワーク機器の運用管理をWeb画面から無償かつ簡単に行える。日本全国に設置された各ネットワーク機器の情報も一元管理が行えるため、地方に拠点を持つ企業でも効率的な機器管理を実現できる。
そしてNetMeisterは、ネットワーク機器の初期設定を自動化する「ゼロタッチプロビジョニング」機能を備えている。従来さまざまな拠点への装置展開時は、装置をキッティングするための装置保管場所を確保しなければならなかったり、キッティング作業にかかる余計な調整や費用が必要になったりしていた。しかしNetMeisterでは、各機器のコンフィグを事前にNetMeisterに登録し、装置にひも付けておけば良いのだ。あとは現地でLANケーブルを接続し、電源をオンにするだけで設定が自動反映される。ゼロタッチプロビジョニング機能を活用すれば、装置を展開する前にバージョンを合わせたり、設定投入をしたりといったキッティング作業が不要になる。機器配送までにかかる時間の短縮や、トータルコストの削減を実現可能だ。
通常の無償プランだけでも魅力的な機能を持つNetMeisterだが、有償機能の「NetMeister Prime」を使えば、さらに強化された管理機能を追加で利用可能になる。例えば、アプリケーションごとの通信料や詳細情報を解析できる「アプリケーション解析」機能や、UNIVERGE QX-Wシリーズに接続されている複数の無線端末の状態を一目で把握可能な「ワイヤレス管理」機能などだ。顧客の状況に応じて、NetMeister Primeの利用も薦めてみると良いだろう。
UNIVERGE IXシリーズとUNIVERGE QX-Wシリーズを使うことで、顧客のネットワーク環境の高速化を実現可能だ。さらにNetMeisterも使用すれば、機器管理の利便性も向上できる。