4月号からスタートする新連載「ソフトウェア&サービス評価室」では、編集部が注目したソフトウェア製品、またはクラウドサービスを紹介し、業務で活用できる機能や、その使い勝手などをお届けする。第1回目となる今回は、Zoom Communicationsと日本法人であるZVC JAPANが提供するコミュニケーションとコラボレーションの統合プラットフォーム「Zoom Workplace」(以下、Zoom)に搭載されたコミュニケーションを快適にする機能を紹介する。
Zoom Workplace
ZVC JAPAN
Web会議以外のコミュニケーション機能
多くのユーザーにとって、「Zoom」はビデオ会議ツールであるというイメージが強いだろう。新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリモートワーク環境に対応するために導入し、コロナ禍が落ち着いた現在のハイブリッドワーク環境でも、遠方の顧客とのやりとりなどに重宝している。しかしZoomはWeb会議機能以外にも、さまざまな機能を搭載している。代表的な機能として、メール機能「Zoom Mail」やチャット機能「Zoom Team Chat」、カレンダー機能「Zoom Calendar」などが挙げられる。
これらの機能は、ウインドウ上部に表示されているタブを選択するだけで利用できる。利用するアプリを逐一切り替えることなく、Zoomの中でコミュニケーションに関わる全ての業務を行えるのだ。例えば、カレンダータブを開いて1日の予定をチェックし、メールタブを選択して受信メールを確認。質問事項があればチャットで社内メンバーと相談できる。電話タブから顧客に電話をし、必要であればWeb会議に切り替えて資料や画面を共有する。本来なら複数のアプリを切り替えなければならないことが、Zoomの中で完結するのだ。
Web会議を快適にするために、Web会議機能「Zoom Meetings」にはにさまざまな工夫が盛り込まれている。ユーザーの声をあらかじめ録音して、より正確にノイズを低減できる「オーディオ分離」や、映っている人物を検知して背景を暗くする「ポートレート照明」といった機能を活用することで、相手に奇麗な映像と音声を届けられる。
中でも筆者が注目したのが「リアクション」機能だ。リアクション機能では「拍手」「いいね」といったアイコンを画面左上にポップアップ表示することに加え、アニメーションによるオーバーレイ表示でリアクションを見せられる。Web会議中は発言を妨げないように、発言者以外はミュートであることが多い。そのため、相槌といったリアクションがなく、発言者は自分の意見がどのように受け止められているか分からないのだ。リアクション機能を活用すれば、マイクのミュートを解除して話すほどでもない気持ちを伝えられる。さらにリアクション機能はハンドジェスチャーも認識する。ハンドジェスチャーの自動認識機能をオンにして、10秒ほど挙手またはサムズアップをキープすれば、自動で挙手やいいねのアイコンが表示される。


生成AIアシスタントで業務効率化
前述の通りさまざまな機能を搭載しているZoomだが、その中でも注目の機能として、生成AIアシスタント「AI Companion」が挙げられる。AI CompanionはZoom内のプラットフォーム全体で利用でき、ユーザーの業務効率化を実現する。
筆者も、Zoom Team ChatでAI Companionを試してみた。「プロジェクトの進捗状況を部下に聞く」とプロンプトを入力したところ、3秒程度で「プロジェクトの進捗状況と今後のマイルストーンについて、簡単に最新情報を教えていただけますか?」と質問文が生成された。日本語としてやや違和感があるように感じられるが、「改善」をクリックすれば、何度でも文章を生成してくれる。再生成の際、文章の長さやトーンの変更、翻訳も行える。もちろん生成した文章を基に自分で編集することも可能だ。

サードパーティー製アプリと容易に連携
Zoomはサードパーティー製アプリと柔軟な連携も行える。Google ドライブやDropbox、Boxといったオンラインストレージサービスと連携すれば、オンラインストレージサービス上に保管されている資料をZoom Team Chatで容易に共有できる。GmailやOutlookを接続すれば、Zoom Mail上でGmailやOutlookのメールボックスを確認可能だ。
サードパーティー製アプリケーションとの連携にかかる手間も最小限だ。Zoom CalendarとOutlookカレンダーの連携を試してみたところ、Zoomアプリ上からMicrosoft 365アカウントでログインし、「読み取り」「書き込み」の権限を設定するだけで、連携が完了した。従来使用していたアプリから、使用するツールをZoomに統合するための移行作業に時間も手間もかからない。
