高速かつ信頼性の高い通信を実現
「HPE Aruba Networking AP-735」の特長は、最新規格「Wi-Fi 7」に対応していることだ。Wi-Fi 7は2.4GHzと5GHzに加え、新しい周波数帯である6GHzを利用できる。6GHzは、電波干渉源の多い2.4GHzやDFSの影響を受ける5GHzと異なり、同時使用チャネルを大幅に増やすことで、通信速度の高速化を実現している。
さらにWi-Fi 7は通信速度の高速化のほかに、三つの技術を搭載している。一つ目が、「MLO(Multi-Link Operation)」だ。MLOには、複数の周波数帯を動的に切り替えてデータを送受信することで混雑した環境でも低遅延を維持できる「Alternating Multi-Link Operation」と、複数の周波数帯を同時に使用してデータを送受信することで、接続の信頼性を向上させられる「Concurrent Multi-Link Operation」の2種類の動作モードを有している。
二つ目が、「Multi-RU(Multiple resource unit)」だ。Multi-RUは、特定のデバイスに占有されていた周波数帯域を「RU(Resource Unit)」という単位に分割して、各デバイスに割り当てる技術だ。複数台のデバイスを同時に利用している環境下でも、通信速度の低下を防げる。
三つ目が、「Preamble puncturing」だ。Preamble puncturingは、干渉を受けたチャネルだけを排除して、ほかのチャネルは継続して利用できるようにする技術だ。これにより、柔軟にチャネルの利用が可能になり、通信速度の向上につながる。
それではHPE Aruba Networking AP-735でWi-Fi 7を利用するメリットは何だろうか。HPE Aruba Networking AP-735は、2.4GHzのチップを5GHzや6GHzに変更できる「Flexible radio」機能を備えている。2.4GHzしか利用できない古い端末がなくなった場合、HPE Aruba Networking AP-735に搭載されている2.4GHzに対応したチップが無意味となってしまう。Flexible radio機能を用いれば、こうした事態を防げるのだ。環境の変化に応じてチップを柔軟に使い分けられることに加え、同一製品を長期間利用できるため、投資保護の観点からもメリットがあるだろう。
さらにHPE Aruba Networking AP-735は、通信速度と信頼性の向上に寄与する機能を備えている。通信速度の向上に寄与するのが、特許取得済みの、5GHzと6GHzの間の干渉を最小限に抑える「ウルトラトライバンドフィルター処理」機能だ。本機能によって、干渉を回避するために従来は使用できなかった5GHzの上位チャネルと6GHzの下位チャネルを同時に使用できる。また信頼性を向上させるために、PoE対応の10GbEポートを二つ搭載している。データと電源の双方で冗長性を確保しており、事業継続性の確保に寄与する。
IoTゲートウェイとしても活用可能
エッジコンピューティングによるデータ活用の需要が高まり、エッジデバイスの一つであるIoT機器の活用が広まっている。しかし、IoT機器を安全に接続、管理、制御するには手間がかかる。こうした課題もHPE Aruba Networking AP-735によって解決可能だ。
HPE Aruba Networking AP-735は、二つの内蔵Bluetooth 5.4と802.15.4無線(Zigbeeサポート)、そして、さまざまな種類のIoT機器を接続可能な二つのUSBポートを備えている。異なる無線技術が同じ周波数帯を共有するときに、干渉を最小限に抑える「Advanced IoT Coexistence」機能を活用すれば、BluetoothやZigbeeによるデータ通信の容量を増量できる。IoTゲートウェイとしてHPE Aruba Networking AP-735を活用可能だ。
またIoTゲートウェイとしてアクセスポイントを活用するならば、位置情報とセキュリティも重要となる。HPE Aruba Networking AP-735は、自身の位置情報を高精度に把握できることに加え、高度なセキュリティ機能を有している。HPE Aruba Networking AP-735がどのようにして、自身の位置を高精度に把握しているのか。その理由の一つとして1メートル以内の精度で自身の位置を特定できる「IEEE 802.11az」に対応していることが挙げられる。さらに、屋内の位置を高精度に測定するGNSSレシーバーと、多層階の建物における高度を特定する気圧センサーを内蔵している。これらを活用することで屋内であっても3Dで自身の位置情報を把握できるのだ。
続いて高度なセキュリティ機能を見ていこう。無線接続のセキュリティを確保するため暗号アルゴリズム強度を従来の128bitから192bitの鍵長を有する「Commercial National Security Algorithm(CNSA)」を追加したWPA2の後継セキュリティプロトコル「WPA3」に対応している。また、有線接続のセキュリティを確保するために、イーサネットの通信を暗号化する「MAC Security(MACsec)」対応の10GbEポートを搭載。さらに、ネットワーク内のトラフィックを動的に分離し、ユーザーやデバイスがアクセス権限に基づいて通信できるようにする技術「ダイナミックセグメンテーション」に対応している。通信速度のパフォーマンスを維持しながらネットワーク全体のゼロトラスト化を実現する。
AIを利用した消費電力の削減
Wi-Fiの規格が新しくなるごとに大容量通信が可能になる一方、アクセスポイントの消費電力は増加してしまう。こうした課題もHPE Aruba Networking AP-735は解決できる。HPE Aruba Networking AP-735は、AIを活用した「ダイナミックパワーセービングモード」を備えている。過去の通信状態をAIが学習することで、接続ニーズが生じた時間帯には自動で起動し、接続する端末の少ない時間帯には多くの機能を止めて消費電力を10分の1以下にまで抑制する「Deep Sleepモード」に切り替える。消費電力の削減を実現するのだ。
こうした特長を備えるHPE Aruba Networking AP-735は、クラウドベースのネットワーク管理プラットフォーム「HPE Aruba Networking Central」に対応している。HPE Aruba Networking Centralは、複数拠点の無線、有線、WANのインフラストラクチャの管理を一元化したり、AIによるネットワークの監視やインシデントの検知、原因分析、対応策の提示が行えたりするため、ネットワーク管理にかかる負担を軽減させられる。
HPE Aruba Networking AP-735は、高速かつ信頼性の高い通信と高度なセキュリティを実現することに加え、優れたロケーション把握能力によって、IoTプラットフォームとしても運用可能なアクセスポイントだ。