新しい業務の伝達や既存の作業の引き継ぎをする上で、その内容を正確に伝えるための手順や操作を記録したマニュアルの存在意義は大きい。特にPCを使った業務の多くは、作業の手順が複雑になる傾向があるだけに、画面に表示される多くの情報に対して的確に操作するためのマニュアルは、業務の効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進にとって不可欠な存在となる。しかしマニュアルの作成にはある程度の経験やスキルが必要で、時間も手間もかかる。そんな課題を解決してくれるツールとサービスが、テンダの「Dojoシリーズ」だ。
PCの操作でマニュアルを自動作成
「Dojoシリーズ」には、大きく分けて三つのツールとサービスが用意されている。その中で最も古くから提供されているツールが、マニュアルを自動作成する「Dojo」だ。Dojoは、専用アプリをインストールしておくとPCの操作をキャプチャーして保存できる。Dojoのキャプチャーツールでは、ユーザーがどのようにテキストボックスやボタンなどを操作したのかを正確にトレースして、保存する。保存した操作手順を基に、トレースされた画面ごとにキャプション付きマニュアルが自動で作成される。自動的に作られたマニュアルは、WordやExcelなどのドキュメントに出力したり、HTML5やMP4といった動画ファイルとして保存したりできる。また、操作内容は専用の編集ツールで修正も可能だ。記録された操作に従ってテキストボックスやボタンへのキャプションなどを編集できる。
オフィスワーカーを中心にPC操作の頻度が増している現在、新しい業務システムやサービスの導入において、新たなPC操作の習得は必須となっている。それだけに、新システム導入によるDX推進にとって、操作方法を全社的に伝達するためのマニュアルは重要な役割を担っている。例えば、NTTコムウェアではDX推進のために、115社の約25万人が利用する業務システムを新規導入した。この業務システムの習熟にDojoを活用したのだ。また、BPRツールで洗い出した業務フローとDojoを連携させて、業務の流れを可視化したダスキンのような活用例もある。ダスキンの事例では、1画面ずつキャプチャーしてWordやExcelに貼り付けていた作業が、Dojoによりマニュアルの作成時間が10分の1になった。
テンダの調査によれば、3,007社の導入実績の中で業種別の1位は858社の情報通信事業者だという。2位は624社の製造業で、3位が384社のサービス業と続く。やはりPCを業務に利用している業種や業態が多い。その一方で、小売・流通やサービス業といった現場で働く人が多い業種もある。そうした業務の多くは、倉庫や工場、バックヤードなど現場での業務が中心になる。そこで、現場の業務が求めるマニュアル作成に応えるために、テンダでは「Dojoウェブマニュアル」というシリーズラインアップをそろえている。
スマートフォンでマニュアルを作成
Dojoウェブマニュアルは、スマートフォンで撮影した動画や静止画などを使って業務手順をマニュアルにできる。PCにインストールして利用するDojoとは異なり、Dojoウェブマニュアルはクラウドサービスになる。5名までなら無料で利用できるフリー版から50名まで対応する有償のベーシックプラン、250名までのビジネスプラン、ユーザー数に制限のないエンタープライズプランが用意されている。クラウドサービスのため、マニュアル作成にはPCのほかにスマートフォンやタブレットも利用できる。具体的には、現場の作業風景などをスマートフォンのカメラで撮影し、Dojoウェブマニュアルにアップロードすると、撮影した画像や動画に合わせたマニュアルが作成される。作成されたマニュアルは多言語翻訳に対応しているので、日本語で作成しても英語や中国語などの言語に翻訳できる。外国人労働者が働く現場で、多言語翻訳は作業手順の円滑な伝達などに活用されている。
Dojoウェブマニュアルは約700社で利用されているが、1位の業種はサービス業の24.1%になる。続いて小売業・卸売業が19.3%の2位で、3位は製造・機械の18.8%になる。そのほかの業種では、建設業や教育関連、インフラ部門などでも導入実績がある。IT業界に身を置いていると、マニュアルといえばPCの操作と考えてしまいがちだが、作業手順をはじめとして多くの現場でもマニュアルを必要としている。そうしたニーズに応えるDojoウェブマニュアルは、これまでアプローチできていなかった業種や業態への提案が期待できる。実際にフリー版を試してみると、短時間で実践的なマニュアルの作成が行えた。そうした体験を基に提案していくと、現場で働く人たちの作業の効率化や、正確な指示の伝達を実践したい管理者に注目してもらえるだろう。
ワークスタイルの変革に貢献
残る一つのDojoシリーズは、Webブラウザーに操作ガイドを表示する「Dojoナビ」だ。DojoナビはWebブラウザーの拡張機能として動作する。対応するWebブラウザーはChromeとMicrosoft Edgeだ。Dojoナビを導入したWebブラウザーは、操作手順がWebブラウザー上に表示されるようになる。社内の各種申請をはじめとした業務システムの多くが、Webアプリへと移行している現在では、マニュアルを読んで操作を覚えるよりも、オンラインチュートリアルのように直接ガイドが表示される方が短期間に操作を習得できる。新規のWebアプリを全社規模で導入して短期間でDXを推進したいときにも、Dojoナビを活用すればヘルプデスクへの問い合わせを減らして、現場での習熟度を促進可能だ。
ワークスタイル変革にとって、デジタル技術の活用を加速するDX推進は必須のテーマとなっている。しかし、DX推進に横たわる意外な障壁が「使い方が分からない」という新規のシステムに対する現場の拒絶反応にある。そうした課題を解決するために、講習会を開いたり、ヘルプデスクの人員を増強したり、現場に指導者を派遣したりするなどの手間と時間とコストをかけてきた。もちろん、現場で手作りのマニュアルを作成して配布している企業も多い。そうした取り組みの中で、Dojoシリーズによるマニュアル作成の自動化やDojoウェブマニュアルのような現場に即した操作説明、Webブラウザーに表示される操作ガイドは、大きな効果を期待できる。
テンダでは、ツールやサービスの提供だけではなく、マニュアル制作そのものもアウトソーシングとして請け負う体制も整えている。DX推進や働き方改革につながるマニュアルや手引書を求めているビジネスの現場には、提案する意義のあるソリューションといえるだろう。