子供の眠りをAIカメラが見守る

–Baby Tech– 成田国際こども園

乳幼児が睡眠時に原因不明のまま突然死してしまう「乳幼児突然死症候群」。これを防ぐため、ITが役立っている。人の目とデジタルの目で子供を見守る成田国際こども園の事例を見ていこう。

安心・安全をシステムがサポート

 成田国際こども園は、2017年に開園した認定こども園だ。保育と教育を一体化した保育所型こども園として、子供の自由や発想を尊重しながら読み書きや音楽などの教育に取り組んでいる。姉妹校にインターナショナル幼稚園であるサンバレーインターナショナルスクールがあることから、特に英語教育に力を入れている。

 その成田国際こども園では、安心・安全のためにさまざまなITツールを導入している。例えば保育・教育施設向けの業務支援ツールである「CoDMON」(コドモン)を活用し、保護者からのスムーズな出欠連絡や、園からの連絡などを実現している。それに加え、園児のお昼寝中の事故を防止するため、カメラ型の午睡見守りシステム「ベビモニ」を園内に設置している。

 もともと同園では、3年ほど前から他社製の午睡見守りシステムを活用していた。しかしそのシステムは、午睡見守りには有効であった一方で、ある課題があった。「以前導入していた見守りシステムは、子供の服にウェアラブルデバイスを装着して、Bluetoothで子供の寝返りの情報などを取得するようなものでした。こうしたデバイスはお昼寝のたびに子供たちの服に装着する必要があったり、ボタン電池で稼働するため電池交換の手間が発生したりと、スタッフにとっての負担が少なくありませんでした」と同園の事務を担う手塚夏織氏は振り返る。

1.千葉県成田市の公津の杜公園近くに位置する成田国際こども園。広い園庭と明るいテラスがあり、子供たちが生き生きと通っている。2.3.保育と教育を一体化した保育所型こども園として、子供の自由や発想を尊重しながら読み書きや音楽などの教育に取り組んでいる。特に英語教育に力を入れており、姉妹校であるサンバレーインターナショナルスクールおよび、幼児英語指導に精通したベテランの先生が英語指導に当たっている。

見守りの精神的な負担が低減

 そこで、以前使用していた午睡見守りシステムの契約が切れるタイミングで新しいシステムへ切り替えることを決断。ちょうどコドモンとベビモニの連携が始まるタイミングでその存在を知り、2022年2月ごろに導入した。「ベビモニはカメラ型なのが良いですね。カメラを1台天井に取り付ければ10人までの子供たちを見守ってくれます。天井からの見守りになるので、精度が低いのではないかと心配していましたが、寝返りした向きなどをしっかり記録してくれます。また人もそばについているので、必要最低限のコストでしっかりとした見守り体制が構築できています」と手塚氏。

 実際に保育士として同園で働く綾田奈津子氏は「昨年4月からここで働いているため、以前のシステムを使ったことはないのですが、子供にとってストレスがなく見守りができるのは非常に良いと思います。もちろん私たちも人の目できちんと呼吸しているかチェックしますが、システムでも見守っていることで精神的負担が低減されています」と語る。現在は、これらの午睡の記録を手書きで行っているが、将来的にはベビモニのシステム上の記録を活用し、手書きをなるべく減らしていきたいという。

「子供たちは常に動いているため、デジタルの活用で記録の作業を効率化して子供と向き合う時間を増やし、保育の質を向上していきたいですね」と手塚氏は展望を語った。

4.午睡見守りシステムとして活用しているベビモニ。アプリ上では子供の寝返りの様子を確認できる。5.天井にはベビモニのカメラが取り付けられており、AIによって寝返りを識別している。6.カメラは園内に1台設置している。1台で10人を見守れるため、コストを抑えた導入が可能だ。