Target.3
HaaS
Hardware as a Service

ビデオ会議デバイスをサブスク化

 シスコシステムズが始めたHardware as a Service for Webex Devices(HaaS)は、同社がラインアップするビデオ会議デバイスをユーザーが月額や年額で利用できるサブスクリプションサービスだ。対象機種は以下の6製品で、3台以上からサービスが契約できる(デバイス登録ライセンスはユーザーが用意する必要がある)。

「Cisco Webex Desk Pro」
「Cisco Webex Room USB」
「Cisco Webex Room Kit Mini」
「Cisco Webex Room Kit」
「Cisco Webex Room Kit Plus」
「Cisco Headsets」

 Cisco Webex Desk Proは、モニターやカメラ、スピーカーなどが一体となった卓上用のオールインワンデバイス。医療現場などでの導入も進んでいる。Cisco Webex Room KitやCisco Webex Room USBは、カメラやスピーカー、マイクが統合されたデバイスでモニターと接続して利用するビデオ会議システムだ。

 これらのデバイスが用意されたHaaSは、サービスの開始後1年目以降に中途解約ができるようになり、3年目以降は無償で新機種への変更が可能だ。サービスのメリットとしてシスコシステムズは六つのポイントを挙げている。


①購入後の初期設定作業―注文内容の動作確認、管理番号の採番、情報登録、レンタルシール添付などを実施。
②セットアップ手順書の同封―ユーザー自身でセットアップできるよう、簡易的な手順書を添付。
③各指定場所への製品配送&回収手続き―指定場所(個人宅も可)に対して配送/回収。
④安心の保険事故対応―契約期間中は動産総合保険を付保。
⑤回収後のリセット、データ消去、物件廃棄―製品の回収後はリセット、データを消去し、法令に則って処分。
⑥契約中の契約データ管理―面倒な契約期間や資産番号などの管理も実施。

長期的なビジネスの獲得が可能に

シスコシステムズ
石黒圭祐氏

 シスコシステムズの石黒圭祐氏(同社 執行役員 コラボレーション アーキテクチャ事業担当)は、HaaSを開始するに至った背景をこう振り返る。「コロナ禍でWebexの利用が拡大する中、企業のオフィスや従業員宅だけでなく、医療や小売、学校などの現場でも、もっと気軽にビデオ会議システムを使いたいという声をいただくようになりました」

 コロナ禍がいつまで続くか不透明な状況において、ユーザーとしては、ビデオ会議システムを購入してしまっていいのかどうか、また、多拠点や従業員宅への導入に際しては配送や管理・キッティングなどをどうすればいいのかといった懸念を持つ。そこでシスコシステムズは、ビデオ会議システムを月額提供のas a Service化することで、従来よりも気軽に導入できる体制を整備したのだ。

 販売パートナー経由での提供が可能なHaaSについて石黒氏は、「Webexのライセンスと一緒に提案することで、エンドユーザーにはより高品質なビデオ会議環境の提供が可能になります。販売パートナーの皆さまの提案力や競争力の強化にも寄与するでしょう」とその魅力をアピールする。

シスコシステムズ
竹内太郎氏

 シスコシステムズは、HaaSの先行版を昨年秋から案内している。シスコシステムズの竹内太郎氏(同社 執行役員 シスコキャピタル事業担当)は、「HaaSへの反応は非常にいいですね。病院や大学などで突発的に発生するニーズにも応えられるサービス設計であり、費用は月額払いなのでOPEXとして気軽に利用できる点が支持されているのでしょう」と分析している。

 HaaSは、ビデオ会議デバイスの販売形態の新たな選択肢だ。ユーザーニーズに合わせて、従来通りの買い切り型か、サブスクリプション型のHaaSかを提案できるようになる。「お客さまの状況に合わせて提案していただきたいですね。販売パートナーの皆さまにとってのHaaSの魅力は、サブスクリプション販売による長期的なビジネスの獲得や、付加サービス、追加のライセンス販売の機会が増える点にあります」(竹内氏)

 これからシスコシステムズはHaaSの認知度を高め、必要に応じてサービスを適時アップグレードしていくという。