「NEXT GIGA」
学習から校務までトータルで公共DX支援
今回からスタートする新連載「月刊マイクロソフト」では、日本マイクロソフトが取り組むビジネスや提供するソリューションにフォーカスし、商機が期待できる旬な情報をお届けする。第1回目となる今回はPC の新規需要など業界で大きな商機が期待されている「NEXT GIGA」に向けた教育現場や自治体への取り組みと、パートナー企業のビジネス拡大に向けた支援を紹介する。
NEXT GIGA の学習者用端末を
多様なラインアップから選ぶ
GIGAスクール構想により、学校現場の児童生徒に1人1台の学習者用端末が整備されたのは2020年のこと。日本マイクロソフトがOSを提供する Windows 端末も、多くの学校現場の学習者用端末として採用されており、学びのDXに寄与している。その一方で学校現場では、当時整備された学習者用端末の運用に対する課題も存在していた。
例えば学校環境における技術支援や、教育ICT利活用促進のための校務・学習のサポートなどだ。日本マイクロソフトではそうした第1期GIGAスクールの反省点から、第2期GIGA スクールである NEXT GIGA に向けての取り組みを強化している。
まず学習者用端末の高性能化だ。第2期GIGA スクールでは、文部科学省が示す「学習者等コンピュータ最低スペック基準」の Windows 端末の推奨メモリーが第1期GIGAスクールの推奨メモリー 4GB から上がり、8GB 以上(ブラウザーベースの利活用を中心とする場合は 4GB でも可)となっている。日本マイクロソフトではこの仕様書を受け、用途に合わせて選べる2 種類の学習者用端末を提案している。一つ目がメモリー 8GB /ストレージ 64GB または 128GB 以上の「GIGA Advanced パソコン」、二つ目がメモリー 4GB /ストレージ 64GB の「GIGA Basic パソコン」だ。日本マイクロソフト パブリックセクター事業本部 公共・社会基盤統括本部公共戦略営業本部 本部長 兼 GIGA スクール政策室長 宮崎翔太氏は「第2期GIGA スクールにおける学習者用端末に対する補助基準額は1台あたり5万5,000円です。GIGA Advanced パソコンは各PCメーカーさまのご尽力で、現在多くのPCメーカーさまから、MDMや学習ソフトなどを含めても予算に収まる価格での提供が予定されています」と語る。
教員の校務DX を支援する
マイクロソフトソリューション
そしてこの学習者用端末で利用するアプリケーションや管理ツールを提供しているのが、Microsoft 365 のアカデミックプランである「Microsoft 365 Education」だ。宮崎氏は「多くの自治体や学校現場で、先生方の校務用端末のライセンスとしてMicrosoft 365 Education が採用されているケースが多いのですが、実は『Microsoft365 A3』もしくは『Microsoft 365 A5』を利用されている場合、生徒利用特典の活用により児童生徒用のライセンスの料金が不要になります。具体的には先生1名あたり児童生徒40名のライセンスが無償になるため、実は現在使っているライセンスを見直すと、コスト削減につながる可能性があります」と指摘する。
また Microsoft 365 A3/A5 ライセンスでは、Windows OS、iOS、Chrome OS、Mac OS といったマルチOS に対応するMDM ツール「Microsoft Intune」(以下、Intune)が利用できる。Intune と Entra ID を活用し、Windows Autopilot 機能を利用すれば、ポリシーの割り当てやアプリケーションの配布などが一括で行える。問題になっていた Windows Update も、Intune により更新のタイミングを指定することで授業を邪魔しないタイミングで自動的にアップデートしたり、端末がアップデートを互いに共有してネットワークの負担を削減したりすることが可能になる。
「NEXT GIGAというと、学習者用端末のリプレースにばかり目が行きがちですが、実は校務DXも喫緊の課題です。NEXT GIGAの次となる第3期の端末更新の指針『教育DXに係るKPI』には校務DXも盛り込まれており、『クラウド環境を活用した校務DXを徹底している学校』は2026年度までに100%実現を目指しています。こうしたクラウド化への対応は、Microsoft 365 Education の導入および活用で対応が可能になるでしょう。また現在、多くの先生方は校務用PCと、指導者用PC(授業で使用するPC)の2台のPC を使用しているケースが多いのですが、これらの端末を1台に集約したり、スマートフォンなどのデバイスなども含めてゼロトラストを実現し、どこでも安全に働けるロケーションフリー校務を実現したりすることが、校務DXの第一歩です。そうした環境でも、Microsoft 365 Education に搭載されたセキュリティ機能によって、侵入者をブロックしたり、誤って子供たちに機微データを送信してしまっても、アクセス権がないユーザーはデータを開けないような機能などによって、セキュアな校務DXを実現できます」と宮崎氏は語る。
校務DXを実現する上で、AIが搭載されたマイクロソフト製品を活用することは非常に有効だ。例えば「Copilot for Microsoft 365」を活用すれば、Word 文書からPowerPoint スライドを生成することで、教材作成の負荷を下げられる。また同社のWeb会議ツールとして知られる Teams の教育版「Teams for Education」にはAI 学習アプリ「Learning Accelerators」が組み込まれており、子供たちの教育をサポートする。他にも Windows OS 無償で標準搭載されるAI機能もあり、これらを利用すれば、業務負担をAIが軽減しながら、より高度な教育へとシフトしていけるのだ。
新たな認定プログラムを開設し
教育現場への提案をサポート
日本マイクロソフトでは、こうしたNEXT GIGA の環境整備や、2025年10月に迫る Windows 10 のサポート終了に向けた法人の支援を目的としたデバイスの展開・運用のノウハウを販売パートナーに提供するため、今回新たに二つの認定プログラムを提供する。一つ目が前述した Intune や Autopilot を活用したPC管理のノウハウを有するパートナーに向けた「ゼロタッチデバイス管理パートナー」、二つ目がマイクロソフトの最新教育ソリューションの提案など、学校環境に適したICT 活性化の促進を行える「GIGAソリューションパートナー」だ。宮崎氏は「第1期GIGAスクールの課題として、円滑な端末管理が行えなかった点や授業での端末活用があまり浸透しなかったという点がありました。今回の認定プログラムでは、そうした教育現場の課題に対して、当社が認定したは販売パートナーさまと共に支援をすることで、より教育現場のDXを実現していくものです」と語る。
また最新の Windows 11 Pro の性能の紹介や「Microsoft Copilot」をはじめとするさまざまなAI機能やAIを活用した教育を実際に体験できるイベントとして「Microsoft AI ロードショー」を全国47都道府県で実施する予定だ。「本ロードショーではダイワボウ情報システム(DIS)さまをはじめとしたディストリビューターとともに、全国の教育現場の先生方への情報発信の場として展開していきます。NEXT GIGA の端末更新はもちろん、我々が強みとする自治体や校務端末の Windows 10 から Windows 11 へのリプレース、先生方の校務支援に至るまで、学校を含めた公共全体のDXに向けた支援を今後も続けていきます」と宮崎氏は力強く展望を語った。
ダイワボウ情報システムの教育ICTへの取り組みは、こちらをご参照ください。
https://sip.dis-ex.jp/