第一回
コスパ抜群なSIMフリースマホ「SAMURAI REI」レビュー
文/ジャイアン鈴木
ビジネス遣いに過不足なし!
安価なミドルレンジ機「SAMURAI REI」
SIMフリーAndroidスマートフォン「SAMURAI REI(FTJ161A-rei)」はフリーテル社製のミドルレンジモデル。2万9900円(税別)と比較的購入しやすい価格設定ながら、指紋認証センサーを搭載し、またメタルシルバー、スカイブルー、シャンパンゴールド、ピンクゴールド、メタルブラックの5色のカラーラインナップを用意するなどデザインにも注力しているモデルだ。今回フリーテルからシャンパンゴールドモデルを借用できたので、実際の使用感についてレビューしていこう。
CPUはやや非力だが、ミドルレンジモデルとして順当なスペック
SAMURAI REIはCPUに「MT6753」(8コア、1.3GHz)、メモリー(RAM)2GB、ストレージ(ROM)32GBを搭載し、マイクロSDカードで最大128GBまでストレージを増量できる。OSは執筆現在で最新バージョンの「Android 6.0 Marshmallow」が採用されている。
フリーテルのフラッグシップモデル「SAMURAI KIWAMI(FTJ152D-Kiwami)」と比べるとスペックはやや落ちるが、最新のAndroid OSを搭載している点や、指紋認証センサーを実装している点など、SAMURAI REIのほうが勝っている点も多い。
SAMURAI REIとKIWAMIの主要スペック比較
SAMURAI REI | SAMURAI KIWAMI | |
---|---|---|
CPU | MT6753(オクタコア、1.3GHz) | MT6795(オクタコア、2.0GHz) |
メモリー(RAM) | 2GB | 3GB |
ストレージ(ROM) | 32GB | |
外部メディア | 128GBまで利用可能 | |
OS | Android 6.0 | Android 5.1 |
カメラ | メイン1300万画素、サブ800万画素 | メイン2100万画素、サブ800万画素 |
ディスプレー | 5.2インチ、1920×1080ドット | 6インチ、2560×1440ドット |
サイズ | 145.8×71.5×7.2mm | 159.5×82.9×8.9mm |
重量 | 約136g | 約182g |
指紋認証センサー | あり | なし |
多くの機能を集約した独自ボタン「FREETELボタン」
SAMURAI REI最大の特徴が指紋認証センサーを兼ねている「FREETELボタン」。軽いタップに「戻る」、2回押しに「マルチタスク」、1回押しに「ホーム」ボタンが割り当てられており、親指だけで多くの操作をこなせる。
一見すると、ホーム、戻る、マルチタスクボタンが別になっている一般的なAndroidスマートフォンより指の移動が少ないぶん操作しやすそうだが、個人的には馴染めなかった。スマートフォンではアプリをマルチタスクボタンで切り替える機会が多いが、SAMURAI REIではFREETELボタンを2回押し込まなければならない。この動作に、片手で持っているときに端末を落としてしまうような不安を感じたのだ。
両手持ちしているときはよいが、片手持ちしているときに端末下側のボタンを押し込む操作はやや不安定な印象を受けた。
指紋認証センサーの読み取り速度自体は、「iPhone 6s Plus」や「Galaxy S7 edge」と比べると体感できる速度差はあるが、十分実用的と言えよう。ただし、指紋登録時にあまり指を動かさなくても登録完了してしまうので、指紋の広い範囲を登録するのが少々難しい。もし指紋認証に失敗することが多いのであれば、あらためて登録し直したほうがいいだろう。よくロック解除に使う指は、上半分と下半分を別々の指として登録しておくのも有効だ。
実用十分なパフォーマンス
SAMURAI REIが搭載しているCPU「MT6753」はミドルレンジクラスの製品だが、実際にはどのくらいのパフォーマンスを備えているのだろうか? 今回、「Snapdragon 820(MSM8996)」(4コア、2.2GHz+1.6GHz)を搭載するGalaxy S7 Edgeと、「Apple A9」(デュアルコア、1.85GHz)を搭載するiPhone 6s Plusでベンチマークスコアを比較してみた。下記がその結果となる。
AnTuTu Benchmark | Geekbench 3 | 3DMark (Ice Storm Unlimited) | 3DMark (Sling Shot ES3.0) |
|
---|---|---|---|---|
SAMURAI REI | 36498 | 2697 | 6902 | 294 |
Galaxy S7 edge | 134267 | 4796 | 25022 | 3027 |
iPhone 6s Plus | 139864 | 4441 | 29244 | 2463 |
※数値が大きいほど高速
ベンチマークの数値を単純に比較するとかなりの大差となった。特に、高い3Dグラフィック性能が要求される「3DMark(Sling Shot ES3.0)」では、iPhone 6s PlusとSAMURAI REIでは約10倍ものスコア差となった。派手なグラフィック処理をふんだんに使った3Dゲームを遊ぶには、SAMURAI REIは役者不足となることがあるだろう。とは言っても比較的処理の軽い「マインクラフト」や「Riptide GP2」などは、ほとんどコマ落ちを認識することなくプレイできた。
また、クラウドサービスでのファイル転送やメッセージングサービスなどビジネス分野でよく使うアプリを利用する分には、3Dグラフィック性能は不必要。そして上記2機種はハイエンドのなかでも評価が高く、SIMフリー版は8万円前後と高額であることを考えると、最新鋭機の約3分の1の価格で買えるREIは高コスパといえる。
現在スマートフォンゲームの主流となっているカジュアルゲームであれば十分快適に遊べる。
やや色が濃く出るが使いやすいカメラ
カメラ性能についても、Galaxy S7 edgeとiPhone 6s Plusと撮り比べてみたのだが、予想は良い意味で裏切られた。色調に大きなクセはなく、また解像感も高い。接写してもしっかりピントが合って使いやすいカメラだ。
SAMURAI REI
Galaxy S7 edge
iPhone 6s Plus
SAMURAI REI
Galaxy S7 edge
iPhone 6s Plus
SAMURAI REI
Galaxy S7 edge
iPhone 6s Plus
しかしGalaxy S7 EdgeやiPhone 6s Plusと比べるとやや色が濃く、そして少し露出が高い傾向があるのがわかる。手動で補正するのも手間がかかるので、ファームウェアアップデートでぜひ改善してほしいところだ。
コストパフォーマンスは抜群、独自デザインの確立に期待!
SAMURAI REIのコストパフォーマンスは非常に高い。処理性能はハイエンド機に及ばないものの、指紋認証センサーや高解像度カメラなど、流行の機能に力を入れている点は正直唸らされる。個人的には合わなかったがFREETELボタンなど独自機能を盛り込もうとする姿勢も素直に賞賛したい。
あえて注文を付けるとしたらデザインにも独自性を持たせること。カラーリングはともかく、造形はどこかで見たことがある感がぬぐえない。フリーテルならではの一貫したデザインコンセプトをぜひ作り上げていってほしいところだ。
3万円アンダーとは思えないほど、SAMURAI REIのアルミ製フルメタルボディは美しい。
筆者プロフィール:ジャイアン鈴木
EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。