デジタルツイン

デジタルツイン(Digital Twin)とは、フィジカルな現実空間で収集したデータを基に、仮想空間に同じ環境を再現したもの。現実と対になる「デジタルの双子」という意味でデジタルツインと名付けられた。デジタルツインは都市や建物、製品などの計画/設計・製造・運用など幅広い用途での活用が進んでいる。

デジタルツインが注目されている背景には、AI(人工知能)やVR、IoT5GなどのIT技術の発達がある。

例えば、新製品を設計する場合、IoTで接続するデバイスにより現実空間からリアルタイムデータを取得し、サーバー上の仮想空間に送信。仮想空間に蓄積したデータをAIが分析・処理・シミュレーションを行う。シミュレーションの結果を現実空間にフィードバックして、問題点の対策や改善を実行する。継続的なデジタル上でのシミュレーションにより、設計や製造のコストダウンや品質向上が実現できる。

デジタルツインの登場は製造業をはじめ、もの作りや開発の現場に大きな変化をもたらした。業務のシミュレーションや試作品のトライアンドエラー、現実では難しい大規模なシミュレーションも、デジタルツインなら可能となる。

デジタルツインはまだ発展途上の技術であり、解決しなければならない課題も存在する。まず、システムを構築するためのコストがかかる。導入と管理に高度な技術力が必要となるが、人材の確保が難しい。情報をデータ化してネットワーク上に流すため、セキュリティリスクが発生する可能性もある。導入には十分な検討と準備が必要だ。

とはいえ、デジタルツインの活用は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進につながり、新たな価値の創出が期待できる。行政やビジネスの分野でのさらなる普及が予想される。
(青木逸美)

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