空間コンピュータ

空間コンピュータ(Spatial computing)は、現実の世界とデジタル空間(仮想空間)を融合させる技術のこと。3Dモデリング技術、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などのXR(クロスリアリティー)の様々な技術を総合的に活用し新たなデジタル体験を提供する。「空間コンピューティング」とも呼ばれる。空間コンピュータの概念は2003年、米国マサチューセッツ工科大学のSimon Greenwold氏が定義したといわれる。

装着できるデバイスによって、オーディオデバイス、自動車、ロボットなど、あらゆるハードウェアが空間コンピュータの一部となりえる。製造や医療、小売、エンターテインメントといった幅広い業界で導入が進み、今後の可能性拡大にも期待が集まっている。

2023年に米アップルがMRデバイス「Apple Vision Pro」(以下、Vision Pro)を発表して大きな話題となった。Vision Proはゴーグル型のデバイスで、形状だけなら既存のMRヘッドセットと大差ないが、独自のOS「vision OS」を採用、「肉眼で見たまま」の風景にアイコンやアプリ、映像などが配置される。音声や目の動きをカメラが検知し、手・指の動きでアプリを操作する。コントローラは不要だ。デジタルデバイスの視覚的なストレスを軽減し、直感的なユーザー体験を実現する。

先行するアップルを追うように、メタ・プラットフォームズは前面に3つのセンサーを搭載した「Meta Quest 3」を発売、Googleはクアルコムやサムスンと共同開発したMRデバイス用OS「Android XR」を発表した。2025年内には対応端末を発売する予定だ。また、初代Vision Proは生産終了したものの、次世代モデルや廉価版が期待されている。今後、空間コンピュータ市場の競争激化が予想される。

(青木逸美)

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