マイグレーション
マイグレーション(migration)は、「移動・移住・移転」を意味する言葉で、ITではハードウェアやソフトウェア、データなどを新しい環境に移すことを指す。新しいシステムへの切り替えもマイグレーションと呼ぶ場合がある。例えば、オンプレミスからクラウドサービスに移行するのも、マイグレーションに該当する。なお、システムの更新(アップデート)は、マイグレーションに当てはまらない。
マイグレーションと混同されがちな言葉に「コンバージョン(CV)」がある。コンバージョンは「変換・転換・転化」という意味で、データやファイルを異なる仕様に転換することを指す。
老朽化したシステム(レガシーシステム)を使い続けると、システム全体のブラックボックス化が進み、全社横断的なデータ活用が困難となる。新しい技術に対応できなくなり、顧客の要望に応えられないリスクが生じる。また、最新のセキュリティ対策を取り入れるためにも、マイグレーションは必要不可欠と言える。
マイグレーションは既存のシステムを活用して、システムやデータを移行するため、これまでのノウハウを生かすことが可能だ。従業員を教育する手間を軽減し、業務への支障を最小限に抑えることができる。また、システムやソフトウェアをゼロから構築するよりも、開発コストを抑えやすいというメリットもある。
マイグレーションの手法には「リライト」「リホスト」「リビルド」「クラウド」の4種がある。
・リライト
既存のプログラムを新しい言語で書き換えてシステムを構築する。
・リホスト
既存のプログラムはそのままで、ハードウェアやOSを新しいプラットフォームに移行する。
・リビルド
既存のシステムをベースに、最適化されたシステムとして再構築する。
・クラウド
オンプレミスからクラウドへ、クラウドから他のクラウドへ移行する。SaaS移行とも呼ばれる
それぞれに特徴があり、移行の難易度も異なるため、現行システムの課題や予算、人員にあわせて最適な手法を選ぶ必要がある。システムの規模によっては、手間やコストが肥大化する場合もある。