iPhone 7販売開始。日本独自仕様になったiPhone 7 Plusをさっそくチェック
防塵防水にSuica対応で、ビジネス利用が加速か
文/飯島範久
予約数が過去最高を記録し品薄状態に
予約数は過去最高と各キャリアが発表しているように、iPhone 7はかなり人気が高いようだ。特に今回初投入されるカラー「ジェットブラック」は、旗艦店であるアップルストア表参道店でも入手困難な状況で、予約者以外に在庫を確保できず、行列しても購入できない状況だった。また、iPhone 7 Plusの入荷数がiPhone 7に比べて圧倒的に少なく、予約開始直後に予約完了しても、色や容量によっては発売日当日に入手できないという状況に陥っている。
筆者も予約開始直後の16時6分に予約を完了したが、キャリアや選んだ色と容量、受け取りを選択した店舗がたまたま運良く在庫確保できたので、発売当日に入手できた。iPhone 6sからの乗り換えでドコモのiPhone 7 Plusでローズゴールド、128GBを選択。個人的には小さいサイズのほうが好きなのだが、今回はカメラ機能の差が大きいので、サイズのことは目をつぶり、Plusを選んだ。
さっそく開封してみると、充電用アダプターのほかに、付属品にLightning端子接続のイヤホン「EarPods with Lightning Connector」と従来のヘッドホンが利用できる「Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」が同梱されている。イヤホンジャックが廃止されたが、機能性が損なわないよう対策がなされている。
ただ、アップルはワイヤレス接続とサウンド周りの専用チップ「Apple W1」を開発し、Bluetoothイヤホンの「AirPods」を発表。アップル傘下のオーディオブランドBeatsのBluetoothヘッドホンにも採用されていることを考えると、ワイヤードからワイヤレスへの流れが加速することは間違いない。
サイズ的にはiPhone 6s Plusと変わらないが、カメラレンズ部分の出っ張りは実測で1.3mmほどもある。iPhone 6sが約0.6mmだったので倍以上高くなっていることになる。このあたりは、薄いケースを選ぶとレンズ部分が保護できないので注意したほうがよさそうだ。
起動してみると、さっそくOSのアップデート10.0.1が落ちてきた。バグフィックスがメインのようだ。物理ボタンから感圧式に変更されたホームボタンは、これまで使っていたユーザーだとかなり違和感がある。すでにMacBookで採用されているタップティックエンジンを使用したトラックパッドと同様の仕様だが、「押した」という感覚を押した指より本体を支えている指のほうに伝わる感じ。
設定により3段階のクリック感を選択できるが、使い始めはちょっと強めの3がいいかもしれない。ただ、まる1日使っているとだいぶ慣れてきて、ほとんど違和感がなくなることを付け加えておく。
OSもiOS 10になり、設定の[サウンドと触感]にある[システムの触覚]という項目ができ、設定などのオン/オフを示すトグルスイッチをタップしたりコントロールセンターを表示したりするとクリック感が得られるようになった。こちらはバイブレーターで操作感を伝えるよりかなりいい感じで、設定をオンのまま使いたい仕様だ。
チョイ寄り撮影がキレイで手軽にできる便利さ
Plusを選んだ最大の理由のひとつ、カメラ機能はレンズの切り替えで等倍と2倍のズーム機能が用意された。撮影してみると、広角がf1.8のレンズを採用し、明るくなったことで従来よりはキレイに撮影できるようになったのと、2倍とはいえ光学ズームが使えるのはとても便利。デジタルで最大10倍ズームは可能だが、こちらはさすがに解像感がなくなるのでおまけ程度と考えたほうがよい。
また、シャッター音がかなり大きくなった。これは、スピーカーをステレオ化したことが要因と思われるが、画面キャプチャー時も含め、閑静な場所での撮影では気をつけたほうが良さそうなレベルだ。
「Geekbench 3」でベンチマークテストも実行したところ、シングルコアが3514、マルチコアが6128という結果に。iPhone 6s Plusがシングルコア2485、マルチコアが4340だったので、かなり性能アップしている。
実際に使用した感じも、iPhone 6sで微妙に重いと感じていたアプリがかなり改善されている。スマートワークで重要なOfficeアプリも、もちろん軽快だ。iPhone 6sからiPhone 7 Plusにして、画面サイズと解像度がアップしたことで、オフィス文書も読みやすく、非常に扱いやすい。カメラ性能の差も含めて、ビジネスで活用するならiPhone 7 Plusをオススメしたい。
また今回のiPhone 7は、IP67等級の防塵・防水性能を備えたことも大きい。これは「粉塵が内部に侵入しない」で「30分間の水没に耐えられる防水性能」を意味し、たとえば仕事で現場活動の記録を撮影する際も、雨やホコリを気にせず行なえる。また、10月下旬にスタートするApple PayによるSuicaの対応は、これまでこの機能がないために、Androidスマホを選択する人もいたことから、iPhoneへ乗り換えを考える人も多そうだ。
現在、iPhone 7は一部のキャリア、色、容量によって在庫があり予約なしで買えるものもあるが、7 Plusは予約数すらはけていない状況が続いている(9月19日現在)。在庫が潤沢になるまではいましばらく掛かりそうだが、ビジネスでもiPhoneを利用する価値が高まったことは間違いない。
筆者プロフィール:飯島範久
1992年にアスキー(現KADOKAWA)へ入社し『DOS/V ISSUE』や『インターネットアスキー』『週刊アスキー』などの編集に携わる。2015年に23年務めた会社を辞めフリーとして活動開始。PCやスマホはもちろん、ガジェット好きで各種媒体に執筆している。Microsoft Officeは95から使っている。