新社会人に贈るSNSマナー講座 - 第7回

Instagram活用のコツとNGな使い方――10~20代女子の心を掴む写真投稿がキモ

Twitter以上のMIAUを誇るが、世界観に合わせた投稿が必須

文/高橋暁子


 今回から数回に分けて、SNSごとの使い方のコツやNGな使い方を実例を交えながらご紹介していきたい。今回は、若い女性に人気が高いInstagramを取り上げる。

 Instagramとは、写真や動画を撮影・加工・共有できるスマートフォン向けSNSアプリだ。Instagramの月間アクティブユーザー数(MIAU)は、2016年6月21日に5億人を超えた。日本で人気が高いTwitterの月間アクティブユーザー数は2016年3月末時点で3億1000万人であり、これを大幅に上回っているのだ。日本における月間アクティブユーザー数も810万人を超えており、今後の盛り上がりが注目されるSNSといえる。

 スマートアンサーによるInstagramに関する調査(2016年1月)によると、Instagramの認知・利用状況について聞いたところ、10~20代女性の約4割が「現在も利用している」と回答。一方、男性は約14~17%となっている。Instagramは10~20代女性に高い人気があり、この世代にリーチしたい企業などから高い注目を集めているのだ。

 なお、若者を対象としたLIDDELL調べ(2016年2月)によると、「最近検索によく使うのはどれ?」という質問に対しての回答が興味深い。Googleが33%でトップだが、次いでTwitter(31%)、Instagram(24%)、Yahoo!(12%)となっている。

 GoogleやYahoo!で検索すると、公式サイトなど評価が定まった情報が表示される。一方、TwitterやInstagramでは、今流行っているもの、今起きていることなど、リアルタイムの情報を得ることができるのだ。若い女性たちがInstagramで流行をチェックしてからモノを購入するようになっていることを考えると、企業や店舗などはなるべく早いInstagram活用を検討すべきだろう。

企業アカウントといえども、SNSごとの世界観に合わせた投稿が必須。特にInstagramはその傾向が強い。

Instagramは視覚的・感覚的が特徴

 Instagramのベースにあるのは、「きれい」「可愛い」だ。視覚的・感覚的に惹かれるものを共有していくことがベースにあるのだ。Instagram映えすることは“インスタジェニック”と呼ばれ、食べ物ならパンケーキ、イベントならハロウィンの仮装などがインスタジェニックだと言われる。モデルやその他興味がある分野のアカウントなどをフォローし、ファッション誌のように楽しまれている。

 このSNSでは、全体のトーンを統一させることが大切だ。投稿する写真のテーマを決めて運用することで、フォロワーがつきやすくなる。Instagramには、無料の様々なフィルターが多数用意されている。フィルターをかけることで写真に独特の雰囲気が与えられ、“Instagramっぽさ”が出るので、人気もしくは企業イメージに合ったフィルターを見つけて活用したい。

 Instagramを使いこなすためには、ハッシュタグの活用も不可欠だ。ハッシュタグとは「#パンケーキ」のように#(半角シャープ)とテキストや絵文字からなる文字列のこと。ハッシュタグを付けた投稿は、そのハッシュタグ名で検索できるようになるため、他のユーザーに見てもらいやすくなる効果がある。人気のハッシュタグやオリジナルハッシュタグなどを複数付けることで、フォロワーが増えるきっかけとなるはずだ。なお、投稿する際、ハッシュタグの前後には半角スペースを開ける必要がある。

位置情報やハッシュタグの活用を

 うまく活用している企業には、たとえば東京観光タクシーがある。東京観光タクシーは、その名の通り東京観光をしたい外国人向けタクシー会社だ。外国人向けのため、説明文やハッシュタグ(#tokyotravel、#tokyotripなど)などもほとんど英語となっている。東京中の様々な観光スポット写真を投稿しているため、日本好きの外国人ユーザーが多くフォローしているようだ。観光は、実際に利用されるまでの検討時間が長い商材でもある。普段は楽しく閲覧してもらい、いざというときに思い出してもらおうという使い方なのだ。

 重要なポイントは、すべての投稿写真がチェックインによって位置情報と紐付けられている点。たとえば東京観光タクシーの場合、外国人ユーザーが写真を見て『この場所に行きたい』と思ったら、写真内の位置情報を示せばタクシーでその場所に連れて行ってもらえる。タクシー利用促進のための導線作りにInstagramの投稿写真が使われているわけだ。なお、実店舗も投稿写真に位置情報を紐付けておくと、来店してもらいやすくなるので参考にしてほしい。

 逆に間違った使い方も見かける。たとえばInstagramでは広告も出せるようになっているが、このSNSにおいては広告もビジュアル的で美しい写真でなければ成果が出せない。他の広告媒体で使っている写真を使いまわしたり、(注目を集めたいがためにわざと)美しくない写真を使うダイエット広告などは、Instagramの世界観にふさわしくなく、ユーザーに好まれない。他の媒体とは違い、世界観を理解してから利用しなければならないので注意が必要だ。

 Instagramを理解するためには、まず自分でも個人アカウントを作り、実際に使ってみるのがお勧めだ。Instagram特有の世界観を理解し、どのようなハッシュタグが人気なのか、どのような使い方がされているのかを理解してから運用し始めるといいだろう。

筆者プロフィール:高橋暁子

 ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。主な著作として『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎エデュケーション新書)、『ソーシャルメディアを武器にするための10カ条』(マイナビ新書)など多数。

公式サイト「高橋暁子のソーシャルメディア教室