ジャイアン鈴木の「仕事が捗るガジェット」 - 第28回
独自のデタッチャブル機構により2 in 1 PCを完成させたVAIOのニューモデル
VAIO株式会社「VAIO Pro PA」
従来の2 in 1 PCにはさまざまなスタイルで利用できるというメリットがある一方、一般的なノートPCスタイルでは膝上で安定しないという弱点がありました。独自のデタッチャブル機構を採用し、従来のノートPCと同レベルの安定性を実現したのがVAIO株式会社のニューモデル「VAIO Pro PA」です。
文/ジャイアン鈴木
新開発「スタビライザーフラップ」機構により安定性と軽量化を両立
「VAIO Pro PA」は本体とキーボードを取り外しできる2 in 1 PCです。分離型の2 in 1 PCというとスタンドが開閉する「キックスタンド」を採用したSurfaceシリーズがおなじみですが、キーボードカバーとキックスタンドで底面を支えるという構造上、膝上などで安定しにくいというウィークポイントがあります。
それを解決したのが今回ご紹介する「VAIO Pro PA」(法人モデル。個人向けモデルは「VAIO A12」)です。独自のデタッチャブル構造を採用することで、膝上でもクラムシェル型ノートPCとまったく変わらない安定性で利用可能です。
最小構成13万7,800円をベースに目的に応じて豊富なカスタマイズオプションに対応
本製品は目的に応じてきめ細かくカスタマイズが可能。CPUはCeleron 3965Y/Core m3-8100Y/Core i5-8200Y/Core i7-8500Y、メモリは4GB/8GB/16GB、ストレージは128GB/256GB/512GB/1TB(通常SSD/暗号化機能付きSSD/高速PCIe SSD)などが用意されています。
キーボードユニットはワイヤレス機能、セカンドバッテリーを搭載したモデルと非搭載モデルの2種類が用意され、また、指紋認証機能・顔認証機能・リアカメラ・TPMセキュリティチップ・LTE・拡張クレードル・デジタイザースタイラス・液晶保護シートの有無なども選べます。
ディスプレイは12.5型のフルHD(1,920×1,080ドット)液晶のみ。高解像度タイプは用意されていませんが、USB Type-C経由でDisplayPortを使用すれば4K(3,840×2,160ドット)で映像出力が可能です。
Windows 10 Home/Celeron 3965Y/4GBメモリ/128GB SSD(SATA)/ワイヤレス機能・セカンドバッテリー非搭載キーボードユニットという最小構成なら13万7,800円(ソニーストア価格。以下同じ)、Windows 10 Pro/Core i7-8500Y/16GBメモリ/1TB SSD(PCIe)/ワイヤレス機能・セカンドバッテリー搭載キーボードユニット/指紋認証機能/顔認証機能/リアカメラ/TPMセキュリティチップ/LTE/拡張クレードル/デジタイザースタイラス/液晶保護シートという最大構成になると39万3,800円になります。最小と最大の構成でかなり価格差があるため、用途に応じて必要な機能のみ選択しましょう。
キーボードユニットと合体すれば約14.4~15時間利用可能に
本製品最大の売りは、なんと言ってもワイヤレス機能・セカンドバッテリーを搭載したキーボードユニット。タブレット単体のバッテリー駆動時間は約7.7~8.5時間ですが、キーボードユニットと合体すれば約14.4~15時間に延長可能。また前述の通り豊富なインターフェイスも使用可能となります。キーボードのキーピッチは約19mm、キーストロークは約1.2mmが確保されておりタイピングは快適です。
また、USB Type-CはPD(Power Delivery)に対応しており、PD対応の充電器による急速充電が可能。さらに、スマホなどで使われる一般的な5Vタイプの充電器でも充電が可能で、タブレット本体のみの充電にはなりますが、出張でACアダプターを忘れたとき、ホテルに備え付けられているUSB充電器で充電ができます。
オフィスにぜひ用意しておきたい装備が「拡張クレードル」。タブレット本体を差し込むだけで、拡張クレードルに接続済みの周辺機器がまとめて利用可能となります。PDF書類に書き込みしたり、イラストを描くようなクリエイティブ系ワークにも活用するならデジタイザースタイラスもセットで購入しておきたいアイテムです。
スマートワーク総研の読者の方なら必須装備と言えるのがLTE機能。プラス1万5,000円とやや値は張りますが、自宅やオフィスだけでなくさまざまな場所でネットワークを意識せずに利用可能となります。後付けできない装備だけに優先度高めでご検討ください。
ひとつだけ把握しておきたいのがパフォーマンスはそこそこということ。最上位のCore i7-8500Yを搭載していても、ベンチマーク「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアは237 cbに留まります。Core i7-8500Yは低消費電力、低発熱を重視したプロセッサーです。動画編集などには、あまり向いていないのでご注意ください。
とは言え、新旧インターフェイスを豊富に備え、クラムシェルスタイルでも安定してタイピングできるVAIO Pro PAの使い勝手は上々。ブラウジングやオフィスアプリケーションなどを利用するならパフォーマンスも必要十分です。さまざまな場所で、いろんなスタイルでPCを活用したいというなら、VAIO Pro PAは非常に魅力的な選択肢と言えます。
筆者プロフィール:ジャイアン鈴木
EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。