Microsoft Officeで業務効率アップ!【第38回】

ExcelとPowerPointで白書のデータを使おう(1)


プレゼンのスライドや企画書には、データが入っているとより理解度が高まり、説得力も増す。もちろん、片っ端からデータを入れる必要はないが、「ここ一番」ではぜひ使っていきたい。

文/戸田 覚


出展明記で自由に使えるデータ

 スライドや企画書にデータを使おうとして困るのがデータがないことだ。手元にデータがなければ探すことになる。予算がふんだんにあれば調査会社に依頼して調べることさえ可能だが、普通はそんな費用をかけられない。そこでおすすめなのが、公共機関が公開している白書の利用だ。国や自治体が提供している白書は、例外を除けば出典を明記すれば自由に使える。企画書やスライドの説得力向上のためにぜひ利用していきたいところだ。

 なお、それぞれの白書の利用にあたっては可否を含めて、個別に確認してほしい。

データを入れると理解度が増す

 理解度と説得を混同しないでほしい。理解度とは、スライドなどを見た人がハラオチしてくれることだ。説得は、語り手やスライドの力でハラオチさせると考えている。例えば、「女性の平均寿命が2050年に90歳を超える予測」がある。

これを伝えるのに、文字で書いただけのスライドでもまあかまわない。この項目が重要なら詳しく説明していけばいいのだ。話し方が上手ければ多くの方が納得してくれるだろう。

 だが、その予測をグラフで提示し、厚生労働省、国立社会保障・人口問題研究所等のデータを元にした値だと伝えてみてはいかがだろう。グラフがあれば現状からの伸び、過去からの進捗の様子がよく分かる。人によってグラフを見て考えることは違っているが、数位が見られることで納得し、より深く理解するのに役立つはずだ。

今回は内閣府の「高齢社会白書」に含まれる「高齢化の現状と将来像」のデータを使用した。

文字で伝えてもある程度は伝わる。話し方が上手なら説得される人も少くないだろう

スライドに見やすいグラフが入っていると説得力が増す

白書のグラフは作り直そう

 多くの白書にグラフが入っている。そのままのデータが必要だとしても、スクリーンショットを貼り付けてトリミングするだけでは手抜きだ。そもそも、スライドや企画書のデザインと合わないので、作り直すことをおすすめする。

 最近は、CSV形式やExcel形式のデータがダウンロードできる白書が少くないので、ファイルを落としてExcelに読み込み、グラフ化すればいい。

 自分でグラフを作ることで、デザインの統一感が出る上に、色合いなども自由に決められる。強調したいデータの色を赤くしたり、逆に、落ち着いた色合いにしてじっくり見てもらってもいいだろう。

 次回は、データが提供されていない白書の表を取り込む方法を紹介する。

この白書では、画面下のリンクをからデータをダウンロードできる

クリックしてダウンロードすればいい(上)。直接開いてもいいし、いったんファイルとして保存するのも有効だ(下)

データを開いた。CSV形式でもExcelで開ける

普通にグラフを作成すればいい。ラベル等を工夫して見やすくしよう

PowerPointに貼りつけて完成だ

筆者プロフィール:戸田 覚

1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。