ジャイアン鈴木の「仕事が捗るガジェット」 - 第53回
コンバーチブルでも軽量級、覗き見防止などプライバシー機能にも注力した2 in 1 PC

日本HP「HP Elite Dragonfly G2」
コンバーチブル型2 in 1 PCは複雑な機構を搭載しているぶん重めになりがち。とは言え、最近では700g台の2 in 1 PCも登場しており、最軽量モデルで989gの「HP Elite Dragonfly G2」は突出して軽いわけではないものの、内蔵プライバシースクリーン機能などの機能を搭載可能。軽さだけでなく、プライバシー機能にも注力した2 in 1 PCなのです。
文/ジャイアン鈴木
目的に合わせてカスタマイズを
「HP Elite Dragonfly G2」はOSにWindows 11 Home / Pro 64ビット、CPUに第11世代(TigerLake)のCore i5-1135G7/Core i5-1145G7/Core i7-1165G7を採用。メモリーは8GB/16GB、ストレージは128GB/256GB/512GB/1TB/2TBから選択可能です。
ディスプレーは13.3型フルHD IPS液晶(タッチ/ペン対応)という点は共通ですが、通常モデルと、「HP Sure View Reflect」(内蔵プライバシースクリーン機能)搭載モデルの2種類が用意されます。顔認証カメラ(IRカメラ)と指紋認証センサーは全モデルに搭載されています。
本製品の購入を検討するにあたって、もうひとつ重要なのがWWANの有無。Wi-Fiモデル、4G LTEモデル、5Gモデルが存在していますが、あとから変更できないので、まずはWWANの有無から製品選びを始める必要があります。
これ以外のスペックは基本的に共通。インターフェースはThunderbolt 4×2、USB 3.1 Type-A×1、HDMI 2.0×1、3.5mmコンボジャック×1を用意。無線機能はWi-Fi 6(11ax)とBluetooth 5.0をサポートしています。
本体サイズは304.3×197.5×16.1mm、重量は通常モデルが989g、HP Sure View Reflect搭載モデルが約1.15kg。56Whのバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間は公称最大約17.6時間、バッテリー充電時間は50%まで約30~45分、90%まで約90分と謳われています。
なお、本製品は2 in 1 PCですがデジタイザーペンは含まれていません。ペンを使う方は「HPリチャージブルアクティブペンG3」(7040円)などのデジタイザーペンを同時購入しましょう。
ピークパワーよりも、バッテリー駆動時間、低発熱を重視したチューニング
今回の貸出機は、Core i7-1165G7/メモリー16GB/ストレージ512GB(PCI Gen3 x4接続)という構成。主要ベンチマークを実施したところ、CPUベンチマーク「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は4696pts、CPU(Single Core)は1445pts、3Dゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC、フルスクリーンモード)のスコアは6224(やや快適)、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は2340.30MB/秒、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は1399.80MB/秒となりました。
CINEBENCH R23のスコアはCore i7-1165G7搭載機としてはやや低め。HP Elite Dragonfly G2はピークパワーよりも、バッテリー駆動時間、低発熱を重視したチューニングになっている可能性があります。
ストレージ速度はPCIe Gen3 x4接続のSSDとしては決して高速な部類ではありません。しかし、日常的に利用していて読み書き速度にストレスを感じることはないはずです。
今回の貸出機には13.3型フルHD IPS液晶ディスプレーが搭載されていましたが、色域を実測したところsRGBカバー率は96.4%、sRGB比は104.8%という値が出ました。モバイルノートPCとしては平均的な色域を備えています。
2 in 1 PCとしてこなれたつくり、プライバシー機能は充実
本製品の2 in 1 PCとしてのつくりは安心感がありますね。ディスプレーヒンジの剛性が高く、ノートブック、スタンド、テント、タブレットモードへの変形もスムーズ。全モデルに、顔認証カメラ(IRカメラ)と指紋認証センサーが搭載されているので、どのモードでも素早くWindowsのロックを解除できます。
デジタイザーペンとしては「HP リチャージブル アクティブペン G3」(7040円)が用意されていますが、手持ちのワコムのAES規格に対応した「Xiaomi Smart Pen」も利用できました(筆者や編集部が保証するわけではありません)。メーカーの保証はありませんが、もしすでにワコムのAES規格に対応したデジタイザーペンを持っているのなら、まずはそちらを試してみることをお勧めいたします。
なかでもユニークな機能が「HP Easy Clean」です。このアプリを起動して「ロック」をクリックすると、キーボード、タッチパネル、タッチパッドなどが2分間無効となります。つまり入力デバイスを無効化して、その間にじっくりクリーニングができるわけです。最近のノートPCのなかにはディスプレーを開けたり、キーを叩くだけで電源がオンになる製品があります。クリーニング用のモードがあるのは便利だと感じました。
視野角を狭くして覗き見を防止する「HP Sure View Reflect(内蔵プライバシースクリーン機能)」、プライバシーシャッター「HP Sure Shutter」は、セキュリティ性を重視するビジネス用途には魅力的な機能。特にHP Sure View Reflectは電車内や喫茶店など、不特定多数の人がいる場所でPCワークを行う際に重宝するはずです。
ただ、HP Sure View Reflect搭載ディスプレーは有効にしていなくても、視野角が狭めですね。特に上下の視野角が狭く感じました。正面から画面を見る場合には問題ないですが、複数人で画面を覗く用途には不向きだと思います。
HP Elite Dragonfly G2は充実したプライバシー機能が魅力
2 in 1 PC自体はほとんどすべてのPCメーカーが発売しており、特に珍しい製品ではありません。ただ、HP Elite Dragonfly G2は充実したプライバシー機能が差別化ポイントとなっています。Windows 11への乗り換えや4G LTE、5G搭載モデルを、人の多い外出先でバリバリ使いたいという方にもってこいの一台と言えます。