ジャイアン鈴木の「仕事が捗るガジェット」 - 第54回

ユーザーの使い方を学習するAI技術を搭載したデルのビジネス向け13型ノートPC


デル「Latitude 3320」

スタンダードノートPCは激戦区。各パソコンメーカーはそのなかで独自機能を実装し、差別化を図っています。デルの「Latitude 3320」はユーザーの作業パターンを学習する組み込み型AI「Dell Optimizer」を採用。アプリケーション、ネットワーク、電源、音声の作業パターンを学習し、高速性、快適性を実現すると謳っています。また、12万円弱からという、デルならではの安価な価格設定も魅力です。

文/ジャイアン鈴木


 「Latitude 3320」を購入する際には、OS(Win11Home日本語/Win11Home英語/Win11Pro日本語/Win10Pro日本語/Win10Pro英語/Ubuntu)、指紋認証センサーの有無、キーボード(日本語、英語、英語&バックライトあり)、ACアダプター(4.5mmバレル/USB Type-C)、CPU(Core i3-1115G4/Core i3-1125G4/ Core i5-1135G7/Core i5-1145G7/Core i7-1165G7)、メモリー(4GB/8GB)、ストレージ(128GB/256GB/512GB/1TB Class 35 SSD、256GB/512GB Class 40 SSD)、バッテリー(41Whr/54Whr)、ネットワークアダプター(Wi-Fi 6E+BT 5.2/ Wi-Fi 6+BT 5.1)を選択できます(モデルによって選べない項目あり)。ただしOSにUbuntuを設定し、CPU、メモリー、ストレージ、バッテリー、ネットワークアダプターをカスタマイズできるのは「Dell Latitude 3320 - Build Your Own」のみです。

 これ以外のスペックは共通。ディスプレイは13.3型フルHD IPS液晶(1920×1080ドット、非光沢、250cd/㎡)を採用。ディスプレイ上部にはHDカメラを内蔵しています。

 インターフェースはUSB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、HDMI 1.4b×1、microSDメモリーカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1を用意。無線通信はWi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.1をサポートしています。

 本体サイズは305.96×204×15.69mm、最小重量は1.16kg。バッテリーは41Whrまたは54Whrを内蔵しています。

貸出機のパッケージには、本体、USB Type-C対応ACアダプター、電源ケーブル、説明書類、リカバリーUSBメモリーが同梱

本体天面。サイズは305.96×204×15.69mm。カラーはチタングレー

本体底面。ゴム足は安定性に優れ、排気口からの熱を吸気しにくいバータイプを採用

ディスプレイは13.3型フルHD IPS液晶(1920×1080ドット、非光沢、250cd/㎡)。照明の映り込みはほとんど気になりません

キーピッチは19mm前後。日本語キーボードにはバックライトは搭載されていません

本体前面と本体背面

右側面にはmicroSDメモリーカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、セキュリティーロックスロット×1、左側面には電源端子×1、HDMI 1.4b×1、USB 3.2 Gen2 Type-C×1を配置

今回の貸出機に付属してきたのは、USB Type-C対応ACアダプター

USB Type-C対応ACアダプターの仕様は、入力100-240V~1.7A、出力5V 3A、9V 3A、15V 3A、20V 3.25A、容量65W

本体の実測重量は1182g

ACアダプターと電源ケーブルの合計重量は実測290.6g

クリエイティブ系アプリも快適に動作させられるパフォーマンス

 今回、デルからはCore i5-1145G7/RAM8GB/SSD256GB(KBG40ZNS256G)という構成のモデルを借用しました。まずCPUベンチマークを実施したところ、「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は5036pts、CPU(Single Core)は1244ptsというスコアを記録しました。CPU(Multi Core)で5000の大台に乗っており、クリエイティブ系アプリも快適に動作させられるパフォーマンスを備えています。

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は5036pts、CPU(Single Core)は1244pts

 3Dグラフィックス性能については、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)で4986(普通)というスコアを記録しました。ある程度グラフィックスの品質を調整すれば、3Dゲームもプレイ可能なパフォーマンスを実現しています。

「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは4986(普通)

 ストレージ速度については、「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は2344.51MB/秒、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は1617.57MB/秒というスコアを記録しました。今回の貸出機にはKIOXIA製「KBG40ZNS256G」が搭載されていましたが、シーケンシャルリード、シーケンシャルライトともにスペックを上回る実効速度が出ています。一般的な用途でストレージ速度に不満を覚えることはないはずです。

「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は2344.51MB/秒、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は1617.57MB/秒

 留意しておきたいのがディスプレイの品質。色域を実測したところ、sRGBカバー率は64.6%、sRGB比は64.9%となりました。写真の現像、動画のカラーグレーディングなどに利用する際には、色域の広い外部ディスプレイと接続することを強くお勧めします。

カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で実測したsRGBカバー率は64.6%、sRGB比は64.9%

使い勝手を向上させる「Dell Optimizer」、キーボードはちょっと残念

 「Latitude 3320」はスタンダードノートPCのお手本のようなマシンです。インターフェースは充実しており、ディスプレイは180度開いてフラットなスタイルで利用できます。アプリケーションの最適化、高速な無線LANルーターへの自動接続、バッテリー駆動時間の延長、環境音を低減してオーディオ品質を向上させる「Dell Optimizer」も使い勝手を快適にしてくれるはずです。

インターフェースは豊富に用意。欲を言えば有線LAN端子を搭載し、microSDメモリーカードではなくフルサイズのSDメモリーカードを搭載してほしいところです

ディスプレイが180度開くのは便利。対面の人と画面を見ながら作業するのにフラットスタイルは重宝します

「Dell Optimizer」では、アプリケーションの最適化、高速な無線LANルーターへの自動接続、バッテリー駆動時間の延長、環境音を低減してオーディオ品質を向上などの機能を利用可能です

 本製品を試用していて残念だったポイントはキーボード。一部のキーが密着していて、タイピング時にミスする可能性があります。英語キーボードと日本語キーボードでキーボード面のパーツを共通化するために、このような仕様になっていると思われます。低価格化を実現するための施策かもしれませんが、使い勝手に直接影響する部分はしっかりとローカライズしてほしいと強く思います。

英語キーボードのキーボード面を日本語キーボードに流用しているので、スペース的には余裕があるのに一部キーが密着しています

Windows 11の最新機能をフル活用したい方にコスパ優れる選択肢

 今回の「Latitude 3320」は実にスタンダードな作りですが、Windows 11がプリインストールされ、最新OSの新機能を活用できます。また、内蔵AI「Dell Optimizer」により、細かな使い勝手を着実に向上させているのもポイントです。Windows 11の最新機能をスタンダードノートPCでフル活用したいという方に、「Latitude 3320」はコストパフォーマンス優れる選択肢と言えます。

ジャイアン鈴木

筆者プロフィール:ジャイアン鈴木

EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。