日本マイクロソフト
Surface Pro 10

今回レビューする13インチ2in1PC「Surface Pro 10」は、約12年の歴史を持つSurfaceシリーズの法人向け最新モデルだ。キーボードにマイクロソフトの対話型AIアシスタント機能「Copilot in Windows」をワンタッチで呼び出す「Copilotキー」を備え、CPUにはGPUのほかにNPUも搭載したインテル Core Ultra プロセッサーを採用する。AIで強化された生産性や創造性に加えて、バッテリーやモニターの交換も可能な高いメンテナンス性も実現する本製品の魅力を深掘りしていく。
text by 森村恵一

法人向けに最適化されたAI PC

 法人向けPCの「Surface Pro 10」が従来機種の「Surface Pro 9」から進化した点は多くあるが、その中で特筆すべきポイントは三つある。

 まず一つ目は、NPU搭載のCPUであるインテル Core Ultra プロセッサーを採用した点だ。本CPUの採用によって、AIが映像や音声に効果を適用する「Windows Studio Effects」をはじめとしたAI機能の活用を実現している。

 二つ目はカメラ性能だ。本体正面の「Surface Studio カメラ」の解像度が、Surface Pro 9では1,080pだったものが、Surface Pro 10では1,440pまで向上した。加えてSurface Pro 9よりも広角な撮影が可能になった。広角な撮影は行えるものの、Windows Studio Effectsの人物をカメラのフレーム内に収め続ける「自動フレーミング」機能を使用すれば、Web会議の際に顔の位置が画面の中央からずれてしまうことがない。顧客との商談やWebセミナーの際に、顔をずっと画面の中央に映しておけるので、相手に好印象を与えられるのだ。

 三つ目は内蔵NFCリーダーだ。本体正面の左上にNFCリーダーを搭載しているため、NFC対応のバッジやキーを利用してデバイスへのログインが行える。パスワードを入力する必要がないので、パスワードの流出による不正ログインを防げるのだ。機密情報を扱う従業員も、安心してSurface Pro 10を利用できる。

モニターはタッチとペン入力に対応。Copilot in Windowsのプロンプトは手書きでも入力できる。

AI活用を促進する周辺機器

 Surface Pro 10は周辺機器を併せて使うことで、よりAIを活用できる。まずはペン入力の際に使用する「Surface スリム ペン 2」(別売)だ。Copilot in Windowsのプロンプトは、キーボードでの入力や音声入力以外に、手書き入力にも対応する。質問したいことを直観的にペンで記入可能だ。例えばデジタルホワイトボードアプリ「Microsoft Whiteboard」でペンを利用して話し合いをしながら、Copilot in Windowsに話し合いの内容に関連した質問を手書きするといった活用方法が考えられるだろう。

 もう一つはキーボードだ。Surface Pro 10と互換性がある「Surface Pro キーボード」(別売)は、Surface Pro 10のリリースタイミングで従来モデルから二つの点が変更された。一つ目は、Copilotキーの搭載だ。Copilotキーを押せば、すぐにCopilot in Windowsが立ち上がる。二つ目は、F1キーに搭載されたミュート機能だ。Web会議での素早いマイクミュート/ミュート解除が可能になり、急な離席でも焦ることがない。

 また、Surface Pro 10ではより柔軟な使い方に対応する「Surface Pro フレックスキーボード」(別売)も使用可能だ。Surface Pro フレックスキーボードは、OSがWindows 11のSurface Pro 10であれば、本体から取り外してワイヤレスキーボードとしても利用できる。Surface Pro フレックスキーボードを膝に置いて本体を見やすい位置にセットできれば、ラップトップより快適にタイピングが可能だ。

Surface Pro 10に搭載のStudio マイクを使えば、Copilot in Windowsに音声で指示を送れる。

高いメンテナンス性を実現

 企業にSurface Pro 10を提案する上で注目しておきたいポイントが、メンテナンス性の高さだ。Surface Pro 10では、モニターやバッテリーはもちろん、マザーボードやスピーカー、さらには電源ボタン、スタンド、エンクロージャーまで、ほぼまるごと部品を交換できる。

 ビジネスで長くPCを使う上で最も気になるのはバッテリーの寿命だ。3〜5年ほど使おうとするならば、途中で刷新が必要になる。そのときに新しいバッテリーを購入でき、部品を交換できることは、ビジネス用途のAI PCとして大きな魅力になるだろう。

 ちなみに知識が必要な部品交換を手助けするために、Microsoft Surfaceの公式Youtubeチャンネルでは、部品の交換方法を説明する動画を公開している。執筆を行っている2024年7月時点ではまだSurface Pro 10に対応した動画は公開されていないが、近日公開予定とのことだ。

 ビジネス用途に特化したSurface Pro 10は、これまでSurface Pro 6やSurface Pro 7を使ってきた法人のリプレースや、新規のAI PC導入を検討している企業にとって、魅力的な1台となるだろう。