フィールドワーク支援ソリューション市場は902億円に拡大
Field Work Solution
矢野経済研究所は、国内のフィールドワーク支援ソリューション市場を調査した。
2023年度のフィールドワーク支援ソリューション市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比37.5%増の902億円と急拡大した。同市場は、コロナ禍を経て定着した遠隔・リモート志向や現場作業者をサポートする実効性の高いソリューションの登場、システム/ソリューション導入費用の低廉化などもあり、2022年度から急速に拡大している。なお、コロナ禍で保留・停止となっていたプロジェクトが復活したことも、奏功要因となっている。
需要分野別に2023年度の市場をみると、案件単価の大きなインフラ設備やエネルギー設備、建設/土木、倉庫/物流、製造/工場、運輸、警備・セキュリティでシステム導入件数が多く、特に建設/土木および倉庫/物流、警備・セキュリティといった分野でのタブレット系ソリューションが堅調な結果となった。
また、倉庫/物流では、現場向け音声認識サービスといったAI活用型ソリューションも登場しており、生成AIの普及に伴う需要喚起への期待もある。2023年度の市場内訳としては、「機器・デバイス関連」が30〜35%、「SI/システム開発」は40〜50%、「ネットワーク/クラウド/サポート/その他」が20〜25%を占めると推測する。
建設/土木分野での現場作業者の業務をサポートするシステムにも注目したい。例えば、日報/台帳作成をデジタル入力化する台帳ソリューションをはじめとしたデジタル活用、ドローン/ロボット活用による自動化・効率化、重機・建機などの遠隔操作、作業現場の遠隔モニタリング/3D化などがあり、建設/土木分野でのIT化/DX化が進められている。
流通や小売に加え警備などでも普及
2024年度以降、倉庫/物流や運輸、建設/土木、製造/工場といった案件規模の大きな需要分野に加えて、料飲(料理飲食)/外食や流通/小売、警備・セキュリティといった比較的規模の小さな案件が多い分野においても、フィールドワーク支援ソリューションの普及が進む見通しだ。大手外食店舗では、VR(Virtual Reality)やHMD(Head Mounted Display)を活用したデジタル研修も実施され始めている。そうしたデジタル研修には、VRアプリとHMDを活用して入店案内から精算まで、ホールスタッフに求められる一連の業務を学べるプログラムが活用されている。
フィールドワーク支援ソリューション市場は毎年30%の伸長が続く見込みで、2030年度の同市場規模は5,790億円に達する予測だ。
法人向けの動画・配信ソリューション市場が活性化
Video Solution
デロイト トーマツ ミック経済研究所は、法人向けの動画・配信ソリューションの市場規模を調査した。本調査では、企業の動画活用を後押しする「動画自動生成ツール」、企業が所有する動画をVOD(ビデオオンデマンド)やライブ配信などの形態で配信する「OVP」(Online Video Platform)、イベントや各種セミナーでのライブ配信について、ユーザーが利用する配信インフラの提供から配信運営までワンストップで行える「ライブ配信ソリューション」の3分野で分析している。
2023年度の動画自動生成ツール・OVP・配信ソリューション市場の売上高は前年度比121.3%の513.3億円となり、2024年度は前年度比123.8%の635.7億円市場となる見込みだ。2023年度はアフターコロナの情勢となり、ビジネスにおいても出社勤務のようなリアル回帰が進む中、リアルとリモートを併用したハイブリッドワークが定着したことが市場拡大につながった。
3分野の中でも、動画自動生成ツール市場は一際拡大している。2023年度の同市場の売上高は前年度比158.2%の151.4億円で、2024年度は前年度比149.5%の226.4億円の見込みだ。ペーパーレス化やマーケティングオートメーション推進など、動画を活用した社内業務効率化/マーケティング施策のDX化が進み、動画生成を自動化・簡便化する動画自動生成ツールへの需要が継続的に高いシェアを獲得した。
動画自動生成ツール・OVP・配信ソリューション市場は年平均成長率24.4%増で成長し、2028年度には1,529億円になるとデロイト トーマツ ミック経済研究所は予測した。
チャットボット市場は堅調に推移
Chat bot
アイ・ティ・アール(以下、ITR)は、国内のチャットボット市場の市場予測を発表した。
本調査によると、チャットボット市場の2023年度の売上金額は、前年度比16.5%増の111億8,000万円となった。2024年度は同19%増と2023年度を上回る伸びを見込んでいる。市場拡大の背景として、人手不足による業務の効率化やカスタマーサポートの強化などへのニーズの高まりがある。それとともに、自然言語処理技術の進歩によるチャットボット製品のサービスの品質と応答能力の向上、および近年注目度が高まっているChatGPTなどの生成AIとの連携が拡大したことで、企業導入が進んだ結果となった。上記を踏まえ、同市場の2023〜2028年度の年平均成長率は15.5%で、2028年度は230億円を予測している。
ITRのプリンシパル・アナリストである三浦竜樹氏は、次のようにコメントしている。「生成AIの業務活用への理解が急速に高まっています。そのような中、チャットボットサービスも対話型AIと生成AIの連携によって活用範囲が広がっています。特に、FAQにデータベース化されていない質問に対して、生成AIを活用することで多様なドキュメント(マニュアルのPDF、データの集計表など)から回答を可能にしたことは、BtoEとBtoBにおけるナレッジ共有を推進し、同市場の最も大きな成長要因の一つとなっています。今後も、生成AIにより顧客が撮影・送信した画像を判断・回答するなど、AIチャットボットのさらなる機能の拡張と市場拡大が期待できます」