企業の導入要件と現場が求める耐久性を両立
Windows 10 Proを搭載した10.1インチタブレット

ロジテックINAソリューションズ
「ZEROSHOCKタブレット Pro」LZ-WB10H/WZ

過酷な現場のニーズに応える堅牢タブレット「ZEROSHOCKタブレットシリーズ」に、Windows 10 Proを搭載したモデル「ZEROSHOCKタブレット Pro:LZ-WB10H/WZ」(以下、LZ-WB10H/WZ)が登場した。2016年に登場した初代モデルから世代交代を経て、製造や建設などの現場に対応した強靭さを誇るZEROSHOCKタブレットシリーズ。その最新モデルから、日本の現場に求められるタフなタブレットのビジネスチャンスを探っていく。
text by 森村恵一

耐衝撃、防塵、防滴、耐寒性に対応

軍手や手袋を装着したままでも操作しやすいように、大きく押下しやすいボタンを採用している。

 ロジテックINAソリューションズが販売しているタブレットZEROSHOCKタブレットシリーズの最上位機種「LZ-WB10H/WZ」は、静電容量式10点マルチタッチに対応し、スタイラスペンでも指でも、水滴がかかっていても、さらに手袋をしていても操作ができる。CPUは、インテル Core i5-5350U、ストレージは128GBのSSDを採用している。適応可能な温度はマイナス10~50度で、気温差の激しい現場での運用も可能となる。LZ-WB10H/WZの最大のアピールポイントは、なんといっても耐衝撃、防塵、防滴、耐寒性に対応し、過酷な環境でもしっかりと動作するタフさだ。その初代モデルは2016年に登場し、ユーザーからのフィードバックを受けて、何世代もの進化を遂げてきた。

 ZEROSHOCKタブレットシリーズは、粉塵の舞う環境で、手袋をしたままでも操作でき、通常のタブレットでは対応できない処理をこなしている。また、建設現場のように風雨にさらされる環境でも活躍している。こうした過酷な環境で使うユーザーからの要求で、最新モデルでは大きな改善点があった。それが、バッテリーと電源対応だ。

 従来、一つしか搭載できなかったバッテリーを二つ搭載できるように変更した。そうすることで、電源を切ることなくバッテリーを交換できる。さらに、バッテリーがなくても電源だけで稼動する仕様にも改善された。こうしたハードウェア的な改善に加えて、市場からの要求で追加された機種が、今回のレビュー機となるWindwos 10 Proを搭載したLZ-WB10H/WZだ。

本体背面のリアカメラはオートフォーカスを採用した800万画素CMOSカメラを搭載。解像度の高い撮影が可能だ。
本体背面にペンを収納できるホルダーを用意するが、ペンは現場によって不要なケースも多い。購入時は付属しないので、必要に応じて準備してほしい。

企業のOS要件にも応えるWindows 10 Pro対応

 これまでのZEROSHOCKタブレットシリーズの最上位機種では、OSにWindows 10 IoT Enterprise LTSB 2016 64bitを採用していた。その理由は安定性にある。ロジテックINAソリューションズの担当者は「標準的なWindows 10では、OSのアップデートが頻繁に発生します。しかし、業務においては固定的な使い方が主流になるので、アップデートによるOSの更新はそれほど重要ではありません。むしろ、頻繁なアップデートで業務が止まる方が現場では嫌われます」と指摘する。

 また、タッチ操作を中心とした業務では、タブレットに搭載されているOSに対するこだわりはそれほど高くない。必要なデータ閲覧やデバイス制御などが行えるならば、Windows 10でなくても対応できる。事実、ZEROSHOCKタブレットシリーズには、Android OSを搭載したモデルも用意している。ハードウェアのタフさに関しては、Windows OS搭載モデルと同様になる。

 それでもあえて、Windows 10 Proを搭載したモデルを製品化した背景には、市場のニーズがあった。対象とするユーザーの導入要件について、同社の担当者は「大手企業でActive DirectoryなどWindowsの認証システムをセキュリティ対策に採用しているケースでは、導入するデバイスのOSの要件が、Windows 10 Proに限定される傾向が高い」と分析する。Windows 10 Proには、認証を基本としたセキュリティ機能が実装されているので、導入要件としてOSが指定される事案も増えている。こうした需要に対応するためにWindows 10 Proモデルが用意された。

 ZEROSHOCKタブレットシリーズでは、高価格帯から低価格帯のモデルまで幅広くラインアップしている。ロジテックINAソリューションズでは、この製品ラインアップの豊富さが、ビジネスチャンスの拡大につながると話す。単純なタッチ操作のような使い方であれば、性能よりも過酷な環境での安定性が重視される。実際、こうした製造現場では、数千台に及ぶ導入実績があるという。

 また、ZEROSHOCKタブレットシリーズのもう一つの魅力が、製品供給の安定性にある。ビジネス向けPCの多くは、半年ごとに新製品が登場し、その製品サイクルも短い。リースなどでの利用が想定されているので、3年から長くても5年で消費される例が多い。それに対して、生産ラインで使われる機器や端末では、最低でも5年から10年に及ぶ長期の利用が想定される。こうした安定性のあるニーズに応えるために、ロジテックINAソリューションズでは保守部品の供給も含めた10年単位での対応を見据えている。

 タフさが求められる現場のニーズにWindows 10 Proで対応できるZEROSHOCKタブレットシリーズには、まだまだ発掘できる現場のニーズがありそうだ。