日本マイクロソフトのノートPC「Surface Laptop(第7世代)」は、次世代のAIパフォーマンスを搭載したCopilot+ PCの最先端だ。従来製品の「Surface Laptop 6」に比べて筐体デザインやメンテナンス性能が大幅に刷新され、マイクロソフトが提供するAIアシスタント「Microsoft Copilot」を活用したビジネス、エンターテインメント、クリエイティビティを加速する。13.8インチモデルと15インチモデルをラインアップする本製品の中で、今回は15インチモデルをレビューし、Copilot+ PCがもたらす未来を確かめていく。
text by 森村恵一
45TOPSの高性能を発揮するPC
マイクロソフトが提唱するCopilot+ PCの要件に、搭載するNPUが40TOPS以上の性能であることが挙げられている。そうした中Surface Laptop(第7世代)は、プロセッサーにNPUが45TOPSの性能を発揮する「Snapdragon X Elite」もしくは「Snapdragon X Plus」プロセッサーを採用し、Copilot+ PCとして必要十分な性能を備えている。この性能によって、多彩なAI機能を活用可能なのだ。
その中の一つが、2024年12月に提供予定(2024年10月31日時点)のAI機能「Recall」だ。本機能は、PC上の操作をスクリーンショットと共に記録し、PCの操作内容を後から検索できるようにするものだ。Recall機能を活用すれば、例えば過去にアクセスしたWebサイトのURLを忘れてしまったとしても、簡単にもう一度アクセスできるようになる。
さらに今後は、画像をクリックするとマイクロソフトのサーチエンジン「Bing」で画像検索が行えるなどの機能を提供する「Click to Do」や、低解像度画像を高解像度化する機能などを提供予定だ。画像の情報を素早く検索できたり、プレゼン資料に鮮明な画像を使えたりするなど、ビジネスにも役立つAI機能がどんどん登場してくる。
生産性と創造性を上げるAI機能
では、現在使用可能なAI機能にはどのような種類があるのだろうか。主なものを四つ紹介しよう。
まず一つ目は、AIが映像や音声に効果を適用する「Windows Studio Effects」だ。この機能は背景ぼかしなどが使用できるもので、従来のAI PCにも搭載されていた。Copilot+ PCからは従来機能に加え、被写体を水彩画のように加工するフィルターをかける機能や、Webカメラに視線を合わせ続けるようにする機能が新たに追加された。例えば資料を見るために視線を下げても、Webカメラを見続けているようにAIが修正してくれる。
二つ目は「ライブ キャプション」だ。PCのスピーカーから流れる音声やマイクの音声を文字起こしする機能で、Copilot+ PCでは日本語の音声を英語字幕に翻訳できるようになっている。米国のクライアントと対面で打ち合わせをする際、ライブ キャプションを有効にしてCopilot+ PCのモニターを相手に見せておけば、通訳なしで自分の話を英語で相手に伝えられるのだ。
三つ目は「Cocreator」だ。Windowsに標準装備されている画像編集ソフト「ペイント」で使える機能で、ペイントに描いたラフスケッチや入力したプロンプトを基に、AIがイラストを生成するものになっている。画面横に表示されるスライダーでイラストの創造性レベルを調整でき、創造性のレベルを高くすればするほど、ラフから発展した想像力豊かなイラストが生成される。
四つ目は「Restyle Image」だ。PC上に保存した画像をイラスト風に加工できる機能で、ファンタジー風やアニメ風など全部で九つの画風を選択可能だ。ただし人物にはAI加工が適用されないため、人物込みの画像を使用すると、背景のみがイラスト風に加工される。社内報で使う写真をRestyle Imageで加工すれば、より従業員の興味を引く誌面を作れるようになり、社内コミュニケーションの活性化に貢献するだろう。
筐体やメンテナンス性も進化
現在でも多種多様なAI機能を使えるSurface Laptop(第7世代)だが、魅力はAI機能だけにとどまらない。本製品は、前世代モデルのSurface Laptop 6と比較して多くの点が進化している。
まずは筐体だ。Surface Laptop(第7世代)は完全に新設計の筐体となっており、Surface Laptopシリーズ初の13.8インチモデルをリリースしている。15インチモデルも引き続きリリースしているが、従来シリーズよりもベゼルを薄くしているため、本体サイズが小さくなっているのだ。パフォーマンスも、Surface Laptop 5と比較して86%高速化している。さらには最大20時間の動画再生が可能なバッテリー駆動も実現し、移動が多いビジネスパーソンも快適に使える性能を備えている。
こうした見た目や性能の進化に加えて、メンテナンス性能も向上している。Surface Laptop(第7世代)はバッテリーだけを交換可能になっており、従来モデルよりもいざというときの修理を容易に行える。ビジネスで長く使うことを考えると、3〜5年の間に1〜2回はバッテリー交換が必要になる。そうしたニーズに、メンテナンスのしやすさで応えているのだ。
最新のAI機能を活用でき、従来モデルから多数の進化ポイントを持つSurface Laptop(第7世代)はまさしく、マイクロソフトが示す現時点で最先端のAIイノベーションだといえるだろう。