ロア・インターナショナルが日本の代理店として販売を開始したmyAir.0のポータブルマウス「OriMouse」は、厚さ5mmの薄型設計を実現している。従来、マウスはノートPCと比べて厚みがあるため、あると便利だが持ち運びがちょっと面倒だという認識があった。そのためマウスの持ち運びを諦めて、トラックパッドのみで操作を行っていたユーザーは少なくないだろう。そうした中でOriMouseは、圧倒的な携帯のしやすさで、ポータブルマウスの常識を覆す画期的なガジェットとなっている。 text by 森村恵一

折り紙構造の採用で薄型を実現

 ロア・インターナショナルが日本の代理店として販売するmyAir.0の「OriMouse」は、マウスを平べったくして持ち運べる新開発のポータブルマウスだ。厚さ5mmしかない本体は横から見ると薄い板のようで、先端に移動を検知するセンサーが付いているだけのシンプルな構造になっている。薄型設計でもマウスとして使える秘密は、折り紙から着想を得た組み立て式の「折り紙構造」を採用した本体にある。本体上部から見える銀色のマグネットに本体左のパーツをくっつけると、立体的なマウスの形になるのだ。組み立てたマウスのホールド感はかなりしっかりしている。そして通常のマウスと同じように、左右のクリックボタンもある。左右のクリックボタンの中間には動きを検知するセンサーがあり、指をスライドさせるとスクロールに利用可能だ。

 折り紙構造を採用したことで、使い勝手は一般的なポータブルマウスと遜色ない。本体の裏面には移動を検知するHD赤外線センサーと、Bluetooth接続を行うためのペアリング用ボタンがある。そして本体側面にはUSB Type-C用の充電ポートがあり、2時間の充電で最大3カ月の使用が可能だ。本体重量は38gと軽い一方で、一般的なポータブルマウスと比べて落ちても壊れにくい。基盤などが内蔵された通常のポータブルマウスを落とすと部品が破損する危険性があるが、軽量なOriMouseは落下した際に壊れる部品を内蔵していないのだ。さらにヴィーガンレザーで覆われた本体は見た目がカラフルなだけでなく、サステナビリティに配慮されており、手で包んだ時の感触も心地良い。

薄型設計だがクリックやスクロールはしっかりできる。使っている際に本体の形が崩れてしまうことはない。
ノートPCと共に持ち運んでもかさばらない。落とした場合も破損のリスクが低く、安全に携帯可能だ。

持ち運びの課題を解決するマウス

 2023年にmyAir.0がOriMouseに関するクラウドファンディングを行った際、応援購入金額は目標金額の50万円を大きく上回る6,949万980円を達成した。サポーターの数は7,777人で、達成率が13,898%の大成功プロジェクトとなった。myAir.0によると、OriMouseの発想の原点は、オフィスや学校を移動する際のマウスの持ち運びづらさにあるそうだ。一般的なポータブルマウスは30mm以上の厚みがあるため、ノートPCやコーヒーカップと共に運ぶのは苦労する。ポケットに入れても膨らみが生じて不格好になり、バッグに入れても不自然な空間が生まれる原因になってしまう。

 最近のノートPCは薄型化が進み、持ち運び用のケースやバッグもスリムなタイプが増えている。マウスによる膨らみが収納性を下げている中で、折り紙に発想を得た新構造をデザインすることで、携帯に適したOriMouseが生まれた。実際に2in1タイプの薄いPCと共に持ち運んでみると、OriMouseのスマートさや持ち運ぶ際の安定感に強い魅力を感じた。

 日本の販売代理店のロア・インターナショナルによれば、写真やカタログでもOriMouseの仕組みは理解できるが、使い心地は手にしてみないと実感できないという。特に持ち運ぶ便利さは、体験してみないと古いマウスの常識は覆せない。そのため、販売当初はガジェット好きを中心に需要が広がっていた。しかし最近では、ネットの情報からピンポイントでOriMouseを買い求める医師や経営層が増えているらしい。特に出先でノートPCを使ってExcelなどのワークシートを操作するユーザーにとって、マウスの有無は作業の効率を大きく左右する。かさばることなくマウスを持ち運べるOriMouseによって、あらゆる場所での作業が快適になるだろう。

フリーアドレスのストレスも解消

 最近のオフィスはフリーアドレスが進み、席と席を移動する頻度が増している。打ち合わせや会議の多い社員は、ノートPCとマウスを持って会議室や打ち合わせブースを頻繁に移動する。そうした日常では、ぶ厚いマウスの存在は小さなストレスになってしまう。このような不満に応えるOriMouseは、目の前で使うと多くのノマドワーカーが欲しがるという。

 OriMouseの新たな需要として期待されているのが、ギフトや景品でのニーズだ。個人で買うには少しためらっている人も、プレゼントでOriMouseをもらったらうれしいだろう。海外ではすでにOriMouseを取り上げるインフルエンサーが出てきており、注目や関心が集まっている。日本では経営層やガジェット好きを中心に、OriMouseが広がっていくと考えられる。マウスの持ち運びやすさを革新するOriMouseは、一度手にしたらきっと手放せなくなる魅力的なガジェットだ。