【特集】App Assure サービス
ソフトウェアの互換性に特化したサポートサービス

Windows 10のサポート終了に伴うWindows 11への移行において、日本マイクロソフトはWindows 10で動作するアプリケーションの99.7%がWindows 11で動作することを公表している。このコーナーでもすでに解説したが、国内での大規模なWindows 11への移行においてもアプリケーションの互換性に関する問題は、独自開発のソフトウェアなどの特殊なケースを除いてほぼ皆無に等しいという。しかし万が一、互換性に問題が生じたらどうすればいいのか不安に思うユーザーもいるだろう。そこでマイクロソフト製品※のユーザーが無償で利用できる、ソフトウェアの互換性に特化したサポートサービス「App Assureサービス」を紹介しよう。

※Windows 10&11(x86、x64、Arm)、Microsoft 365 Apps、Microsoft Edge、Azure Virtual Desktop、Windows 365 Cloud PC、Copilot for Microsoft 365が対象。

アプリが最新版で動作しない場合
追加費用なしで修復の支援を約束

日本マイクロソフト
Microsoft FastTrack
App Assure Manager
(Japan Lead)
上野 公益子

 マイクロソフトでは同社製品の利活用を推進することと、自社製品の品質向上を目的として「FastTrack」と呼ばれる組織を世界中のロケーションで展開して、マイクロソフト製品のユーザーを支援している。FastTrackでは主に二つのサービスを提供している。

 一つ目がWindows 11やMicrosoft 365などの製品を導入する際に必要となる設定方法をアドバイスするなどスムーズな導入を支援する「FastTrack導入ガイダンスサービス」だ。そしてもう一つが今回紹介するソフトウェアの互換性に特化したユーザーサポートサービスである「App Assureサービス」だ。

 App AssureサービスはWindows 11やMicrosoft 365、Copilot for Microsoft 365、最新のMicrosoft Edge、さらにAzure Virtual Desktopなどを導入する際に、ソフトウェアの互換性に関する問題の解決を支援するサービスだ。

 App Assureサービスはマイクロソフト製品※のライセンスを一つでも利用していれば誰でも追加費用なく無償で、回数無制限、無期限で利用できる。なおApp Assureサービスでは技術支援サービスが提供されるが、アプリケーションの修復作業や互換性の有無の検証作業はユーザー自身で実施する。ちなみにFastTrack 導入ガイダンスサービスも無償で利用できるが、Microsoft 365のライセンスを150以上利用していることが条件となる。

 日本マイクロソフトでApp Assureサービスなどを担当するMicrosoft FastTrack App Assure Manager (Japan Lead)の上野公益子氏はApp Assureサービスの役割について「マイクロソフトはお客さまが使用するアプリケーションがマイクロソフト製ソフトウェアの最新バージョンで動作することを保証します。万が一問題が発生した場合は追加費用なしで修復の支援をしますという約束をしています。App Assure サービスは対象製品の導入やバージョンアップ、アップグレードに対する不安を取り除くとともに、それを製品にフィードバックして品質向上に役立てることもできます」と説明する。

Insider Preview版のソフトも対象
Windows 11で互換性問題はほぼない

 App Assureサービスの対象となるアプリケーションは大きく三つ、マイクロソフト製品とISVが開発・提供するアプリケーション(パッケージ製品など)、そしてユーザーが独自開発した基幹業務アプリケーションとなる。

 マイクロソフト製品ではMicrosoft 365 Apps(マクロやアドインを含む)、Microsoft Edge、Azure Virtual Desktop、Windows 365 Cloud PC、Copilot for Microsoft 365が対象となり、互換性の問題の根本原因の究明と取り組みを支援する。さらに正式なリリース前に公開されるInsider Preview版の Windows や Microsoft 365 Apps、Microsoft Edgeなどのソフトウェアについても、互換性に問題が生じた場合はベストエフォートにて解決を支援する。

 上野氏は「Insider Preview版は製品版ではないためベストエフォートでの支援とはなりますが、先行して検証や開発を進めたいというユーザーにも安心を提供しています」とアピールする。

 ISVアプリケーションでは根本原因を究明してISVと共同でアプリケーションを修復する。ユーザーが独自開発した基幹業務アプリケーションでの互換性の問題に対して根本原因を究明し、アプリケーションのコード変更をアドバイスする。いずれも互換性に影響を及ぼす不具合がマイクロソフト製品にある場合は、その対処も行われる。

 App Assureサービスを通じて互換性問題に関わる上野氏は「Windows 10で動作しているアプリケーションがWindows 11で動作しないという問い合わせは、国内をはじめグローバルでもほぼありません。Windows 11でソフトウェアの互換性で問題が生じるとしたら、ISVさまのアプリケーションやアドインの更新、あるいは独自のマクロが当社製品の最新版に適応していないことが考えられます。そうした場合に生じた問題もApp Assureサービスを通じて、具体的な対処方法を提示して解決を支援します」と説明する。このほかパフォーマンスの低下やフォント表示のずれなどが生じるアプリケーションに関する問い合わせもあると、Developer Support Core App Assure Japan / App Assure Engineer 吉田 純氏が付け加えた。

互換性問題のサポート対象に
Copilot+ PCも含まれる

 App AssureサービスではAI PCでのアプリケーションの互換性問題にも対応している。ビジネスにおいてAIの活用が求められている現在、AI PCの導入を検討する企業が急増している。中でもクラウドだけではなく手元のPCでもAIを適材適所で活用できる「Copilot+ PC」が注目を集めている。

 Copilot+ PCには非常に高速なAI処理性能を備え、バッテリー駆動で一日中使用できる高い電力効率を誇るArmベースのCopilot+ PCもラインアップしており、モバイル環境でAIを高度に活用できるモバイルPCとして世界中のビジネスパーソンに期待されている。このArmベースのCopilot+ PCに搭載されるArm版WindowsもApp Assureサービスの対象に含まれる。

 上野氏は「マイクロソフトのアプリケーション互換性の約束にはCopilot+ PCも含まれており、既存のWindowsデバイスで現在実行されている全てのアプリケーションが、ArmベースのCopilot+ PCでも問題なく動作するように取り組んでいます。マイクロソフト製品、ISVアプリケーション、ユーザーが独自開発した基幹業務アプリケーションで問題が発生した場合はApp Assureサービスを通じて追加費用なしで問題を解決します」と強調する。またApp Assureでは、アプリ開発者向けに無償で、Arm Advisory Serviceを提供している。詳細はApp Compat Help <achelp@microsoft.com>へ問い合わせてほしい。

家族の介護やリモートワークで自宅にいる時間が長くなったことをきっかけに、自宅の庭でガーデニングにハマり始めました。知識も経験もありませんでしたが、好きな花のバラを育てていくうちにコツを習得し、今ではいろいろな種類のバラを育てて、開花したさまざまな表情のバラを眺めて楽しんでいます。庭いじりのおかげで大工仕事も得意になり、自宅のメンテナンスも自分でできるようになりました。次はどんなスキルアップに挑戦するか思案中です。