製造業や建設業をはじめとした産業現場では、以前から生産効率の向上や品質の改善などを目的に、機器をIoT化する産業IoTの導入が進められていた。一方で「IoTを導入してみたけれど、効果が上がらない」「データをうまく使いこなせない」といった課題から、PoC段階で導入がストップしてしまった現場も少なくない。しかし昨今、生成AIが台頭してきたことで、この技術とIoTを組み合わせた新しいデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが進みつつある。今回はIoTと生成AIを組み合わせたソリューションや取り組みを紹介していこう。

生成AIの活用でオフィスの電力消費量を削減
さまざまな環境データから快適な空調を導く

生成AIの技術とその可能性が注目される中で、ソラコムと松尾研究所が共に設立したのが「IoT×GenAI Lab」だ。2023年7月に設立されたIoT×GenAI Labは、生成AIと大規模言語モデル(LLM)のIoT分野での活用を研究、推進するプロジェクトだ。生成AIとIoTを組み合わせることでどのような可能性が生まれるのだろうか。ソラコムにその設立の経緯と取り組みについて話を聞いた。

オフィスの空調を生成AIが制御

ソラコム
松下享平

 IoTプラットフォーム「SORACOM」を通じて、IoT通信とインターネットに“つなぐ”システム構築に必要なサービス提供を行っているソラコム。同社が人工知能の研究で知られる東京大学の松尾研究室と併走する組織「松尾研究所」と共に2023年7月に設立したのが、IoT分野における生成AI、LLMを用いた技術検証やプロトタイピング、プロダクト開発を目指すIoT×GenAI Labだ。

 設立の経緯をソラコム エバンジェリスト 事業開発マネージャー 松下享平氏は次のように語る。「設立当時は、生成AIが非常に注目されていた時期でもありました。当社でも、2023年3月から全従業員にChatGPT Proの費用サポートをスタートし、2023年4月からは社内のSlack上にChat GPT APIを組み込み、全従業員が業務で生成AIを活用できる環境を提供しています。その一方、生成AIのユースケースを見ると多くの場合、テキストベースのチャットボットや、画像を生成するという用途にとどまっています。IoT×GenAI Labではそうした生成AIの活用をさらに広げていくべく、IoTと生成AIを組み合わせた具体的なユースケースの創出などに取り組むことで、より幅広い生成AIの社会実装を目指していきます」と語る。

 具体的な取り組み例として、三菱電機と協働で行った実証実験がある。2024年1月15日から3月8日にかけて、三菱電機のオフィス(DXイノベーションセンター 横浜ダイヤビルディング8F)においてIoTと生成AIを応用した空調機器制御の実証実験が行われた。実証実験では「部屋を最適な温度に保ちつつ、可能な限り電力消費量を削減する」ことを目的に、以下の5項目を実施した。

1. センサーから取得したオフィス内外の環境データとオフィス勤務者から得られた快適性に関するフィードバックをパラメーターとして収集
2. 追加学習の必要がない事前学習済みの汎用的な生成AIにデータを入力
3. オフィス内に設置された空調機器の最適な温度を生成AIで2時間に一度予測
4. 室内にある空調機器の設定温度を生成AIの予測した最適温度へ変更し、快適性と電力使用量をモニタリング
5. オフィス環境が空調機器の設定温度を変えたことで動的に変化する。その結果をまた生成AIに入力

 本実証実験ではセンサーや外部の天気情報から得られた環境データ、空調機器の設定温度、空調利用位置検知システムの情報、感性情報(オフィス勤務者からのフィードバック)などのデータを取得した。これらのビル環境や人のフィードバックをデータとして入力し、生成AIで空調機器の最適な温度を予測し、その温度を反映することで、オフィス環境の快適性や電力消費量がどのように変化したのかを調査している。

「ちょっと面白いポイントとして、外部の天気予報から得られた環境データや、空調の利用者の位置検知システム(ヒートマップ)などの環境データは、数値ではなく画像のまま入力しました。本来だとヒートマップなどは機械に読み込ませる際にテキスト化する必要がありましたが、生成AIに画像で読み込ませるだけで環境データとして認識したため、手間をかけずに非常に精度の高い環境データを入力できました」と松下氏。生成AIにはOpen AIの生成AIエンジン「GPT-4/4V」、データ可視化ツールにはDataikuの「Dataiku ver.12.1」を活用した。

電力使用量を約48%削減

「本実証実験では、実際に生成AIを活用することで電力使用量が期間平均で47.92%削減できました。またオフィス勤務者の快適性も平均して26.36%の改善効果を実現しました。三菱電機はもともと空調制御の技術を持っていますが、空調で快適な状態を作るにはさまざまな要素が絡むため、目標とする設定温度に対するアプローチが難しいのだそうです。一方で生成AIにさまざまな環境データを入力すると、より精度の高い快適な情報を出力してくれるため、高い電力削減と従業員の快適性実現が両立できました」と松下氏。

 もう一つのトピックとして、本実証では汎用的な生成AIを活用していることが挙げられる。前述した通りOpen AIのGPT-4/4Vを活用しており、基盤モデルに対する追加学習などは行っていない。

「一般的に空調制御をAIで行おうとすると、従来は最初に学習データを用意する必要がありました。その学習データもさまざまな条件を想定した形のものが求められており、いわゆる専門的な機械学習モデルを作って初めて実現できるものでした。しかし今回は、基盤モデルに何も手を加えずに、入力する環境データを多くするだけで最適な温度の精度を高められたというのは、私たちも非常に驚きました」と松下氏は振り返る。今後はより電力消費量の多いデータセンターや工場などでの生成AI活用も視野に入れている。

 また、今回の実証実験では生成AIが示した最適な温度設定を人間が手動で行っていたが、生成AIの出力を基にIoTなどで操作を行うことで、より利便性の高い空調制御も可能になる。ソラコムでは、こうしたAIによる分析や判断、次のアクションへの連携といったIoTアプリケーションをローコードで開発できる「SORACOM Flux」を2024年7月17日から提供をスタートしている。

生成AI×IoTをノーコードで

 SORACOM Fluxは、複数のデータソースや生成AIを組み合わせてデータ分析や判断、通知ツールなどの外部アプリケーションとの連携を実行できるサービスだ。本サービスを利用することで、デバイスからクラウドにデータを連携して、クラウドからデバイスを制御するような仕組みをローコードで開発できる。

 松下氏は「デバイスやAI、クラウド間のデータの流れをつなげていくのはなかなか難しく、社会実装までのハードルが高いのが現状です。しかしSORACOM Fluxを活用すれば、ローコードでデータの流れを定義できるため、非常に簡単にデータと生成AIを組み合わせることが可能です。例えばカメラで撮影している映像データから、AIが転倒を検知して、自動音声でスタッフに電話するような仕組みを簡単に作れるのです。さまざまな業界で活用できますので、自分たちの現場でどう使えるだろうか? と考えるヒントとしてSORACOM Fluxを活用いただければと思います」と語る。SORACOM Fluxは現在無償プランのみの提供だが、今後有料プランのリリースも予定している。

「当社のIoTプラットフォームではセルラー通信だけでなく、衛星通信やLPWAなどを取り扱っています。こういったさまざまな通信や技術によって、現場のデジタル化を進めていくと同時に、デジタル化されたところからクラウドにつなげていくことで、生成AIと組み合わせたサポートを進めていきたいですね」と松下氏は語った。

多様なセンサーデータを一元化し
現場作業をAIアシスタントがサポート

リアルデータの活用とテクノロジーで世界を「モードチェンジ」することを掲げるMODEは、シリコンバレー発のIoTスタートアップ企業だ。サンフランシスコと日本にオフィスを構えるMODEはソリューション型IoTプラットフォーム「BizStack」を提供している。その技術と、2024年5月1日から提供をスタートした生成AI×IoTソリューションサービス「BizStack Assistant」を組み合わせることで実現する現場DXを見ていこう。

現場の様子をデータで可視化

MODE
渡邊飛雄馬

 MODEが提供するソリューション型IoTプラットフォームのBizStackは、データの収集から蓄積、可視化、活用が一つのプラットフォームでパッケージ化されているサービスだ。BizStackでは多様なセンサーデバイスやPC、PLC、データロガーなどに対応する「BizStack Gateway」を用意している。このゲートウェイがセンサーデータを集約し、BizStackのダッシュボード上で機器の状況などを可視化できる仕組みだ。

「当社の注力領域は、土木建設などの工事現場や、鉄道などの社会インフラ、倉庫やオフィスビルなどのファシリティ管理、生産設備のある工場や設備などです。こういった現場では熟練のスタッフが退職する一方で若手がなかなか採用できないという課題を抱えており、限られた人員で業務を進める仕組みが求められています」と語るのは、MODE プロダクトマネージャー 渡邊飛雄馬氏。

 渡邊氏が述べたような現場業務では、定期点検や異常確認などの現場巡回やデータの確認、日々の帳票作成などの業務が必要となる。渡邊氏は「例えばゼネコンの現場監督者は2人程度しか現場に派遣されない中で、何十人もの職人をマネジメント管理しながら、現場巡回やデータの確認作業を行わなくてはなりません。BizStackは機器がセンシングしたデータをダッシュボードで確認できるため、巡回や確認をしにいかなくても業務を行える環境を作れます」と語る。

自然言語でIoTの情報を提供

 一方で、BizStackのような現場作業をIoTで可視化できるプラットフォームは数多くある。中には過去にIoTのPoCを実施したがうまくいかず、導入に至らなかったというケースも少なくないはずだ。例えば装置や拠点ごとにデータ形式がばらばらでデータの結合ができなかったり、センサーによって異常検知ができたものの、それぞれの対応方法が異なるため復旧対応をする人員が必要だったりすると、本来の「限られた人員で現場を回す」課題解決につながらないのだ。

「データのアクセス性が悪く報告書作成に時間がかかるという話も耳にします。そういったIoTの課題を解決するため、当社では生成AIを活用したAIアシスタント『BizStack Assistant』の提供をスタートしました。これは普段皆さまが使っているチャットツールから、自然言語で指示を出すだけで目的の情報を提供してくれるAIアシスタントです。TeamsやSlackのほか、建設現場などでよく使われているビジネスチャット『direct』にも対応しています」(渡邊氏)

 IoTプラットフォームであるBizStackと、生成AIであるBizStack Assistantを組み合わせて活用することで、ユーザーはこれまで以上に現場の状況を把握しやすくなる。

 例えばトンネル工事を行っている現場で利用している水中ポンプに異常が発生した場合、BizStack Assistantがその情報をチャットで教えてくれる。現場作業員が復旧作業を終えた後に、正常に稼働しているかを確認をするようなことも、自然言語で行える。

 また、上記のような異常のアラートがエラーコードで発せられる場合もある。「エラーコードで通知される場合、コードが意味することを知らない人もいます。その場合でも『エラーコード001の意味と対処方法を教えて』とチャットで問いかければ、その答えをマニュアルから引用してくれる『ナレッジベース』という機能も搭載しています」と渡邊氏。熟練の作業者も新人の作業者も、同じように作業に当たれるのはうれしいポイントといえる。

 BizStack Assistantは2024年5月1日にリリースしたサービスだが、すでに導入事例もある。例えば西松建設では、前述したような山岳トンネルの工事現場でBizStack Assistantが活用され、点検作業時間が40%削減できたという。「今までのIoTの画面は、社員でも確認する人はほとんどいなかったと聞いています。しかしBizStack Assistantを活用することで、トンネル工事を行う現場社員全員が現場の情報に簡単にアクセスできるようになり、点検作業の時間を大きく削減しそうです」と渡邊氏は活用メリットを語る。

BizStackのダッシュボードでは、さまざまなセンサーデータを一元的に閲覧できる。グラフィカルなUIで情報も見やすい。
BizStack Assistantはチャットアプリと連携することで、作業現場の様子を自然言語で回答してくれる。上記キャプチャーはSlackからBizStack Assistantと会話している様子。

音声での指示にも対応予定

 BizStack Assistantはテキストベースのみならず、音声への対応も進めていく。MODEは2024年8月19日にグループ通話コミュニケーションツール「BONX WORK」を提供するBONXと協業をスタートしており、今後音声でBizStack Assistantと会話できるようにしていく予定だ。

「BONX WORKは音声チャットのようなアプリで、建設現場やリテール現場などで数多く導入されています。まずはアラートを音声で通知するような仕組みを目指しており、次のステップとしてBizStack Assistantから話しかけたり、利用者がBizStack Assistantに『あれはどうなってる?』とか『所長はどこにいる?』と聞いたりすれば答えを教えてくれるような仕組みを目指しています」と渡邊氏。建設や製造などの現場の作業員は、作業中にスマホを取り出してテキストを打ち、チャットでAIアシスタントに問い合わせるのはなかなか難しい。実際に導入した顧客からも「音声でやりとりができるとさらに便利になる」というフィードバックがあったという。

「当社の大きなビジョンとして、『現場で一緒に働いてくれるアシスタントを作る』というものがあります。例えばスターウォーズのR2-D2のように、何か困っていたら意思疎通ができて助けてくれるような存在を作っていきたい。そこに近づくためには、音声対応は大きなマイルストーンですので、ここは確実に実現していきたいですね。また、次のステップとしてデータ分析にも対応をしていきたいと考えています。現在、ナレッジベースの回答やデータの簡単な比較までは対応できていますが、データ同士の相関分析や去年と比較したトレンドなどは回答できません。今後はデータ分析やデータ解釈を行えるよう、開発を進めます」と渡邊氏は展望を語った。

ベテラン社員の知見をナレッジ化し
生成AIが新規就労者をサポートする

労働人口減少に伴い、製造業の就業者数も過去20年で18%減少しており、2022年には1,000万人を下回った。就労者数が減少することで問題となるのが、技能継承だ。そうした課題を解決するため、生成AIの活用に可能性を見いだしているのがNECだ。その取り組みと活用されている技術を見ていこう。

ベテランの知見を生成AIに

「製造業では、若手の就業者数が減少する一方で、ベテラン社員の負荷がどんどん高まっています。これにより問題視されているのが、技能継承です。そもそも就労者数が減少していることに加え、ベテラン社員の業務負担が増えていることにより、新規就労者の若手や中途採用者に対しての技能継承に時間をかけることが難しい状況にあるのです」と課題を口にするのは、NEC 製造ソリューション事業部門 スマートインダストリー統括部 プロフェッショナル 高野智史氏。

 そうした労働力不足に備えるため、ベテラン社員の知見などを蓄積していく社内ナレッジを構築する例も増えている。一方でナレッジが蓄積されていても、目的の情報にアクセスする仕組みができておらず、ナレッジの有効活用が難しいケースも存在する。これらの課題の解決には、生成AIの活用が効果的だ。生成AIの活用によって、経験が浅くノウハウの少ない若手スタッフでも、自然言語で質問することでナレッジに蓄積された情報を引き出したり、トラブル発生時の対処法を回答してもらったりできるのだ。

工程FMEAも自動作成

NEC
(左)増本貴樹
(右)高野智史

 NECグループの一つ、NECプラットフォームズでは、こうした製造業における生成AIの内、LLMの活用を自社の製造現場で進めている。一つ目はトラブルが発生した場合に、その対処方法をLLMにチャット形式で尋ねることで解決できる仕組みだ。

 高野氏は「NECプラットフォームズで技術的実現性の検証を2024年3月に行いました。検証ではRAGを活用することで、ハルシネーションを抑制しつつ、質問の内容に適した情報を高い精度で引き出す仕組みを実現できたようです。またこの取り組みによって、検索結果の精度を向上させるためにデータの標準化や構造化が必要であることも分かりました。例えば同じAを指す言葉でも、人によって用語が統一されていないことはよくあります。報告書の書き方も人によって書き方が異なるため、当社のデータサイエンティストがこれらのデータをテンプレート化することにより、事例検索の正答率向上を目指しています」と語る。

 二つ目が、工程FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)の自動生成だ。「このFMEAというのは日本語で言うと、故障モード影響分析です。新しい製品の生産ラインを新規に立ち上げる際に行う業務であり、潜在的に起こり得る不具合や問題点などを事前に特定することで、品質の向上やコストの削減、安全性の確保につなげます」と高野氏。LLMを活用することで、この工程FMEAを自動生成でき、製品品質や生産性向上を実現する。例えば「過去のトラブルを基に『ネジ締め』工程で考えられる『故障モード』とその『原因』『予防策を教えて』」とプロンプトを入力すると、指定したフォーマットに基づいてFMEAが自動生成される。2024年6〜9月にかけて、実際にNECプラットフォームズで検証を行ったところ、FMEAの品質コストが15%、作業生産性が25%改善されたという。一方で、AIの回答精度は100%ではないため、最終的に人がチェックやレビューを行い、不要なものを省くことも必要だ。

(左)NEC Industrial IoT Platformの画面。成形ライン2の設備総合効率や良品率が目標を下回っていることが分かる。
(中)情報を調べていくと、出来高・不良件数推移の画面でボイド不良が多発していることが分かった。
(右)生成AIにボイド不良の原因や対処、過去の事例の確認ポイントを質問すると、過去のナレッジからトラブルへの対処方法を回答してくれる。

IoTと生成AIでトラブルへ対処

 こうした生成AIへの取り組み以前から、NECはものづくりDXを実現するデータ基盤として「NEC Industrial IoT Platform」を提供してきた。これは生産設備や人(音声、映像)、周辺システムなどからデータを収集・集約して、ラインレベル、工場レベル、全社レベルの横断的なデータドリブン型ものづくりを支援するプラットフォームだ。このNEC Industrial IoT Platformと生成AIを組み合わせることにより、製造現場の困りごとをよりスムーズに解決できる仕組みを構築できる。

 NEC スマートインダストリー統括部 主任 増本貴樹氏は「NEC Industrial IoT Platformでは成形ラインごとの出来高や設備総合効率、時間効率、性能稼働率、良品率などが確認できます。目標を下回っているラインは画面上で黄色や赤で表示されるため、NEC Industrial IoT Platform上で閲覧できるデータから、問題の切り分けが容易に行えます。しかし、これらのデータを調査していき、問題の特定が行えても、その対処方法を知っているベテランの社員がすでに退職している場合、問題の解決に時間がかかってしまうでしょう。そこで当社の生成AIを活用すれば、過去のトラブル履歴や日報データなどの社内にあるナレッジを基に、ユーザーの困りごとに回答するような仕組みを構築できます」と語る。

 また、これらのトラブル対応をまとめる日報も生成AIがサポートする。従業員の日報の業務負担が軽減できることはもちろん、生成AIが対応することで、誰でも同じフォーマットで日報が作成可能だ。こうした日報のナレッジをストレージに格納しておくことで、生成AIの回答をより賢くしていくことにもつながるのだ。

「このNEC Industrial IoT Platformと生成AIの連携は、まだコンセプトレベルで、目下開発の段階です。生成AIによるトラブルの対処方法レコメンドや工程FMEAの自動生成などについては2025年上期ごろにはお客さまに提供できるよう、製品のブラッシュアップを進めています。また、今回紹介した工程FMEAは、製造現場における工程設計で使うものですが、それだけだとお客さまにとっての価値が弱いとも感じています。そのため、もう少し上流の製品設計において、どう故障に対するリスク対策を講じていくのかといったところに生成AIを使っていくことも検討しています」と高野氏は展望を語った。