利用企業が3,500社を突破したリセのAI契約書レビューサービス「LeCHECK」は、30名以上の弁護士が監修した高精度AIにより、契約書のリスク箇所を的確に検出するリーガルテックサービスだ。レビューする契約書のリスクを可視化して、解説文や参考条文例を提示してくれる。最新の法改正にも対応するため、法改正の際にかかる時間と手間を削減できる。総務や経理が契約書を管理している中堅・中小企業でも、LeCHECKを活用することで契約書に関するリスクを低減し、大手の取引先と対等な取引が可能になる。契約書のAIレビューが新しい働き方にどのように貢献するのか探っていく。
中堅・中小企業を中心に導入が広がる
契約書を中心とした法務関連の業務効率化に貢献する「LeCHECK」は、AIがPDFやWord形式の契約書を検証するリーガルテックサービスだ。検証対象はデジタルデータだけではなく、紙からスキャンしたPDFも99.74%の精度で文字を認識して、契約内容の不利な条項や抜けている条項を指摘してくれる。検証可能な契約書は、日本語のほかに英文にも対応している。
チェックしたい契約書をLeCHECKにアップロードするだけで、レビュー結果が瞬時に表示される。契約書のレビューにはリセが独自に開発したAIが使用されており、弁護士が監修したリスクチェックをはじめ欠落条文や条文重要度などを検証する。そのほかにも、自社基準を登録しておけば固有のルールに従ったチェックやコメントの挿入も可能だ。さらに最新の法改正にも対応しているため、労働基準法をはじめとした労務管理に関する法令などの頻繁に改正される法令に対処できる。またリスクとして挙げられた箇所があった場合には、その箇所がなぜリスクなのかといった修正するべき観点を解説し、各分野の専門弁護士監修による修正案を提示する。修正の際は過去にチェックした契約書やLeCHECK内のテンプレートなどから、条文を検索して使用することも可能だ。
LeCHECKは2020年末のサービス提供開始以来、導入企業数は右肩上がりに増加しており、2025年2月には導入企業が3,500社を超えた。2024年6月時点での集計によれば、利用している企業の80%以上が中堅・中小規模であることが分かった。会社における法務担当者が1人しかいない「一人法務」や総務部などが契約書のチェックを兼務しているような企業が、積極的にLeCHECKを導入しているのだ。
創業者の想いがサービスに結実
LeCHECKの開発に携わったリセの代表取締役社長で弁護士の藤田美樹氏は、法律事務所で勤務している時に中堅・中小企業の契約リスクを経験し、その課題を解決する一助としてAIによる契約書レビューサービスを思い付いたという。中堅・中小企業には法務に精通した人材が不足しているため、大手企業から不利な契約書が届いてもリスクのチェックができない。契約締結後にトラブルが生じてから法律事務所に相談しても、泣き寝入りに終わってしまうケースが多いのだ。そうしたリスクを少しでも軽減するために、30名以上の弁護士が監修した高精度AIを開発し、契約書のリスクを事前にレビューするサービスの提供をスタートした。
法務の専門家がいない企業の担当者でもすぐに使えるように、LeCHECKは使い勝手に配慮している。契約書をLeCHECKにアップロードすると、オリジナルの契約書が左側に、AIによるレビュー結果が右側に表示される。自社にとって不利となる箇所を分かりやすい文章で解説するだけでなく、条項の抜け漏れを指摘し、代替案の提案もしてくれる。そのため、担当者が法務に関する知識を持っていなくても契約書のリスクチェックを行えるのだ。さらに、Wordを使うとアドイン機能によりダイレクトにLeCHECKへアクセスして、レビューされた結果を参考に文書ファイルを編集できる。
リスクチェックの対象となる契約書には、特に業種や業務などの違いはないが、製造業や不動産に特化したプロフェッショナルプランも用意している。不動産業界の契約書は一般的な法律文書とは異なり、業界特有の専門用語や条項が記載されている。その内容を適切に分析し、リスクを最小限に抑えるために「宅地建物取引業法」やそのほか不動産に関連する法令に対応したリスクチェックが求められる。業界特化パッケージは、LeCHECKを商材として提案する上で、特定の業界をターゲットにできるポイントといえる。業界特化パッケージに注目すると、大手企業の法務担当者への提案も可能になり、その企業と取引のある中堅・中小企業などにもアプローチできるだろう。
総務や管理部門の働き方改革にもつながる
LeCHECKによる契約書のリスク管理は、大手企業の法務部門や法律事務所でも活用されている。業務の専門性の高さからナレッジが共有されていないケースが多く、契約書を中心とした法務関連の業務は属人化しやすい。そのため大手企業であってもベテランの法務担当者がいないと、契約書をチェックできないといった事態に陥りがちだ。そうした属人化を低減し、効率良く的確な働き方を推進するために、LeCHECKを導入して契約書をチェックする法務担当者のレベルアップに取り組んでいる事例もある。LeCHECKには、自社の契約書をひな型として登録できる機能があるので、契約書を作成する側にとっては自社基準による契約書のチェックにも活用できる。
また、中堅・中小企業では兼務で契約書のリスクチェックを行っている総務部や管理部の負担が低減されるだけではなく、契約におけるリスク回避にもつながる。さらにLeCHECKは、英文契約書にも対応しているので、海外との取引がある企業であれば、翻訳者や外部の弁護士に依頼するコストと時間を削減できる。月に3件以上の契約書を交わしている取引があるのならば、企業規模を問わずにLeCHECKを導入する効果はあるという。
契約書を受け取る小規模事業者の多くは、大手企業から提示された契約書の内容は修正できないと誤解しているケースも多い。しかし契約書の不備や不利益を指摘しようとすれば、外部の弁護士に依頼しなければならず、コスト面からためらってしまう経営者もいる。交渉はしたいけれどもどうしたらいいか分からない。そうした小規模事業者の不安や悩みに、LeCHECKは大手企業に立ち向かうための武器となってくれるだろう。「争いのない『滑らかな』企業活動の実現」をするために開発されたLeCHECKは、契約書の確認に悩む経営者や管理部門の担当者にとって、頼れるサービスといえる。