今月のテーマは……
Duet AIを活用した
Google Workspaceのユーザー支援機能
前号は「 Duet AI for Google Workspace 」※の文書作成の機能について取り上げました。11回目の今回は、同じく「 Google Workspace」の生成AIである「Duet AI」でできるイメージの可視化、データの生成、快適なリモート会議を実現する音声の文字起こしや翻訳といったユーザーを支援する機能を紹介します。
※Duet AI for Google Workspace は、利用顧客を絞った限定公開のリリースのため、機能名や機能の詳細は、正式リリースに向けて変更になる可能性があります。
表現力を高めるイメージの生成
プレゼンテーションの資料を作成するとき、イラストや写真を挿入したいけれど適切な素材がなく困ることはないでしょうか。文書で記載した内容を補完するためにイラストを入れたり、伝えたいメッセージをより明確化するために写真を入れたりすることが多いと思います。利用可能な画像データから検索しても思った通りの画像がなかったり、探すのに大変な思いをしたりする方は多いのではないでしょうか。
Google スライド には、そんな課題を解決するために、挿入する画像をAIが生成してくれる「Help me visualize」機能が搭載されています。利用方法は以下の通りです。
まず、Help me visualize機能を呼び出します。そして、AIに描画してもらいたい画像を自然言語で入力します。出力される画像の種類を写真、イラスト、ピクセル画風などから指定することもできます。あとは「実行」するだけです。数十秒程度待つと、異なる数枚の画像を生成・提示してくれます。例として「東京タワーの前にいるカバ」をイラストで作成するように要求してみましょう。それに対する応答が左ページの画像です。
タワーの前にカバのいるイラストがいくつも生成できました。この中からイメージに合った画像をクリックすると、スライドに挿入することが可能です。そもそも世の中にまだ存在しない写真やイラストを利用したい場合は、プロの写真家やイラストレーターへ依頼しなければならず、多くのコストと時間がかかっていたかと思います。Duet AIを利用すれば、それがわずか数十秒で生成できるのです。
スプレッドシート上でデータを生成
文書や画像だけではなく、Google スプレッドシート 上でデータを生成させられる「Help me organize」機能も備えています。こちらも Google スプレッドシート でHelp me organize機能を呼び出します。例として「営業チームのOne dayキックオフのアジェンダを、詳細の記載とステータスを含めて作成して」と命令してみましょう。ここでも自然言語での命令文を入力して、実行するだけです。
数秒待つと、こちらも命令した通り、1日のアジェンダが詳細列とステータス列を含めた形で作成されました。内容と詳細も、チームのゴールやトレーニング、親睦を深めるためのアクティビティと、命令した内容に沿ったアジェンダとなっていることが分かります。
ちなみにステータス列はドロップダウンで変更ができるように、あらかじめ Google スプレッドシート の機能を生かした形式で出力されました。この表をそのまま使って進行できるようになっています。
コミュニケーションのバリアを乗り越える
最後にビデオ会議ツールである「 Google Meet 」のAI機能を紹介します。第4回でもご案内した通り、Google Meet のビデオ会議では会議音声の文字起こしと、文字起こしをした内容の翻訳を行えます。対応言語は順調に拡張されており、日本語音声の文字起こし、英語音声から日本語への自動翻訳も対応しました。英語に自信のない方でも、安心してグローバルの会議へ挑めますし、聴覚に障害のある方が参加する際にもコミュニケーションを円滑に進められるようになるでしょう。
前号と今号を通して、Duet AI for Google Workspace の生成 AI の機能である、文書作成、画像生成、データ生成と音声の文字起こし翻訳について紹介しました。これまでも“AI のちから”で便利に使えていた Google Workspace が、Duet AI により、ユーザーの生み出す力を一層支援できるようになりました。Duet AI for Google Workspaceをぜひビジネスに役立てていただきたいと思います。