今月のテーマは……
コストを抑えながら Gemini が利用可能に
ユーザーにもたらすメリットとは?
2025年1月15日、Google Workspace ユーザーにとって大きなニュースが飛び込んできました。これまでアドオン製品として提供されていた「 Gemini for Google Workspace 」が、Google Workspace の基本契約に含まれることになったのです。これが Google Workspace ユーザーの皆さまにどのような効果をもたらすことになるのか、今号では詳しく紹介していきます。

庄司大助(Dandy) 氏
所属:グーグル・クラウド・ジャパン
パートナーエンジニアリング本部
役職:パートナーエンジニア
経歴:大学卒業後、日系の中堅企業のIT部門で、ITインフラ担当者として入社後、自動車系IT企業にて、ネットワークエンジニアを経験。その後、マイクロソフトにて、10年以上にわたり、オンプレミスからクラウドまで幅広くプリセールス活動に従事。現職に至る。
ユーザーにもたらすメリット
「 Gemini for Google Workspace 」がついにGoogle Workspaceの基本契約に含まれることが発表されました。これは、Google Workspace ユーザーに多くのメリットをもたらします。
まず、コスト削減効果が挙げられます。これまで Gemini for Google Workspace を利用するために支払っていた追加料金が不要になるため、コストを抑えながら Gemini の機能を活用できます。
利用プランにもよりますが、例えば、Business Standard プランに、旧Gemini Enterprise を買い足す場合、概算価格は5,000円程度ですが、Gemini Enterprise 分が包含され、参考価格は1,600円になります。以前のライセンス体系に比べ、6割引き程度の価格となっています。生成AI機能を使いたいけれど、コストが足かせとなって利用を諦めていたお客さまには、大きな追い風となりました。
次に、業務効率化が期待できます。Gemini の高度なAI機能は、メールや文書の作成、データ分析などの業務を効率化するのに役立ちます。これによって、ユーザーはより多くの時間を創造的な業務に費やせるようになります。
さらに、生産性向上にもつながります。Gemini のサポートによって、より質の高い成果物を短時間で作成できるようになるため、生産性向上に大きく貢献します。


使い倒したもの勝ち
追加コストを払った上で利用できる生成AI機能だったものが、誰でも平等に使えるようになりました。これは、予算に余裕のある一部の企業のみではなくなり、企業の規模の大小や予算の有無にかかわらず、生成AI機能を使えるようになったことで、一層、生産性や業務効率化に差の生まれやすい状況になったとも言えます。
「生成AIの導入はうちにはまだ早い」と二の足を踏んでいるお客さまは、競合企業にどんどん差を付けられたり、差を詰められたりすることが予想されます。前述の通り、社員数は変わりませんが、社員一人ひとりに、資料作成やデータ分析などのさまざまな業務を短い時間で効率良くかつ、品質良く支援してくれる万能なアシスタントが付くようなものです。もっと極端な言い方をすれば、社員が2倍に増えるようなイメージに近いでしょう。


ハイクオリティな業務を支える
生成AIでできることは、時間の経過と共にどんどん進化しています。例えば、Google Workspace のさまざまなアプリの裏側で動く大規模言語モデル(LLM)を見ても、すさまじい進化を遂げています。
2023年12月に「 Gemini 1.0 」が発表され、テキスト、画像、音声、動画など、多様なデータタイプの処理が可能なマルチモーダルAIエンジンとして、自然言語処理、音声認識、画像認識といった幅広いタスクに対応できる能力に驚かれた方も多かったでしょう。
年が明けて間もない2024年2月には、「 Gemini 1.5 」が発表されました。1.0に比べて、処理できるデータ量が大幅に増えました。Gemini 1.5 Pro では、1時間の動画、11時間の音声、3万行以上のコードまたは70万字(1,500ページ程度)のコードベースなど、膨大な量の情報を一度に処理できるようになりました。こうなるともはや、アシスタントの域を超えたスーパーマンが作業を支援してくれるようなものです。
そして、2024年夏ごろには「 Gemini 2.0 」が発表されました。これによって処理速度の向上、より複雑なタスクに対応できるようになっていき、高度な推論、コーディング、創造的なコラボレーションなどが可能になりました。また、モデルも多様化しています。高速処理や低レイテンシーを重視したモデルや複雑なタスクを対応するモデルなど、よりユーザーハイクオリティな業務を支えるラインアップに進化しています。
生成AIを活用するユーザーや組織は、限られた時間の中でどんどんと業務をこなし、新しいビジネスの検討、創造などによって競争力を持つ礎ができます。生成AIを使い倒さなければ、置いてきぼりになることは容易に想像できるかと思います。1日5分の時間短縮でも構いません。まずは、Gemini を使って、効果を感じるところから、早く始めてください。小さな一歩が大きな前進につながります。
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