バックオフィスの業務効率化で
働き方改革を加速「WisTalk」

あらゆる会社に必須の部門といえば、人材を管理する人事部門、会社のお金をつかさどる経理部門、そして会社の備品管理やもろもろの業務をこなす総務部門などのバックオフィスだ。ビジネスの後方支援を担う部署は、社員が円滑に働けるように各部門に関わる業務をこなすだけではなく、社員からの問い合わせにも追われている。例えば、経費精算に関する科目の質問、有給などに関する労務規定の確認、他部署の社員の情報など、電話やメールでの問い合わせは多岐にわたる。こうした「質問」に関する業務を効率化するパナソニック ソリューションテクノロジーのAIチャットボット「WisTalk」は、バックオフィス部門の働き方改革につながるだけではなく、問い合わせる側の社員の働きやすさにも良い影響を与える。

パナソニックのコア技術から誕生

 パナソニック ソリューションテクノロジーの「WisTalk」は、社内問い合わせやヘルプデスク向けのAIチャットボットだ。社内向け用途のチャットボットとしては、3年連続でシェアNo.1を獲得している。WisTalkの高い回答精度を実現しているAIは、パナソニックが30年以上の研究によって独自に開発した技術だ。単語網羅率99%以上を誇り、自動学習に使えば使うほどより賢くなる。

 WisTalkを開発したパナソニック ソリューションテクノロジーでは、2018年からサービスの提供を開始し、年間約2〜3回のバージョンアップを経て、機能を強化してきた。最新バージョンでは、Microsoft AzureのChatGPTエンジンを組み合わせて、生成AIによる自動回答も実現している。そして、パナソニックグループ内での大規模運用の知見を反映し、導入のしやすさやバックオフィス部門での使いやすさを追求している。

 その一例が、Excelを使ったQ&Aテンプレートの作成にある。なぜなら、社内問い合わせに対応するチャットボットの導入で、一番苦労するのが想定質問と回答の作成にあるからだ。どんなに高性能なチャットボット技術を採用したとしても、質問と回答が整備されていなければ、社員からの問い合わせには的確に対応できない。しかし、バックオフィス業務に精通していないITエンジニアがQ&Aを作成すると、実際の問い合わせに対応できない回答が返されてしまう懸念もある。そこで、Excelを使って質問と回答を作成できれば、総務や人事の担当者でも必要なデータを用意可能なのだ。

 WisTalkでは、業務の担当者が扱いやすいようにと、人事、総務、経理、法務、情シスなどの各部門に対応した300件のQ&Aテンプレートを用意している。また、有償になるがQ&A作成を代行するサービスもオプションで用意されている。

生成AIで新たな需要を創出

 パナソニック ソリューションテクノロジーが公開している情報によれば、農業協同組合が全国の支店からの人事関連の問い合わせ対応にWisTalkを導入したことで、年間で約1,900時間の効率化を実現している。また、社内ヘルプデスクにWisTalkを導入した製造業では、導入から4カ月で問い合わせの自己解決率を91.3%に改善し、1,207時間の業務時間を削減した。

 会社の規模によって、チャットボット導入の効果には差があるが、標準的なケースでは300名以上の社員数を抱える組織であれば、WisTalkによるバックオフィス業務の改善効果が期待できるという。働き方改革が促進されている現在にあって、昔のように全員が出社して業務を担うワークスタイルは減りつつある。バックオフィス業務もテレワークで対応する割合が増えてくると、総務や人事の担当者がいつも出社して電話に対応できるといった働き方をしているとは限らない。

 柔軟な働き方が広がれば、多くの社員が電話よりもメールやチャットを活用する時間が多くなる。そうした変化に対応するためには、働く時間や場所に制限を受けない問い合わせ対応も必要になってくる。そうしたさまざまなニーズにWisTalkは応えてくれる。

 WisTalkが対応できる問い合わせは、社内のバックオフィス業務に限らない。カタログなどのデータを登録して金融機関が金融商品の問い合わせに活用している事例もある。

 また、これまでは人事や総務といった部門が中心だったが、生成AIの活用により新たな需要も生まれている。その一例が、開発や品質管理などへの展開だ。開発や品質管理の担当者には、営業部門などから製品に対する問い合わせが寄せられる。セールスに直結する業務なので、迅速な対応は必須だが、質問への対応で業務は停滞する。こうした課題を解決するために、過去の製品データを基にWisTalkでQ&Aを作成する取り組みが進んでいる。生成AIを活用すれば、Excelを使わずにQ&Aを作成できるので、膨大な過去の開発データを問い合わせ対応に生かすことも可能だ。WisTalkでは、Microsoft AzureのChatGPTエンジンを採用しているので、生成に利用した社内データが漏えいするリスクは低い。チャットボット活用は、Q&Aデータの整備が課題と思われていたが、生成AIの登場により蓄積されたデータさえあれば、より短期間で精度の高いQ&A作成が可能になる。

問い合わせにかかる時間を節約

 標準的なWisTalk導入は、要件の聞き取りから無償トライアルなど4段階のステップに分かれている。ヒアリングからトライアルの準備を経て、本番までの期間は、最短で3週間になる。もっとも、一般的には1カ月の無償トライアルを利用するケースが多いので、準備期間を含めると、標準的には2カ月ほどの期間を要する。WisTalkはクラウドサービスなので、導入にかかる時間は、純粋に要件の整理とQ&Aデータの整備、そして本番に向けたトライアルでの調整作業のみとなる。その期間、パナソニック ソリューションテクノロジーでは専属スタッフが伴走するようにサポートしてくれるので、ITに精通していない業務担当者でも導入までの作業を遂行できる。

 さらにWisTalkの本格的な運用が軌道に乗ると、新たなメリットも得られる。その代表的なケースが「分析ダッシュボード」によるQ&Aのトレンド分析になる。管理者画面から、どのような問い合わせが多いのか分析すると、社員がどんなことに困っているかが一目で分かる。質問が多い項目に関しては、全社員への告知や啓発活動などにより周知を徹底するといった対策も講じられるようになる。その結果、問い合わせる側も回答する担当者も、互いの業務時間を節約できると同時に社員の満足度も向上する。

 WisTalkのようなAIチャットボットによる働き方改革は、社員の業務効率を改善するだけではなく、自分の仕事により集中できる時間を創り出し、結果としてその会社で働く社員の体験向上にもつながる。こうした観点から、改めてAI+チャットボットの効果を提案する意義は大きい。