フラッグシップイベント「Microsoft Build 2024」が開催
AzureのAIソリューションの最新動向をチェック

2024年5月21〜23日に、米国シアトル会場とオンラインのハイブリッド形式でマイクロソフトの年次フラッグシップイベント「Microsoft Build 2024」が開催されました。全世界で20万人以上の登録があり、シアトル会場の現地参加者4,000名のうち、日本からは133名のお客さま、パートナーさまが参加されました。イベントは活発な交流の場となり、大好評のうちに終了しました。今回は、Microsoft Build 2024で発表されたAzure 関連の最新動向を紹介します。

日本マイクロソフト
パートナー事業本部
コーポレートソリューション営業統括本部
チャャネルセールス営業本部
チャネルセールスマネージャー
大北崇人

進化し続けるAzure AIソリューション

 まずは、「Azure AI」の刷新について発表がありました。Azure AIはAI搭載アプリケーションを開発・展開するための最高の環境となっています。開発者がすでに使い慣れているツールを活用することで、より多くの選択肢、速度、規模、柔軟性、信頼性、安全性、セキュリティおよび効率性の向上を実現しているのです。

 現在、全世界で5万以上の組織がAzure AIを利用しています。このAzure AIの中で、OpenAIの新しいフラッグシップモデル「GPT-4o」の一般提供を開始することが発表されました。GPT-4oは、テキスト、視覚および音声機能を統合し、生成AIおよび対話型AIエクスペリエンスとしての新基準となりました。ベンチマークの測定でも、高い性能を実証しています(図1参照)。APIには、テキストと画像でのサポートが含まれており、音声でのサポートも近日提供予定です。

 イベントでは「Azure AI Studio」も紹介されました。Azure AI Studioは生成AIソリューションと独立したエージェントとして機能する新機能「カスタム コパイロット」を構築するための統合プラットフォームです。Azure AI Studioは、Copilotおよびアシスタントの開発、責任ある生成AIの開発をはじめ、エンタープライズチャット、コンテンツ生成、データ分析、プロジェクト管理、反復的なタスクの自動化など複雑なアプリケーションやタスクを支援します。

 開発者はAzure AI Studioを使用して最新のAIツールを探索したり、複数の相互運用するAPIとモデル、グラウンディングデータおよびメタプロンプトを調整したり、AIイノベーションのパフォーマンスと安全性をテストするなど、運用環境での継続的な監視を行いつつ大規模に展開できるようになります。

 また、最先端のオープンLLM(大規模言語モデル)およびマイクロソフト独自のSLM(小規模言語モデル)の選択肢が拡充され、ビジネスニーズに基づいて柔軟な選択が可能になりました。具体的には、「Phi-3-small」、「Phi-3-medium」および「Phi-3-vision」の一般提供を開始し、「Phi-3 モデル ファミリー」を拡張しました。Phi-3-visionによって、開発者はテキストに加え、画像を使用するなどマルチモーダル エクスペリエンスを実現できるようになりました。

常に刷新されるデータでAI運用を促進

 次にAIの時代のデータプラットフォーム「Microsoft Fabric」について説明します。Microsoft Fabricは、常に進化を続けるAI搭載データ分析プラットフォームによって、お客さまのデータ資産を簡素化するとともに持続的な運用を支援します(図2参照)。

 まずは、「リアルタイム インテリジェンス」という機能が刷新されました。ビッグデータ分析プラットフォーム「Synapse Real-Time Analytics」とデータ変更などのリアルタイム検出と監視のための機能「Data Activator」が強化および統合され、新しいリアルタイムインテリジェンスへと生まれ変わっています。

 このワークロードにより、データ担当者はより容易に大規模で時間的制約のある詳細なデータをプロアクティブかつタイムリーに統合および分析し、それに基づいて行動できるようになります。これにより、あらゆるユーザーがリアルタイムデータを使って作業をすることが可能となります。また、リアルタイムインテリジェンスには、Fabric内の各種ソースからのイベントを取り込み、処理し、ルーティングするための単一の場所である「リアルタイム ハブ」が含まれています。既存のReal-Time Analytics機能も引き続き一般提供されていますが、リアルタイム ハブおよびそのほかの、リアルタイム インテリジェンスに追加される新機能は現在プレビュー段階となっています。

 ISV向けの「Microsoft Fabric Workload Development」(プレビュー中)は、Microsoft Fabricフレームワーク内で既存のアプリケーションを拡張できるように支援します。「Azure Marketplace」でMicrosoft Fabric拡張性フレームワークがISVオファリングとして提供されるため、開発者はMicrosoft Fabric環境を離れることなく各自のソリューションに付加価値を追加できます。

 Microsoft Fabric は、統合ソリューションを必要とする企業向けに設計されたエンドツーエンドの分析およびデータプラットフォームです。これには、データ移動、処理、インジェスト、変換、リアルタイム イベント ルーティング、およびレポート作成が含まれます。
今回の発表により、各種機能が向上され、リアルタイムインテリジェンスやデータベースの効率的な操作をサポートし、Fabric 内の役割別のワークロードが組織内の全ての人がデータとインサイトを管理、解釈し、行動することで、ビジネス上の意思決定をさらに迅速かつ適切に行えるようになります。

 今回は、Microsoft Build 2024のまとめを紹介しました。Microsoft Buildに関するより詳細な情報については、下記のQRコード先のWebサイトに掲載されているので、併せてご確認ください。

▲Microsoft Build公式サイトでのセッション動画はこちら!
▲AIサービスガイドとして活用できるMicrosoft Build発表内容(Book of News)はこちら!

text:日本マイクロソフト 大北崇人 氏