2024年11月19〜22日の間、マイクロソフトのイベント「Microsoft Ignite 2024」(以下、Microsoft Ignite)が米シカゴで開催されました。今回のAzure 業務改善ファイルでは、Microsoft Igniteで紹介された新たなAIの世界観や進化したAzureのAI機能を振り返ります。
日本マイクロソフト
パートナー事業本部
コーポレートソリューション統括本部
パートナーソリューション本部
パートナーソリューションマネージャー
大北崇人 氏
AIエージェントと相互連携する世界
今回の「Microsoft Ignite」は20万人以上の登録があり、シカゴでの対面イベントには1万4,000人以上にご参加いただきました。
イベントではまず、"Building an agentic world"という世界観を発表しました。仕事や生活、チーム、ビジネスプロセス、組織を超えて、私たちに代わって行動するAIエージェントの相互連携によって定義される豊かなエージェントの世界を構築できる。それが“Agentic World”の概念となります。AIエージェントが個人、組織、ビジネスプロセス、そして異なる組織や部門間で連携するエージェントとして機能する世界を指し、既存のデジタルシステムインフラストラクチャの上に重ねられ、ユーザーの生活や仕事で重要な役割を果たすという内容です。
次に、三つのテーマに分けて「Microsoft 365 Copilot」(以下、Copilot)に関する発表がありました。一つ目は仕事のためのAIアシスタントであるCopilotです。米国の経済誌である「FORTUNE」が発表している世界企業番付・大企業ランキング「Global 500」によると、ランクインした企業の70%近くがCopilotを利用しているとのことです。二つ目は、Windows 365に数秒で安全に接続するように設計されたクラウドPCソリューション「Copilot devices」です。三つ目は「Copilot&AI stack」です。スタックの各レイヤーで高度なテクノロジーを活用することで、ユーザーがより野心的なアプリケーションを構築可能となります。
AzureのAIサービスや機能活用をサポート
お客さまがAIアプリケーションとエージェントを設計、カスタマイズ、管理できる統一されたエクスペリエンスを実現するプラットフォームとして「Azure AI Foundry」も新たに提供されます。Azure AI Foundryを導入することで、お客さまは既存の全てのAzure AI サービスとツールに加えて、新機能にアクセスできます。上記三つのイノベーションをそれぞれ支えているのは、セキュリティに対する当社の取り組みです。1年前にサイバーセキュリティへの新たな取り組み「Secure Future Initiative」(SFI)を開始して以来、マイクロソフトではセキュリティを全従業員にとってナンバーワンの仕事に据え、3万4,000人のエンジニアがこの取り組みに専念してきました。Microsoft Igniteでは、SFIの原則である「設計によるセキュリティ保護」「既定でセキュリティ保護」「運用のセキュリティ」に根ざしたイノベーションを発表しました。
今回は、この三つのテーマのうちCopilot&AI stackに含まれ、CopilotとAIアプリケーションを作る際に活用できる、Azure AI Foundryについて取り上げます。
OSSの言語モデルに素早くアクセス
新世代のアプリケーションが登場するたびに、ニーズも変化しています。Web、モバイル、クラウドが新しいアプリ・プラットフォームをもたらしたように、AIは今日のアプリケーションの設計、カスタマイズ、管理方法を変えつつあります。そうした中で、AIワークロードを簡素化およびスケーリングが行えるようになる機能群が、Azure AI Foundryです。Azure AI Foundryを使用すると、組織は次世代のAIアプリケーションとエージェントを大規模に設計、カスタマイズ、管理することが可能です。
また、Azure AI Foundryから1,800以上のOSS(ソースコードを無償で公開し、利用や改変、再配布が許可されているソフトウェア)のモデルに素早くアクセスを行える「Model Catalog」の機能を提供します。Azure AIモデル、ツール、安全性、監視ソリューションを統合して、AIアプリケーションを効率的かつコスト効率良く設計およびスケーリングできます。今回、日本の企業さまのOSSもこちらのModel Catalogに掲載されることとなりました。そのため、日本語に特化した言語モデルもAzure AI Foundryからよりシームレスに使えるようになります。
そして、「Azure AI Agent Service」にも新しい機能が追加されました。Azure AI Agent Serviceは、開発者がさまざまなビジネスプロセスを自動化するために、AIを活用したエンタープライズエージェントを構築、デプロイ、スケーリングするのに役立つエージェントサービスです。世界中で人気のある開発ツールであるGitHubやVisual Studioに加え、マイクロソフトの新たな開発ツール「Copilot Studio」が組み込まれています。そのほか、データ分析が行える「Microsoft Fabric」、ファイルや情報の共有が可能な「Microsoft SharePoint」、AIを搭載したサーチエンジン「Microsoft Bing」といったデータソース、ローコード・ノーコード開発サービス「Azure Logic Apps」の1,400を超えるアクションコネクタなどと連携します。これにより、Azure AI Agent Serviceは、AIエージェントとマイクロサービスを組み合わせた構築方法を簡素化できます。
いかがでしたでしょうか。今回はAzure AI Foundryなどの発表内容について紹介しました。Azure AI Foundry以外の新たなAzureソリューションは、下記のQRコードより参照可能です。是非チェックしてみてください。
text:日本マイクロソフト 大北崇人 氏