社員の健康意識を高める
洗練されたスマートウォッチ

wena 3

ソニーの「wena 3」は、数あるスマートウォッチの中でも、ユニークな設計でほかとは違う魅力を放っている。多くのスマートウォッチが、腕時計のヘッド部分にその機能を集約させているのに対し、wena 3は腕時計のバックルにあたる部分に機能を集約した。それにより、ほかのスマートウォッチにはない魅力と可能性を秘めている。テレワークの普及で巣ごもり生活が続く中にあって、健康管理から外出時のスマートな決済や通知を可能にするwena 3は、個人での利用だけではなく、ビジネスでの活用も期待できるガジェットだ。
text by 森村恵一

優れたデザインのwena 3

個人的には腕時計は好きだが、スマートウォッチは愛用していない。そもそも、1台も所有していない。その最大の理由はデザインにある。かの有名な四角いスマートウォッチは、どうしても腕に巻く気がしない。しかし、ソニーが発売した「wena」シリーズの3世代目となる「wena 3」は存在を主張しない優れたデザインだ。スマートウォッチ機能を集約したバックル部分に組み合わせられるバンドには、ラバーとレザーとメタルの3種類が用意されていて、それぞれ好きなヘッドを取り付けられる。特にメタルバンドでは、18mmから24mmまでのラグ幅に対応している。ソニーによれば約75%の時計ヘッドに対応できるという。工夫次第で、ロレックスやカルティエのようなブランド時計も、wena 3でスマートウォッチ化できるということだ。これまで、腕時計が好き過ぎてスマートウォッチを使わなかった人も、wena 3ならばお気に入りの腕時計でスマートウォッチの便利さを実現できるようになる。

スマートウォッチの3大機能をカバー

スマートウォッチとしてwena 3にできることは、大きく三つある。一つは、Suicaなどの電子マネーの利用だ。財布やスマートフォンを取り出さなくても、バックル部分をかざして手早く決済できる。二つ目は、着信やメール、LINEなどの通知だ。これも、カバンの中のスマートフォンをいちいち取り出さなくても、手元で手早くチェックできるようになる。三つ目は、活動ログ機能。wena 3には加速度センサーとデュアル光学式心拍センサーが搭載されているので、日々の活動を自動で記録してスマートフォンの専用アプリ「wena 3」で管理できる。記録できる活動ログは、歩数に心拍数と睡眠状態、VO2Max(最大酸素摂取量)、ストレスと回復値など。在宅勤務が進む中にあって、一日の活動内容を記録できるスマートウォッチは、これからも需要が増していく。これまでは、スポーツなどの運動量を測る目的で使う人が多かったが、これからは日常的な健康状態のチェックにも、スマートウォッチの需要は広がっていく。それは、個人で気を付けるだけではなく、社員の健康に配慮する経営者にとっても、大切な心掛けと言える。どちらかといえば、個人のガジェットとして捉えられがちなスマートウォッチだが、コロナ禍の中にあっては、社員の健康意識を高めるための商材としても提案できるだろう。

MAMORIOではスマートフォンの地図上にwena 3の位置を表示できる。
Suicaのチャージや利用履歴の確認はwena 3のスマートフォンアプリから可能。
Amazon Alexaも搭載しているので、話しかければ簡易計算や天気などの情報をモニターに表示できる。

アプリで広がる業務活用

前述した3大用途に加えて、wena 3ではスマートロック「Qrio Lock」(キュリオロック)と、紛失防止機能「MAMORIO Inside」(マモリオインサイド)に対応し、鍵としての利用や紛失時の所在地も確認できる。

 日本では、法整備の問題もあり、医療や介護などの用途にスマートウォッチを導入する動きは進んでいない。しかし、個人の活動ログを取得できるセンサーデバイスには、「健康長寿社会」の実現に向けた未病(ME-BYO)ビジネスにつながる大きな可能性がある。そうした意味でも、wena 3のようなスマートウォッチを使ってみるのも、ビジネスの可能性を探る取り組みとなる。

 いかにも「しています」という主張がないwena 3のデザイン性は、これからのスマートウォッチの在り方を示すものとなるだろう。個人的には、フィットネストラッカーとして使うのであれば、ラバーが適していると思うが、個人のファッションセンスに合わせて、それぞれのバンドの特性を生かした組み合わせを楽しむのも、新しいスマートウォッチのライフスタイルになっていくだろう。