新社会人に贈るSNSマナー講座 - 第1回
会社をクビに!? 社会人になったら知っておきたいSNSマナーとは?
文/高橋暁子
たとえプライベート利用だとしても、SNSでの言動は自社のイメージを左右してしまうのです(写真はイメージ)
ここ数年の間に社会人となった皆さんは、新人研修の際に「SNSの使い方に気を付けること。学生時代と同じと思っていてはダメだ」などと注意された覚えが多少なりともあるのでは。しかし、“なぜ?”にまで踏み込んで指導を受けた人は案外少ないと思います。では、どのような点に注意してSNSを使えばよいのでしょうか。
これからしばらく、新社会人の皆さんが見落としやすいSNS回りでのマナーについて、お話していきたいと思います。決して難しい話ではありませんので、肩の力を抜いてお付き合いください。
アナタのSNSでの行動が自社に影響を与えてしまう
人によってはサークルやゼミの連絡ツールとして入学当初から、遅い人でも就職活動を始めるあたりにはアカウントを持つことになるFacebook。その特徴として実名かつ(たいていは)顔写真を登録して利用するため、それらの情報から所属が容易に推測できます。たとえプライベートで利用していても、周囲からは「A社の社員」として見られ、投稿は「A社社員の発言」として判断されてしまいます。
それはTwitterやInstagramなど匿名サービスを利用していても同様です。問題ある投稿を繰り返していた場合は、個人が特定されて炎上、会社に問い合わせが殺到し……という事例は枚挙に暇がありません。数年前、栄養士専門学校の関係者がTwitterで食品の衛生を軽んじる投稿をしたため、学校の信頼を損ねるとして退学処分になりました。これは学校側が“この関係者の言動は自社のイメージダウンにつながったり、損害を与える”と判断したからに他なりません。
自分にその気はなくても、第三者はアナタの所属組織を重ね合わせてしまう。社会人になったらプロフィール欄へのひと言(ディスクレーマー)は必ず付け足しておきたい。
勤務時間内にSNSを利用して退職も
ソーシャルメディアに対するスタンスは、会社によって異なります。IT企業等、SNSを使った発信に積極的だったり、情報を取得することを目的とした業務時間内利用が許されている会社もあります。一方で大半の会社は、ウイルス感染や顧客情報流出などセキュリティ上の観点から、会社支給のパソコンやスマホなどでSNSにアクセスすることを禁じています。
セキュリティが厳しい企業の場合は、社員のSNS利用自体がご法度だったり、プライベート端末も含め勤務中のSNS利用を禁じている場合もあります。ある知り合いは、勤務中にSNSを利用していたことが会社に知られてしまい、上司に叱責された上、最終的には退職を選ぶ羽目になってしまいました。会社の就業規則は必ず確認しておいてください。
会社によっては“ソーシャルメディアポリシー”が用意されていることがあります。また、各業界ならではの“投稿してはいけない(話題にすべきでない)事項リスト”が存在することもあるので、こちらも必ず確認しておきましょう。
投稿前に必ず確認! 写真にはアナタの想像以上に情報が詰まっています
先輩社員から、「仕事のことについては何も書けないから、いつの間にかSNSへの投稿が減ってしまった」というような話を耳にしたことはないでしょうか。社会人になると、守秘義務などが生じて投稿できないこと(ときには自分の居場所すら!)が増えてきます。積極的にSNSを使って宣伝することが業務内容として決められている場合を除き、仕事に関する投稿には気を付けましょう。
また、SNSで意見を述べた場合、アナタが所属する“A社の意見・考え”として捉えられてしまうことがあります。各SNSのプロフィール欄に、「投稿内容は個人的な意見であり、A社の意見ではありません」などと断り書きをしておくと安心かもしれません(それでも昨今は炎上するのですが……)。
そしてこれはテキストに留まりません。放送局内の風景を関連会社スタッフがSNSに投稿したところ、発表前の情報が写り込んでおり大問題に……という事例もあります。何気なく撮った写真にも、場所によっては多くの情報が含まれているため、扱いには十分気を付けてください。なかでも上場会社は株価に影響が出る可能性さえあります。特に正式発表前の漏えいは自社に大ダメージを与えてしまいます。
筆者プロフィール:高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。主な著作として『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎エデュケーション新書)、『ソーシャルメディアを武器にするための10カ条』(マイナビ新書)など多数。
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