ケイパビリティ

ケイパビリティ(capability)は、能力、才能、性能、可能性といった意味を持つ。ビジネスにおけるケイパビリティは企業の競争力を高める組織的な能力や強みを指す。具体的には、高い品質や迅速なスピードなど、他社よりも優位に立てる能力のこと。1992年、ボストン・コンサルティング・グループのジョージ・ストークス、フィリップ・エバンス、ローレンス・シュルマンによって提唱された概念で、経営戦略を構成する上で重要とされている。

製品そのものやマーケティング施策は目に見えやすく、他社から真似される懸念がある。ケイパビリティは外部からは見えにくいため、模倣は困難だ。例えば、他社がバリューチェーンをプロセス上で遂行する「組織力」を得ようとすれば、時間やコストが膨大にかかる。ケイパビリティをいったん構築すれば、競合する市場において長期的に優位性を発揮でき、企業にとって経営安定の骨格となる。

類似語に企業の中核(Core)となる技術・能力を意味する「コアコンピタンス」がある。「組織力」のケイパビリティと「技術力」のコアコンピタンスは、相互補完的な関係性といえる。

現在、加速するデジタル化やコロナ禍の影響など、ビジネスを取り巻く環境は急激に変化している。企業を安定的・長期的に存続させるためには、ケイパビリティにおける「企業としての組織力」の強化が重要視される。激変する時代に合わせて、アップデートすることも必要不可欠だ。最適なケイパビリティにアップデートする力を、「ダイナミック・ケイパビリティ」という。
(青木逸美)

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