Officeが使える手頃なサブマシン

テーマ:Chromebookを仕事のモバイルに

最近Chromebookへ注目が集まっている。GIGAスクール構想で児童生徒1人につき1台配布されるデバイスとして選ばれるケースが多い。また、Googleは盛んにテレビコマーシャルを行っているし、大手家電量販店では店頭に専用のコーナーを設けているケースもある。今回は注目のChromebookを仕事のモバイルに使うメリットを紹介していく。

使いやすさが魅力

日本エイサー
「Acer Chromebook Spin 713」

 最初に結論から申し上げるなら、Windows PCとChromebookを比べるなら、間違いなくPCに軍配が上がる。仕事のモバイル端末として使うなら、PCを利用した方が絶対にいい。

 ただし、それだけでは割り切れないポイントもあるのだ。まず、価格の違いだ。Windowsのモバイルノートで、お薦めのモデルとなると、最低でも10万円程度はする。予算が許すなら、20万円以上の製品が使いやすい。ところが、Chromebookなら、低スペックでもある程度快適には使える。

 3万円程度の製品でもなんとか使えるはずだ。5~7万円も出せばそれなりに快適に使える製品が手に入る。PCでは、かなり厳しい価格帯でも十分実用的なのだ。

 これが、最大のメリットだ。会社や個人の予算が限られるが、出先で使うPCが必要な場合には、良い選択といえる。長時間使うなら多少高価でもPCがいい。だが、出先で短時間だけ使うならChromebookの方が価格が見合うだろう。

 もう一つ見逃せないのが簡単に使えることだ。Chromebookは、Googleのアカウントがあればすぐにログインして使い始められる。GmailやGoogleカレンダーなどの設定も引き継がれるので、ログインするだけですぐに使えるのだ。

 ChromebookはWindowsとはOSが異なるものの、基本的な作法はほとんど同じだ。つまり、Windowsユーザーなら、特別な学習をしなくても、迷わず使い始められる。一部不明なことがあっても、使い方を検索すればすぐ理解できるだろう。

 Chromebookでは、Microsoft Officeも利用できる。とはいえ、機能は限られており、VBAなどは利用できない。集計表を作り計算する程度の使い方なら問題ないはずだ。仕事によってその割合は異なるが、営業職などならほぼ不満なく利用できそうだ。

 PowerPointも利用可能で、普通の感覚でプレゼンテーションもできる。アニメーションも動くので、打ち合わせや商談でも満足に使えるに違いない。

 また、Google スプレッドシートやGoogle スライドなど、Google系のアプリを使う手もある。これらのアプリも、Microsoft Officeのファイルを直接扱えるので、なかなか重宝する。もちろん、こちらもファイルをクラウドに置くのが基本なので、ログインするだけで使えるようになる。

 確かにWindowsとは違い、機能やアプリは限られるが、妥協しながら利用すれば「使わないより数段いい」わけだ。

スタートメニューはPCに似ているので迷わず使えるだろう。
Excelもある程度は使えるので、営業職などなら十分だろう。
PowerPointのプレゼンも実施できる。

タッチ対応モデルがお薦め

 最近のChromebookは、Androidのアプリが使えるように進化している。たくさんのアプリが一気に使えるようになり、その利便性が大きく増した。

 仕事系のアプリはマウスだけでも利用可能なものが多いが、使い勝手はタッチ操作にはかなわない。そもそも、Androidのアプリがタッチ前提で設計されているのだから当然だ。

 そこで、これからChromebookを買うなら、2in1タイプのタッチ対応モデルをお薦めする。回転式と脱着式どちらでも構わない。自分が使いやすい方を選べばいいだろう。Chromebookは、ブラウザーアプリを使うためのデバイスだったのだが、Androidのアプリが動作するようになったことで、一気に使い道が広がっている。

 最新のChromebookは、スマホとの連携が素晴らしく機能アップしている。Androidスマホをリンクし、Bluetoothで接続することで、スマホの通知をChromebookでチェックできる。テザリングも簡単に利用でき、万一スマホが見当たらない場合には、Chromebookからアラートも鳴らせる。

 余談だが、MacとiPhoneが連携し、ChromebookはAndroidスマホと連携している。Windowsだけが蚊帳の外といった印象だが、一部サムスンのスマホが連携し始めたので、今後の展開をチェックしておきたい。

 最近は、Chromebookでも、Core i7を搭載するような高性能モデルが登場している。当然ながらレスポンスよく利用でき、ビデオや写真の編集にも向いている。だが、10万円以上出すとなると、PCも高性能な製品が手に入るので、判断は微妙なところだ。

Androidのアプリが多数インストールできるようになった。Androidのアプリを利用する際には、タッチ操作ができると便利だ。
会社のWindowsを出先のChromebookから使うことも可能だ。

リモートアクセスが便利だ

 Chromebookは、リモートアクセスにも向く。会社のメインマシンのWindowsを、出先からChromebookでリモートで利用できるのだ。Googleが提供している「Chrome リモートデスクトップ」を利用するのが最も簡単で確実だろう。

 Windows PCには、WebブラウザーのChromeをインストールして、専用のWebページにアクセスして利用する。こちらもとても簡単なので、ぜひ試して欲しい。こんな使い方なら、手ごろな価格のChromebookで十分というわけだ。

 なお、企業ではWindowsをサーバー上において利用する使い方も増えていくだろう。つまり、利用するWindowsはサーバーにあり、手元のPCやChromebookでアクセスして利用するわけだ。AWSの「Amazon WorkSpaces」などいくつかのサービスがすでに登場し、利用されている。

 今後も、仕事の核になるのは、PCから変わることはないだろう。だが、スマホやChromebook、iPadなどを組み合わせることで、より手軽で効率的な仕事ができる時代になっているのだ。

Profile
Toda Satoru
1963年生まれのビジネス書作家。株式会社アバンギャルド/戸田覚事務所代表取締役。著書累計100冊以上。企画やプレゼンに関する著書も多数。連載もついに40本を超えてさらに活躍中。