社会人なら知っておきたいSNSトレンド - 第9回

Facebook活用のコツとNGな使い方――「エッジランク」の維持・上昇が重要



自社商品に限らず「いいね!」してもらえる情報全般を紹介すべし

実例を交えながらSNSごとの使い方のコツやNGな使い方をご紹介するこの連載。三回目はFacebookにおける企業アカウントの成功事例です。

文/高橋暁子


大人世代にリーチしたい場合にお勧め

 Facebookの月間アクティブユーザー数は、2016年7月時点でなんと17.1億人に上る。名実ともに世界一のシェアを誇るSNSなのだ。なお日本でも、2016年9月時点で2600万人に上るなど、高い人気を誇っている。日本では、20代、30代以上の男女に人気が高いため、大人世代にリーチしたい場合にお勧めだ。

 Facebookページやインサイト(解析機能)が無料で利用でき、興味があるユーザーは直接Facebookページに「いいね!」してくれるので、企業としては使いやすいサービスだ。実名制SNSなので、信頼できる人間関係におけるコミュニケーションが期待できる。「いいね」やコメントなどの状況がユーザーの友人にも表示されるので、拡散力も期待できる。

 20~30代以上の大人が多いので、口語が推奨されるTwitterとは異なり、誰からも好まれる丁寧な文章を心がけるといいだろう。なお、Facebookでは写真が大きく表示されるので、写真を投稿することは大切だ。写真の有無でユーザーからの反応率が大きく変わってくる。また、実店舗の場合は「チェックイン」(現在の居場所をFacebookで告知する機能)できるようにすると、そのユーザーの友達にも表示されるので宣伝効果が高くなる。

 世界中にユーザーがいるため、Facebookページを英文などでも用意すると広範囲にリーチできるだろう。特に海外に可能性があるビジネスの場合は、ぜひ用意しておきたい。

Facebookページへの「いいね!」が情報拡散のキーになる。

「エッジランク」の維持・上昇を忘れずに

 Facebookならではの特徴としては、「エッジランク」が挙げられる。実はFacebookでは、すべての投稿がユーザーに表示されるわけではない。投稿を表示するか否かを決めているアルゴリズムが「エッジランク」というものだ。

 エッジランクは、投稿者と閲覧者とのFacebook内での関係性、投稿に対する「いいね」やコメントなどのリアクションの多さ、投稿の新しさなどで決まっている。これは、個人対個人だけでなく、Facebookページ対ユーザーでも適用される。

 つまり、Facebook内でメッセージ、「いいね」やコメント、シェア、プロフィールページを見るなどの交流があるユーザー・Facebookページの投稿は優先的に表示される仕組みなのだ。投稿単体に多くの「いいね」やコメントなどリアクションを集めることができれば、その投稿も表示されやすくなる。

 このエッジランクを高めればユーザーに投稿が表示されやすくなるので、普段から「いいね」やコメント、シェアなどを集めるような投稿を心がけることが大切というわけだ。なお、エッジランクは放っておくとどんどん下がるので、定期的、できれば一日一度程度良いリアクションが期待できる投稿をするよう意識したい。

ターゲットが求める情報を提供しよう

 ドレス販売ECサイト「PromGirl」は、Facebookを使って売上を数倍以上に伸ばしたという。Prom(プロム)とは米国やカナダの高校で学年最後に開かれるフォーマルなダンスパーティのこと。「PromGirl」では、そのプロムに着て行くためのドレスや靴などを販売している。

 「PromGirl」のFacebookページでは、自社で販売しているドレスやそのコーディネートだけではなく、自社で販売していないものについても多数紹介している。たとえばネイルアート、靴、スイーツ、コスメやヘアメイクなどだ。同社のターゲットは高校生の女の子。つまり、高校生の女の子たちが好むものを積極的に紹介することによって反応率を高め、それによってエッジランクを上げて、肝心な「自社で販売している商品紹介の投稿」を表示されやすくしているのだ。

自社で扱っている商品以外でも、ターゲットが求める情報であれば積極的に紹介しよう。それが結果的にエッジランクの上昇、ひいては拡散力につながる。

 また、北欧雑貨や食器などを扱うECサイト「北欧、暮らしの道具店」も、Facebookページをうまく活用している。パソコン時代には広告宣伝費をかけずに売上を上げたいとメディア化を図っていたが、最近はスマートフォン時代への対応として自社の存在感をSNSで増すことで売上を伸ばし続けているそうだ。

 FacebookページやInstagramには美しい写真が並ぶが、同社は編集者やカメラマンなどクリエイティブ職の経験がない社員がほとんどだという。機材は良いものを揃える一方、写真はすべて自然光で撮るようにしているそうだ。自然光には素人が撮っても美しく見える効果がある。ちょっとした工夫で見映えの良い写真を揃えることができるのだ。

 Facebookの特徴を知ることで、反応率を高め、販売促進や認知度促進などにつなげることができる。ぜひ参考にしていただきたい。

Facebookでも写真は大きな役割を果たす。

筆者プロフィール:高橋暁子

 ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。主な著作として『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎エデュケーション新書)、『ソーシャルメディアを武器にするための10カ条』(マイナビ新書)など多数。

公式サイト「高橋暁子のソーシャルメディア教室