ジャイアン鈴木の「仕事が捗るガジェット」 - 第33回
親指入力で立ったまま文書作成できるWindows 10 Pro搭載超小型PC
GPD「GPD MicroPC」 実売価格5万円前後
仕事のための移動手段として電車を利用している方は多いことでしょう。しかし、移動時間に書類作成を少しでも進めたい、プレゼン資料を確認・修正したいと考えたときに、必ずしも座席で作業できるとは限りません。今回は電車内でも立ったまま、親指入力で作業ができる超小型PC「GPD MicroPC」をレビューします!
文/ジャイアン鈴木
現時点で最小クラスのウルトラモバイルPC
GPD MicroPCは6インチディスプレイ(1280×720ドット)を搭載した、現在新品で入手可能な最小クラスの「ウルトラモバイルPC(UMPC)」です。OSは「Windows 10 Pro 64bit」、CPUは「Intel Celeron N4100 Processor」(4コア4スレッド、1.10GHz/最大2.40GHz)を採用。メモリーは8GB、ストレージは128GBのSSD(Serial ATA接続)が搭載されています。
CPUの処理性能は、けっしていいとは言えません。CPUベンチマーク「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアは237 cb。これは最新の薄型ノートPCの半分以下のスコアです。しかし実際に使ってみると、意外とキビキビと動作します。それは8GBと必要十分な容量のメモリーと、比較的高速なSerial ATA接続の128GB SSDを搭載しているからでしょう。ウェブブラウジングや動画鑑賞、オフィスアプリなどを利用するには実用的なパフォーマンスを備えています。
産業用機器の接続にも対応する豊富なインターフェースを装備
本製品のサイズは153×113×23.5mm、重量は440g。設計容量23,560mWhのバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間は6~8時間とされています。
本製品の売りのひとつが小型ボディーに凝縮搭載された豊富なインターフェース。ネットワークエンジニアをターゲットにしたGPD MicroPCには、USB 3.0 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×3、HDMI、RS-232、microSDXC対応メモリーカードリーダー、ヘッドセット端子、ギガビットLANが搭載されています。SDメモリーカードを利用するとき以外は、メモリーカードリーダーやUSBハブを用意する必要はない充実ぶりです。
タッチタイピングは現実的ではない極小キーボード
さて、ここで注意喚起しておきたいのですが、GPD MicroPCは文字を高速に入力するのに適したUMPCではありません。「F」キーと「J」キーにホームポジションを示す突起はありますが、キーピッチは実測で10mm前後。タッチタイピングは現実的ではありません。このため、本製品のキーボードは、テーブルに置いて両人差し指で入力するか、両脇から持って親指入力するためのものと割り切りましょう。
またキーの配置も特殊です。それは右奥にタッチパッドを搭載しているため。左上にクリックボタン、右上にタッチパッドという配置からも、両脇から持って親指で操作するためのデザインと言えます。
GPD MicroPCだけで完結する「どこでもPC環境」がノマドワークに最適!
親指操作を前提にしたGPD MicroPCですが、場所を選ばず立ったままPCで作業するには最適な端末です。それでいて一般的な用途であれば十分なパフォーマンスと、HDMIを含む豊富なインターフェースを備えているので、持ち運べるメインPC的な使い方もできるのが魅力です。
ワイヤレスキーボードとマウスをペアリングしておけば、電源を供給するUSB Type-Cケーブルと、ディスプレイと接続するHDMIケーブルを挿すだけで、デスクトップPC的な操作環境に早変わり。外出先でやっていた作業の続きを、快適な環境でじっくり取り組めます。
もちろん写真や動画を編集するようなクリエイティブな作業には荷が重いです。しかし、オンラインストレージなどを使わずにGPD MicroPCだけで完結する「どこでもPC環境」は、さまざまな場所で仕事をするノマドワーカーにとって想像以上にラクチンですよ!
筆者プロフィール:ジャイアン鈴木
EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。