ジャイアン鈴木の「仕事が捗るガジェット」 - 第34回
強力なノイキャン機能でコワーキングスペースに欠かせない完全ワイヤレスイヤホン
ソニー「WF-1000XM3」実売価格2万5000円前後
いまの時代、パーティションで区切られた個室スペースで1日中仕事している人は少数派。共有スペース、コワーキングスペース、喫茶店、電車内などさまざまな場所で長時間作業している方が多いはず。そんな喧騒のなかで必須のアイテムがノイズキャンセリング対応イヤホンです。今回は音質にも定評のあるソニーの「WF-1000XM3」をレビューします。
文/ジャイアン鈴木
快適な装着感が魅力の完全ワイヤレスイヤホン
WF-1000XM3は、左右イヤホンが独立したいわゆる「完全ワイヤレスイヤホン」。このカテゴリーの製品にはケーブルが存在していないので、ケーブルが首に触れるなどの煩わしさがないことから、すっかりワイヤレスイヤホンの定番となりました。
完全ワイヤレスイヤホンは2000円台で購入できる製品もありますが、ノイズキャンセリング機能を搭載しているモデルは少数派。執筆時点(11月21日時点)では、ソニーのWF-1000XM3、「WF-1000X」、「WF-SP700N」、アップルの「AirPods Pro」、ファーウェイの「HUAWEI FreeBuds 3」など選択肢は非常に少ないです。
3代目で熟成された強力なノイズキャンセリング機能
WF-1000XM3はノイズキャンセリング対応完全ワイヤレスイヤホンの3代目ということで、その効きがかなり強力です。WF-1000XM3にはソニー独自開発の「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1e」と、フォードフォワードマイクとフィードバックマイクの2つのセンサーを組み合わせた「デュアルノイズセンサーテクノロジー」が採用されており、低中高音の幅広い帯域のノイズを大幅に低減してくれます。
喫茶店などでの話し声は聞こえますが、集中を妨げない程度に低減可能
とは言っても完全な静寂がもたらされるわけではありません。たとえば筆者の仕事場であればエアコンやデスクトップPCの冷却ファンの音はほぼ完全に打ち消してくれますが、キーボードのタイピング音はそれなりに聞こえます。
ただ、装着しているのとしていないのとでは大違い。これも個人的な感覚ですが、WF-1000XM3でノイズキャンセリング機能を有効にしていれば、喫茶店などで普通に話している方の声であれば聞こえはしますが、集中を妨げない程度に低減してくれます。よっぽど大きな声で白熱した議論が始まったとしても、低めの音量でクラシック音楽などを再生すれば気になりません。最近では、声が大きそうなグループだなーと思った瞬間に、予防的にWF-1000XM3を装着しているぐらいです。
ソニー製対応イヤホンには、各種設定を行なうためのiOS、Android用アプリ「Headphones Connect」が用意されています
状況に応じてノイズキャンセリングと外音取り込みを自動切り替え
ノイズキャンセリング機能が強力だと、周囲の人の気配に気づきにくい「歩きノイキャン」に不安を感じるかもしれません。しかし、WF-1000XM3には装着者の状況に応じて自動的にノイズキャンセリングモードとアンビエントサウンド(外音取り込み)モードを切り替える「アダプティブサウンドコントロール」機能が搭載されています。
たとえば電車車内でノイズキャンセリング機能を有効にしてPC作業をしていても、席を立ってホームに歩き出せば外音取り込みモードに切り替わります。ユーザーの安全のために、この自動切り替え機能はすべてのノイズキャンセリングイヤホンに搭載されてほしいですね。
ケースはちょっと大きすぎ、でも装着感はソニーならでは
実は筆者はWF-1000XM3とAirPods Proの両方を持っていますが、基本的にはWF-1000XM3をメインで使っています。音質とかノイズキャンセリングのよしあし以前に、私の耳にはWF-1000XM3のほうが合ったんですね。理由は単純でWF-1000XM3の「ハイブリッドイヤーピースロング」のほうが長くて、しっかりと耳にはまるんです。
ハンズフリーで「Hey Siri」が使える機能性や、長時間装着したときの疲労感の少なさはAirPods Proのほうが優れていると感じていますが、イヤーピースというパーツは長年イヤホンを作り続けてきたソニーのほうが上だと思います。
さまざまな場所で仕事するノマドワーカーにとって、いかに集中力を維持するかは最重要課題です。「多少の話し声なんて気にならないよ」という方にこそ、ご自身の能力を最大限に発揮するためにもWF-1000XM3などのノイズキャンセリングイヤホンをぜひお試しください。
筆者プロフィール:ジャイアン鈴木
EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。