ジャイアン鈴木の「仕事が捗るガジェット」 - 第50回

マスクをしていても自動追尾してくれるWebカメラ「TC-MSC200」


アイ・オー・データ機器「TC-MSC200」直販価格2万3980円

ビデオ会議の機会がどんどん増えていますが、動き回りながら話したり、複数人で参加したいと考えたことはないでしょうか? 今回ご紹介するWebカメラは「AI顔追尾機能」を搭載。まるで専属カメラマンが撮ってくれているかのように、自動で最適にフレーミングしてくれるワンランク上のWebカメラなんです。

文/ジャイアン鈴木


本製品自体に顔認識機能と、デジタルズーム、パン・チルト機能が搭載

「TC-MSC200」は、AI顔追尾機能を搭載したWebカメラ。本製品自体に顔認識機能と、デジタルズーム、パン・チルト機能が搭載されており、室内で移動するとカメラが自動で追尾し、途中で人が増減すると全員が収まるように自動でフレームを調整してくれます。Webカメラとしてはちょいとお高めですが、オフィス用にピッタリな製品です。

内容物は、本体、USB変換アダプター(Cオス-Aメス)、説明書とシンプルな構成

イメージセンサーは360万画素CMOS、最大解像度は2560×1440ドット、撮影距離は50cm~∞、F値はF2.2、最大フレームレートは30fps、画角は水平視野角約81度/垂直視野角約52度/対角視野角約89度、フォーカスは固定。つまり広い画角、高解像度の映像を、顔認識しつつ、切り出しているわけですね。

スピーカーはフルレンジ×1、マイクは無指向性マイク×4を搭載。音声処理機能としては、エコーキャンセラー、ノイズリダクション、オートゲインコントロールに対応しています。

本体サイズは約230×60×56mm、重量は約390g(本体のみ)。約1.8mのUSBケーブルが直付けされており、USB2.0以降の端子に接続可能。もちろんUSBバスパワーで駆動します。なお本体底部にスタンドが装備されていますが、1/4インチの三脚穴が設けられており三脚に備え付けることも可能です。

サイズは約230×60×56mmと少し大きめ。前面中央にカメラ、前面左側と天面左側に無指向性マイクが合計4つ内蔵されています

本体天面(上)の右側にはフルレンジスピーカー、本体底面(下)には三脚穴付きのスタンドが用意されています

奥行きは約60mmありますが、ノートPCのディスプレイにも取り付けられるのでご安心ください

Windows、macOS、Chrome OSに対応

セットアップはUSBケーブルをPCに接続するだけ。ドライバーをインストールする必要はなく、Windows環境ならデバイスマネージャーの「カメラ」と「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラー」の項目に「USB Camera」が自動的に追加されます。

対応OSは「Windows 10」、「Windows 10 IoT Enterprise」、「Windows 8.1(64bit)」、「Windows 8.1(32bit)」、「macOS 10.12~11」、「Chrome OS」となっており、いずれの場合でもドライバーの手動インストールは不要です。

ディスプレイが薄いノートPCに取り付ける場合はややコツが必要ですが、下の写真のようにどこで支えるのかを確認すれば手間取ることはないはず。スタンドにはゴムが貼られているので、よほど乱暴に取り付けなければディスプレイに傷が入ることはありません。

なお、カメラ設定アプリ「Camutil(カムチル)」が用意されており、明るさ、コントラスト、鮮やかさ、鮮明度、ホワイトバランス、ちらつき補正(60Hz/50Hz)、顔追尾モードなどを設定可能です。必須アプリではないですが、「TC-MSC200」を常用するならインストールしておきましょう。

ディスプレイの前面、上側面、背面で支えるので、ディスプレイが薄いノートPCでも固定可能です

USB2.0以降の端子に接続。USB Type-C端子しかない場合は、同梱のUSB変換アダプター(Cオス-Aメス)を使用します

セットアップはこれで完了。ソフトウェアのインストールは必須ではありません

デバイスマネージャーの「カメラ」と「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラー」の項目に「USB Camera」が追加されていれば正常にセットアップが完了しています

「Camutil(カムチル)」では、明るさ、コントラスト、鮮やかさ、鮮明度、ホワイトバランス、ちらつき補正(60Hz/50Hz)、顔追尾モードを設定可能。なおプレビューを確認するため、なんらかのカメラアプリを実行しておく必要があります

AI顔追尾機能については非常に優秀、画質はやや暗め

「TC-MSC200」を実際に使った感想ですが、まずAI顔追尾機能については非常に優秀です。素の顔でしっかりと追従するのは当然として、マスクをしたり、さらにはサングラスを装着してもAI顔追尾機能が正常に動作しました。どうやら目、鼻、口だけではなくて、肌の色なども含めて判定を行っているようです。

フレーミングのスピードについてはちょうどいいですね。素早く移動するとフレームから出てしまうことはありますが、これ以上速いとビデオ会議の相手が酔ってしまう可能性が高いです。ただし、どんなに速く動いてもフレーム内に顔を収め続けるモードがあってもいいなぁとは思いました。

画質については、筆者の部屋では標準設定でやや暗めに写る傾向がありました。室内灯下で明るく撮影するためには前述の「Camutil(カムチル)」を使うか、補助用のLEDライトを組み合わせたほうがよさそうです。解像度は360万画素CMOSセンサーを搭載しているだけに実用十分です。しかし、フォーカスが固定で最短撮影距離が50cmなので、ノートPCに取り付けている場合は多少距離をとる必要があります。

カメラ右横のランプは、待機中は緑色、撮影中は赤色で表示されます。もうちょっと目立ってもいい気がしますね

カメラ右のマークをタッチすると、AI顔追尾機能のモードをオン、ポーズ(構図固定)、オフと切り替えられます

AI顔追尾機能のモードは右上にアイコンで表示されます。左がオン、中央がポーズ。オフでは右のようになにも表示されません

マスクどころか、サングラスを装着しても、AI顔追尾機能が正常に動作します

Windows 10の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ、AI顔追尾機能オン)

Windows 10の「カメラ」アプリで撮影(HDRオン、AI顔追尾機能オン)

Windows 10の「カメラ」アプリで撮影(HDRオン、AI顔追尾機能オフ)

会議室で共用する多人数用Webカメラとしてはコスパ優れる一台

オートフォーカスが搭載されていない点は残念ですが、会議室などで多人数のビデオ会議をするなら、ある程度の距離をとるので十分でしょう。会議室に常設し、複数人で共用する多人数用Webカメラとしては、コスパに優れる一台です。

ジャイアン鈴木

筆者プロフィール:ジャイアン鈴木

EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。