1300万画素カメラを3基搭載して180度視野のパノラマを実現

 「Jabra PanaCast 50」(実売価格15万円前後)は1300万画素のカメラを3基搭載した「ビデオバー」。3基のカメラの映像を組み合わせることにより、水平180度、垂直54度の広視野角、3840×1080ドット/30fpsのビデオ撮影機能を実現しています。また、ボディーには8つのビームフォーミングマイク、2つの50mmウーファー、2つの20mmツイーターが内蔵されており、残留エコーと静的ノイズを自動的に識別して除去可能と、音声面にも注力しています。

 対応OSはWindows 10とmacOS 10.15以降。専用ユーティリティー「Jabra Direct」をインストールすることで、詳細な設定やマニュアルコントロールが可能となります。

 本体サイズは650×80×125mm、重量は2200g。設置方法は壁掛け、VESAマウントを利用したディスプレイへの装着、テーブルへの設置の3種類が用意されています。ただし、後者ふたつには別売の「スクリーンマウント」(1万4300円)、「テーブルスタンド」(1万4300円)が必要となります。

本体前面。ボディーには8つのビームフォーミングマイク、2つの50mmウーファー、2つの20mmツイーターが内蔵。カラーは写真のBlackのほかに、Greyが用意されています
本体背面。今回はテーブルスタンドを装着した製品を借用しています
テーブルスタンドを装着した状態の奥行きは実測140mm
前面中央部に1300万画素カメラを3基搭載しています
本体背面左のスリットは排熱用です
背面中央付近にはBluetoothボタン、電源端子、3.5mmオーディオ入力端子、リセットスイッチ、USB Type-C端子、有線LAN端子が配置されています
本製品に同梱されるのは本体、ACアダプター、電源ケーブル、USBケーブル、ウォールマウントのみ。本体に接続されているテーブルスタンドと「Jabra PanaCast 50リモートコントローラー」(9900円)は別売りです

 本製品をフル活用するために合わせて導入したいアクセサリーが「Jabra PanaCast 50リモートコントローラー」です。Jabra PanaCast 50本体とBluetooth接続しておけば、パソコン不要で直感的に、そして手元を見ずに操作可能です。ただ「Jabra Sound+」をインストールしたスマホからも同様の操作ができます。物理的な操作感にこだわりがないのであればJabra Sound+で代用してもよいでしょう。

Jabra PanaCast 50リモートコントローラーは、カメラビューの調整、ズームイン・ズームアウト、ボリュームアップ/ダウンなどの操作を直感的に操作可能です
Android、iOS用にスマホ用アプリ「Jabra Sound+」を用意。Jabra PanaCast 50リモートコントローラーと同時利用できるので、複数人でJabra PanaCast 50を操作できるというメリットもあります

インテリジェントに参加者、話者を自動撮影できる

 Jabra PanaCast 50は180度の広い視野(Field of View、FoV)を実現しているのが最大の特徴。それに加えて、人数と人の位置を把握して全員を自動的にフレームに収める「インテリジェントズーム」、180度FoVビデオと8本のマイクによるビームフォーミング技術で話者を判断し、話者を自動的にフレームに収める「バーチャルダイレクター」機能が搭載されています。

 今回は筆者ひとりで部屋の中を歩き回ってテストしてみましたが、スムーズに追従し続けるのではなく、映像の外に移動すると数秒後に人物を中心にした映像に切り替わるという挙動でした。ビデオ会議用途ということでせわしなく人物を追いかけ続けるのではなく、数秒ごとに映像を切り替える仕様となっているわけです。

映像の外に移動すると数秒後にカメラが切り替わります。垂直の視野角は54度とさほど広いわけではないので、適切な角度調節が必要です
Jabra PanaCast 50で撮影。室内灯下でも明るく、自然な色味ですね
オートズーム時の画面遷移の速度は「Video transition style」で、オートズーム時の絞り込み速度は「Automatic Zoom speed」で調整可能です

 ビデオ会議時に特に重宝しそうな機能が、ホワイトボードの内容をライブストリーミングできる「ライブホワイトボードストリーミング」。あらかじめホワイトボードの位置を設定しておけば、「Camera controller」などから操作することにより、通常の映像とホワイトボードの映像を素早く切り替えられます。専用ユーティリティー「Jabra Direct」に実装されているので、ビデオ会議ソフトを選ばず本機能を活用できるわけです。

筆者の部屋にはホワイトボードがないので、プロジェクターの投影映像をホワイトボードの代わりに指定してみました。ビデオ会議ソフトに依存せず、通常映像とホワイトボード映像を切り替えられるのは便利ですね

 いまのご時勢ならではの機能が、人数と人の位置、動きを検知して、会議室の利用状況を管理(ライブ セーフティー インサイト)したり、会議室の利用人数を監視(ライブ イン ルーム ガイダンス)する「ピープルカウント」。あらかじめ設定した会議室の利用人数をオーバーすると、赤く脈打つように点灯して警告する「Room Capacity Notification」などを利用できます。会議室での密な状態を避けるように促せるわけです。

「Safety capacity limit」に人数の上限を設定しておけば、それを超えたときに警告してくれます

パーソナルビデオ会議向けの「Jabra PanaCast 20」もラインナップ

 Jabra PanaCast 50が会議室向けソリューションであるのに対し、個人向けに用意されているのが「Jabra PanaCast 20」です。こちらはディスプレイの上などに設置可能なコンパクトモデル。4K UHDによる高画質撮影機能を備えており、自分を中心に映し出す「インテリジェントズーム」機能、どんな照明でも適切な画質に調整する「インテリジェントライトオプティマイゼーション」機能、メイン映像にクローズアップ映像を結合してストリーミングする「ピクチャインピクチャ」機能などが搭載されています。専用ユーティリティー「Jabra Direct」はそのまま利用できるので、自宅用の高画質ウェブカメラとしてピッタリの1台です。

Jabra「Jabra PanaCast 20」3万5000円前後。レンズ前にはプライバシーカバーが用意されています
携帯に便利な専用ケースが同梱
Jabra PanaCast 20で撮影。4K UHDだけに本棚の背表紙もしっかり読める解像感が確保されています

まるで専属カメラマンが撮影してくれるかのようなビデオ会議が可能

 こうしたウェブカメラには、パン・チルトに対応した製品も発売されています。しかし、3基の1300万画素カメラで180度の画角をカバーしているJabra PanaCast 50は、話者が代わっても素早く映像を切り替えられるというメリットがあります。稼働部分がないので故障の可能性が低いのもビジネス用途には重要なポイント。まるで専属カメラマンが撮影してくれるかのような多人数でのビデオ会議を実施したいのであれば、Jabra PanaCast 50は有力な選択肢と言えます。