【特集】Windows 10 EOS
2025年のビジネスチャンス獲得への備え
数年前から対応が迫られていたWindows 10のEOS(サポート終了)が1年後に迫っている。前回のWindows 7EOSでは期限間際に多くの企業が一斉にWindows 10搭載PCを導入したためデバイスの調達やエンジニアの確保が間に合わず、ビジネスチャンスを取りこぼした企業も少なくなかった。今回のWindowsのアップデートは、企業で使用されている約2,000万台※1ものWindows 10搭載PCが対象となる。この大きなビジネスチャンスを漏れなく獲得するには、今すぐに準備を整えておく必要がある。
ビジネスチャンスは3年分の法人需要
約2,000万台のPCがWindows 11へ移行
Windows 10EOSまで残り1年となった現時点で、Windows 11への移行はどれくらい進んでいるのだろうか。IT専門の市場調査会社であるMM総研の調査では、法人ユーザーの35〜40%※2がすでにWindows 11を利用しているとしている。また日本マイクロソフトが特定の法人ユーザーを対象に実施した調査では、30〜35%※3がWindows 11を利用中だという。いずれにしても60〜70%の企業がこれからの1年間でWindows 11に移行することになり、その台数は最新の調査で約2,000万台※1に上る。
日本マイクロソフトでWindowsの法人向けビジネスを担当する仲西和彦氏は「エンタープライズでは8割がWindows 11への移行が完了しているとみています。しかしSMB(中堅・中小企業)では、Windows 11への移行に向けて具体的な計画を立てて動き出している企業が4割で、残りの6割はまだ何もしていないとみています」と説明する。
国内の法人向けPCの年間出荷台数は600〜700万台で推移している。Windows 11への移行を控える約2,000万台という数字は3年分の需要規模となり、この大きなビジネスチャンスをいかに漏れなく獲得するかがITビジネスに携わる企業の大命題だ。
OSのアップデートはコストから投資へ
ユーザーは移行するメリットを認識
Windows 10 EOSビジネスを進めるに当たり、Windows 11への移行に対するユーザーの意識を捉えておきたい。仲西氏は「従来はOSのアップデートをコストと捉える企業が大半でしたが、今回は企業における投資の一環であると捉えられています」と指摘する。
Windows 7 EOSではサポートが終了することによってセキュリティリスクが高まることを理由に、ユーザーが望まなくてもWindows 10に移行しなければならないという消極的な意識だった。ところが今回はWindows 11を利用するメリットがあり、Windows 10 EOSをきっかけに移行しようという積極的な意識に変わっている。
ユーザーが期待するWindows 11のメリットには二つのポイントがある。一つ目はWindows 11がAIの活用に適していることだ。Windows 11にはCopilot in Windowsに代表されるような、OSの設定操作やプロンプト活用ができるさまざまな新機能が無償で提供される。
さらにAI処理に優れたAI PCと市場で呼ばれるPCや、よりAI処理性能を向上させたCopiot+ PCなどのPCを活用すれば、リコール機能※4やWindows Studio エフェクト、ライブ キャプション、Co
creatorなどビジネスでもプライベートでも活用できるAI機能が利用できる。さらにマイクロソフト以外のベンダーからも、Windows 11向けにさまざまな用途のAIアプリケーションが多数提供される予定だ。
二つ目はAIの利用で生じるリスクへの対策ができることだ。AIには膨大なデータの中からユーザーが必要とする情報を容易に発掘できるメリットがある。その半面、AIを通じて意図せず機密情報にアクセスしてしまい、情報漏えいにつながるリスクもある。Windows 11はこうしたAIの利用で生じるリスクに対しても配慮して設計されている。
AutopilotとMicrosoft 365の提案で対応キャパシティとビジネスを拡大
Windows 11への移行を先送りしている企業も多い。そこには二つの課題があると仲西氏は指摘する。一つ目は「アプリケーションの互換性への不安」、二つ目は「エンジニアの確保とスケジュールへの対応の難しさ」だ。
仲西氏は「Windows 7からWindows 10への移行と比較して、Windows 11への移行は6カ月早いペースで進んでいます。それはWindows 10とWindows 11でアプリケーションの互換性が99.7%※5と非常に高く、移行にかかる時間が削減されているからです」と、アプリケーションの互換性への不安がWindows 11への移行を先送りする理由にならないことを指摘する。
慢性的な人材不足の中でエンジニアの確保はITビジネス全般において常に課題となっている。そのためWindows 11への移行を先送りするほど、エンジニアの確保が難しくなる。また遠隔地に複数の拠点を展開している企業では、現地で対応するエンジニアのスケジュールを組み立てることも困難だ。こうした「人手」の課題を解決するのがWindows Autopilot(以下、Autopilot)だ。
Autopilotを利用すればリモートでWindows PCの初期設定や環境構築を自動で行え、Windows 11への移行に伴う現地対応が不要になるなど、エンジニアの業務を大幅に削減できる。
仲西氏は「企業はWindows 11搭載PCの購入先を、価格ではなく希望するスケジュールに対応できるかどうかで選びます。Windows 10 EOSビジネスの売り上げを伸ばすには、Autopilotでエンジニアの業務を効率化して、より多くの案件に対応できるキャパシティを増やすことが求められます」と強調する。
ただしAutopilotの効果を引き出すには、顧客の環境にMicrosoft Entra ID(旧 Azure Active Directory / 以下、Entra ID)とMicrosoft Intune(以下、Intune)が導入されている必要がある。
Entra IDとIntuneは個別に導入することも可能だが、これらが含まれるMicrosoft 365を導入しておくことが望ましい。なぜならMicrosoft 365の各アプリケーションがCopilotと連携して生産性向上や業務の効率化をもたらすことと、Microsoft 365で提供されるEntra IDにIAM(Identity and Access Management)が提供されており、IDごとのアクセス権限を管理してAI活用時の機密情報の漏えいリスクへの対策ができるからだ。つまりAIの活用においてWindows 11とMicrosoft 365の組み合わせは最適解の一つである。
仲西氏は「EOSに合わせてAutopilotとMicrosoft 365を組み合わせて提案する準備をぜひ整えてください。Windows 10 EOS ビジネスにおいて、クライアントだけではなく企業インフラ、AIの提案は大きなビジネスチャンスです。ダイワボウ情報システム(DIS)さまはAutopilotのセミナーを定期的に実施していますので、まずはそちらに参加してAutopilotの仕組みとメリットを理解してください」とアドバイスする。
※1 MM総研の調査 ※4 近日提供予定
※2 MM総研の調査 ※5 マイクロソフト調べ
※3 日本マイクロソフト調べ
ダイワボウ情報システムが提供する Windows Autopilot について、詳しくは下記をご参照ください。
https://www.idaten.ne.jp/portal/page/out/wmbc/zerotouchtop.html