紹介するDXサービス:ProVoXT(アドバンスト・メディア)、Notta(Notta)、オンヤク(ロゼッタ)

議事録作成の煩わしさを解消したい

ビジネスにおいて会議は付きものだ。そして、そんな会議に欠かせないのが、議論の内容や決定事項などをテキストで記録した議事録である。議事録を作成する担当者は、会議参加者の発言を聞き逃さないようにメモを取り、内容を正確にまとめるといった作業が求められる。しかし、速いテンポで進む議論にメモが追い付かなかったり、要点をまとめるのに時間がかかったりするなど議事録の作成が負担となっているケースも多い。こうした問題を解決するべく、議事録作成の煩わしさを解消する製品を提案したい。

認識の齟齬をなくす

 会議で議論された内容や決定事項などを参加者や関係者と共有する上で、欠かせないものが議事録だ。何を目的として会議が行われ、どのような意見が出て、結論はどうだったのかといった内容を記録しておくことで、個々人の認識のズレや情報の把握漏れなどを防げる。

 会議に参加していない関係者に対する情報共有としても議事録は大きな役割を担う。情報共有する際、口頭で内容を伝えることもできるが、伝達漏れや誤った解釈をされるといったトラブルが生じやすい。議事録で情報を共有することで、正確な内容をスムーズに伝えられるのだ。

 また、数時間にわたる会議の内容を参加者の記憶だけを頼りにするのは不安が残る。発言を聞き逃していたり、聞き間違えていたりして、後に「言った」「言わない」という水掛け論に発展する恐れもある。決定事項の内容や期限、担当者などの詳細の情報を議事録で明確にしておくことで、トラブルを未然に防げる。正しい情報を記録して共有する議事録は、業務やプロジェクトを滞りなく進めていくために重要な存在だ。

議事録作成が担当者の負担に

 議事録に関して、その重要性は理解しつつも実際に作成する立場になると、苦手意識を持つ人は少なくないだろう。

 議事録の作成が苦手だと感じる理由の一つとして、会議中のメモが追い付かないことが挙げられる。会議では、専門用語などの難しい言葉が飛び交い、議論が次々と進んでいく。重要事項を聞き逃してしまうなど、メモが追い付かなくなるという問題が発生しやすい。この問題に対してボイスレコーダーを活用するケースが増えているが、それによって文字起こしに時間がかかるなどの新たな課題が生まれている。

 また、Web会議の普及によって、昨今ではグローバル会議を実施する機会が増えている。これによって生じるのが言語の問題だ。英語、フランス語、中国語などさまざまな言語が飛び交う中で、日本語に翻訳して議事録を作成するのは大きな労力がかかってしまう。

 こうした悩みを一掃するのが、議事録作成に必要な文字起こしや会議内容の要約などの作業を自動で行う議事録作成ツールだ。今回は、アドバンスト・メディア、Notta、ロゼッタに製品を提案してもらった。

クラウド上で手軽に文字起こし

ProVoXT

アドバンスト・メディア
初期費用:11万円
1万4,300円〜/月(10時間パック)

 AI音声認識技術「AmiVoice」を搭載したクラウド型の音声ファイル文字起こしサービス「ProVoXT(プロボクスト)」を提案する。ProVoXTは、議事録ソリューションを一元化したプラットフォーム「VoXT One(ボクスト ワン)」で提供しているサービスだ。

 音声ファイルをクラウドにアップロードするだけで手軽に文字起こしが行える。インターネットに接続できる環境であれば、場所を問わず利用が可能だ。人の手で行うと時間のかかる音声の聞き取りや書き取りなどの作業を素早く効率的に実現できるようになる。

 AIを活用した音声認識技術であるAmiVoiceには、最新のディープラーニング技術やその発展技術であるリカレントニューラルネットワークの「Bidirectional Long Short-Term Memory」(Bi-LSTM)が実装されている。これにより、ProVoXTは誤認識の少ない精度の高い文字起こしを実現する。

 ProVoXTには議事録作成をサポートする機能が備えられている。ChatGPTと連携し、文字起こしの結果から会議の内容を自動で要約したり、クラウド上で編集や要約内容を共有したりできる「議事録エディタ」機能だ。議事録作成における負担を軽減し、作業の効率化に貢献する。

 柔軟な利用形態も魅力だ。ProVoXTは、利用⼈数の制限がないため、1部署から全社利用までさまざまな規模での運用ができる。小規模からスタートして、アカウントを増やしていくといった無駄のない運用が可能だ。マルチテナント方式を採用しており、部署ごとなどでそれぞれアカウントの作成や設定が行える。

 ProVoXTは500社以上の導入実績を持ち、幅広い業種や業界で導入されている。総合行政ネットワーク(LGWAN)の環境でも利用できるため、地方公共団体においても広く導入が進んでいる。

 ProVoXTは機能強化にも力を入れており、今後は要約機能のバージョンアップを図っていく予定だ。

あらゆる場面での音声をテキスト化

Notta

Notta
ビジネスプラン:4,180円/月(1アカウント)

“会話の中から無限大の可能性を発見する”をコンセプトに、高精度の音声認識とAI要約機能を搭載した文字起こしツール「Notta」を提案する。Nottaは、会議やインタビューの音声をリアルタイムでテキスト化したり、要約したりすることが可能なクラウドサービスだ。音声ファイルをクラウドにアップロードするだけで、短時間でテキストデータに変換できる。「Microsoft Teams」「Zoom」「Google Meet」などのWeb会議システムに対応しており、会議の録音と文字起こしを自動で行う「Notta Bot」というAI機能を活用すれば、議事録作成における作業負担を軽減させられる。

 文字起こししたテキストはNotta内で検索でき、欲しい情報をすぐに探し出すことが可能だ。参加者全員の発話を認識して区別する「話者識別機能」を備えているため、誰が何を話したのか一目で把握できる。

 万全なセキュリティ体制を整えていることもNottaの特長だ。Nottaは、安全に情報を送受信するためのプロトコル「HTTPS」を使用し、ユーザーとサービス間のデータ転送を暗号化している。転送されるデータ自体も対称鍵暗号化と非対称鍵暗号化を組み合わせて暗号化しており、第三者からの盗難や改ざんを不可能にして、ユーザーのデータを保護する。

 また、定期的なデータのバックアップを実行し、不測の事態に備えてバックアップしたデータを国内のデータセンターに保存している。Nottaを安心して利用できる環境が整えられている。

 Nottaは、Web版やスマホアプリ版をはじめ、複数の端末で利用可能だ。データは全て自動的に同期されるため、外出先や移動中など利用シーンを問わず活用できることも導入しやすいポイントである。業種を問わずさまざまな企業で導入されており、4,000社を超える実績を持つ。議事録作成の効率化はもちろん、会話の中から無限大の可能性を発見するためのツールとして役立てられるだろう。

多言語対応で言葉の壁をなくす

オンヤク

ロゼッタ
Standard:99万円/年(900時間利用可能)

 音声会話を認識し、リアルタイムで翻訳・表示できるAI音声翻訳ツール「オンヤク」を提案する。オンヤクは、音声翻訳および議事録作成に焦点を絞って開発されたツールだ。「Microsoft Teams」「Zoom」などのWeb会議、オフライン会議、動画といったさまざまな音声会話に対応する。高精度の音声認識エンジンと翻訳エンジンを組み合わせて搭載しており、音声が悪い場合でも正確な読み取りが行える。

 オンヤクは英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語など100言語以上に対応する。各参加者は母国語でコミュニケーションが可能だ。3カ国語以上の人が参加する会議であっても各々の言語に翻訳できる。オンヤクを活用すれば、相手の言語が話せない場合や通訳者が不在の際でも、グローバル会議で円滑なコミュニケーションが図れるようになる。また、最上位のウィンドウに発言テキストをテロップ表示する「オーバーレイ」機能を搭載しており、一つの画面で資料を共有しながら利用できる。国際的なプレゼンテーションイベントなどにも役立てられる。

 オンヤクは、リアルタイムでのテキスト表示だけではなく、会議終了後にテキストデータの出力が行える。時間、発言者、発言内容が全て記録されているため、正確な議事録を簡単に作れる。翻訳機能を利用する場合には翻訳結果も表示されるため、議事録作成の手間を大幅に軽減できる。セキュリティにも配慮しており、ユーザーのデータの蓄積はせず、二次利用されることは一切ない。

 こうしたさまざまな特長を持つオンヤクは、大学の講義、社内会議、国際イベント、取締役会など業種、業界を問わず多様な用途で活用されている。聴覚支援システムとしても役立てられる。

 今後もオンヤクは、UI・UXの使い勝手の向上や、音声認識による話者の自動判別といった機能追加を行うなどバージョンアップを図っていく予定だ。