クラウドストレージとSSDの組み合わせでデータを二重化!

テーマ:SSDで安心バックアップを取ろう

データの保持は原則として自己管理だ。クラウドストレージを利用するのがベストだが、ポータブルSSDを併用することでより安心して利用できる。時間の節約にもなるので、ぜひ一台手元に置いておきたいデバイスだ。

ポータブルストレージの選び方

 ポータブルで持ち歩けるストレージとしては、USBメモリーがおなじみだ。

 1,000円程度から買える価格も魅力だが、データ転送が遅く、転送するファイルの容量が大きいとイライラする。もちろん、高価なモデルはそれなりに速いのだが、ならば容量の大きなポータブルSSDを入手してはいかがだろう。

 今回は、バッファローのポータブルSSDを例にバックアップに使うメリットを紹介していく。

 なお、ポータブルSSDは1TB程度の容量は普通になってきたので、ポータブルHDD代わりにも利用できるが、容量とコストは、ポータブルHDDに軍配が上がる。こちらも製品を紹介する。

 まずは、今回参考に紹介する三つの製品を簡単にレビューしよう。

「SSD-PH1.0U3-BC」
 シンプルで小型なポータブルSSDだ。容量は1TB(2万2,220円)と500GB(1万4,410円)があり価格も手頃。本体はコンパクトで、気軽に持ち歩けるが金属製なので冷却効果が高く、頑丈なのが特長。ケーブルで接続するのが面倒だが、USB Type-CとUSB Type-Aが利用できるのがメリットだ。データ転送速度は最大1,000MB/sと高速なので、大量のデータを持ち運ぶのにも向く。

「SSD-SCT2.0U3-BA」
 USBメモリータイプのコンパクトなポータブルSSD。容量は500GB(1万2,760円)、1TB(2万1,780円)、2TB(3万6,850円)まで3タイプそろっている。コネクターに挿すだけで使えるのがメリットだが、USB Type-C端子に利用する際にはアダプターが必要になるので面倒だ。USB Type-A端子で使いたい方にお薦めする。データ転送速度はリード600MB/s、ライト500MB/sと、仕事の書類を中心に扱うなら十分に高速だ。

「HD-PGAC2U3-BA」
 ポータブルHDDで、USB Type-CとUSB Type-Aケーブルが付属してどちらでも使える。1TB(1万1,660円)と2TB(1万5,950円)がラインアップされており、SSDに比べると価格が抑えられている。耐衝撃性の強さが魅力だが、SSDに比べると読み書きが遅い。

 以上、3種類のポータブルストレージを紹介した。ほかのメーカーからも多くの製品が出ている。以前なら、大容量のデータを扱う人こそ、HDDを選ぶ傾向があった。そもそもの容量が大きくコスパに優れるからだ。

 だが、実際に使ってみるとそれが正しくないことが理解できるだろう。大容量データを読み書きする際の時間が大変にかかるのだ。僕なら頻繁に容量の大きなデータを扱うときこそ、SSDを選ぶ。HDDを選ぶべきなのは、PCに保存されている全てのファイルを一晩かけてコピーし、丸ごと持ち運ぶような用途だ。つまり、書き込みの時間が気にならないときにこそお薦めする。PCを買い換えるようなときにも向くだろう。

 気になる容量は、後述する使い方に合わせて選べば良い。もちろん、自分が保存しているファイルの総量も参考に選択するべきだ。

SSD-PH1.0U3-BC
今回取り上げた中では一番お薦めのポータブルSSD。USB Type-C とA で利用可能で、データ転送速度も高速だ。
SSD-SCT2.0U3-BA
USB メモリーのようなコンパクトなポータブルSSD。USB Type-C で利用する際には同梱されているアダプターが必要になる。
HD-PGAC2U3-BA
そろそろ、ポータブルHDD はSSD に切り替わりそうだ。とはいえ、まだ容量あたりのコストは魅力と言えるだろう。
ポータブルストレージはどんどん小型化しており、気軽に持ち歩ける。iPhone 12 mini と比較するとその小ささが際立つ。だからこそ紛失には気を付けて、ファイルを暗号化しておきたい。

ファイルの保存は自己責任だ

 書類などを作成したファイルの管理は、原則として自己責任だ。間違って削除して失われても誰も助けてくれない。

 そこで、バックアップが重要になる。会社によってファイル管理のルールは異なるわけだが、これから説明する方法を多くの企業で採用して欲しいと思っている。会社のファイルサーバーにVPNで接続してファイルをやりとりする方法は、速度が遅いケースが多くてストレスがたまる。

 基本的に、仕事のファイルはクラウドストレージに保存するべきだ。個人的なお薦めはMicrosoft Officeの親和性が高いOneDriveで、ほかのクラウドストレージを使うメリットはあまり見いだせない。もちろん、コストなどで差があるならばその限りではないが。

 クラウドストレージに保存しておけば、操作ミスを除いてファイルが失われる可能性はゼロに近い。その上で、ポータブルストレージを組み合わせて使うメリットを紹介しよう。

 最近は、ビジネスでも動画を扱う機会が増えている。視察で撮影したビデオを保存したり、プレゼンのスライドに動画を貼り付けたりすることもある。

 こんな動画はファイルの容量がとにかく大きい。これらをクラウドストレージに保存するのは、通信環境によって大変に時間がかかる。特に出先でスマホの回線を使っていると、運用は困難だ。

 そんな時に、ポータブルSSDが役立つ。ファイルを二重化して、万一のトラブルも事前に防げるわけだ。

「SecureLock Mobile2」は、ファイルを暗号化してパスワードを設定するツールだ。
SSD-PH1.0U3-BCは、高速なデータ転送に対応しており、大きなファイルも短時間でコピーできる。

出張時のデータ持ち運びにも

PCへの接続は、USB Type-CかAになる。自分のPCの端子をチェックして接続方法を把握したい。SSDが高速でもPCが古く、USBポートが低速だと速度は出ないので注意したい。

 僕は、自分で利用している全てのファイルをメインマシン内蔵のSSDとクラウドストレージに保存して二重化している。使う可能性のある書類の総容量は2TB近いので、モバイルノートのストレージには収まらない。そこで、OneDriveのファイルオンデマンドを利用している。つまり、ファイルはOneDrive上にあり、モバイルノートにはアイコンが表示され、必要に応じてダウンロードするのだ。

 これで問題なく使えているのだが、出張の際には、ポータブルSSDに利用するファイルを転送して持っていくことが多い。そもそもファイルの容量が多いと、モバイルノートのストレージにダウンロードして使うのが厳しいし、地方や海外では通信環境が劣悪な可能性があり、ファイルオンデマンドで苦労したくないからだ。ホテルのWi-Fiが遅く、ファイルオンデマンドがまともに使えなかった経験は数え切れないほどある。特に海外では、モバイルデータ通信を利用したとしても、容量制限があるのでファイルオンデマンドで全て使うのは無理があるのだ。

 ポータブルSSDなら、こうしたデータを二重化する活用がストレスなくできる。ファイルの転送が早いので、出掛けにサッとコピーしたいときにも待たされないのだ。使い勝手と安心感を考えれば、1~2万円程度で買えるポータブルSSDは、お薦めのデバイスと言えるだろう。

 今回のバッファローの製品は、ファイルを暗号化する機能も搭載しているので、万一紛失したとしてもある程度は安心だ。もちろん、OSがWindows ProならBitLockerを利用して暗号化するのも良い方法だ。

※価格は全て税込み