業種に特化した機能を有したSaaS型ERPで
日本の製造業の競争力強化を支援する
——京セラコミュニケーションシステム

クラウドERPを提供しているベンダーは少なくないが、汎用的なERPシステムは業種に特化した業務フローをサポートすることが難しいケースもある。そうしたニーズに対して京セラコミュニケーションシステムが提供しているのが、製造業向けERPソリューション「Infor SyteLine」のSaaS製品「Infor CloudSuite Industrial (SyteLine)」だ。



 京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)は、米国に本社を置くインフォアの製造業向けERPソリューション「Infor SyteLine」を、日本の製造業に販売している。KCCSは8年連続でインフォアのゴールドパートナーの地位を獲得するなど、数多くの製造業にInfor SyteLineを導入してきた実績がある。同社のカスタマソリューション事業部 ERPソリューション1部 副部長 兼 西日本ERPソリューション3課 課長の山田 篤氏は、数多くの導入経験を基に昨今のERPの導入傾向について「大企業を中心に、オンプレミス型ERPからSaaS型ERPへの移行が進んでいます。中堅企業でも今後SaaS型ERPへの移行が進んでくるでしょう」と語る。

 少子高齢化が進み、労働人口が減少していく中で、IT人材の不足も加速化している。それに伴い中堅企業の環境では、既存のオンプレミス型ERPの運用管理が難しくなっていくだろう。まだSaaS型ERPへ移行していない企業は、企業競争力を強化するためにもクラウドシフトが不可欠となると言える。

 そうしたクラウド移行に対する企業からのニーズに、KCCSはSyteLineのSaaS製品「Infor CloudSuite Industrial (SyteLine)」(以下、CSI)を提案している。

 KCCS カスタマソリューション事業部 ERPソリューション1部 東日本ERPソリューション1課 課長 臼井尚大氏はCSIの特長を次のように語る。「SyteLineは製造業界に特化したERPですので、製造業の業務で必要になるプロセスや業務フローがあらかじめ組み込まれている使いやすさが特長です。それに加え、通常SaaS型ERPは企業に応じたカスタマイズができませんが、CSIは入力項目などをカスタマイズ可能です。例えばお客さまの業務で必要な入力区分などの項目を簡単に追加できます。また、SyteLine自体がマイクロソフト製の技術基盤で構築されており、受発注データなどをExcelファイルからコピー&ペーストするだけで、SyteLineに登録できます」

京セラコミュニケーションシステム
山田 篤
京セラコミュニケーションシステム
臼井尚大
京セラコミュニケーションシステム
洪 錫柱

グローバル展開に適した機能

 SyteLineはマルチ言語、マルチ通貨、マルチサイト、マルチDBに対応しており、全世界で6,000拠点以上、日本国内で200拠点以上に導入されている。そのためグローバル展開している企業に適したERP製品なのだ。

「グローバルで利用されているため、各国にインフォアの販売パートナーがいます。現地のパートナーと連携しながらSyteLineを導入することで、現地の法制度などに準拠した整備も行えますし、グローバルで同一のERPを整備することにより、業務の効率化にもつながります。実際、当社からSyteLineを導入いただいたことのある企業さまからは、海外拠点を含めた業務プロセスの全体最適化を実現できたという声がありました」とKCCS ソリューション営業統括部 ビジネスソリューション営業部 部長 洪 錫柱氏。

 CSIはAWS環境で構築されているため、信頼性、セキュリティ性、拡張性にも優れている。データは国ごとで三つのエリアのデータセンターに保存されており、万が一の災害があった場合でもERPの運用を継続できる。山田氏は「最近はほぼ全てのお客さまがSaaS型ERPを選択しています。SaaS型ERPは生成AIなど最新のテクノロジーがいち早く実装されます。これまでのオンプレミス型ERPは守りのためのIT投資でしたが、SaaS型ERPはこうした最新のテクノロジーによるデータ活用など、ビジネス拡大を支援する攻めのIT投資につながるソリューションです。SaaS型ERPを利用することは、ビジネスを現状維持するのではなく、持続可能にしていくためのサステナブルな手段と言えるでしょう。日本の製造業を元気にするため、業種に特化したインフォア製のERPを提案することでお客さまのビジネスを盛り上げていきたいですね」と語った。

Infor CloudSuite Industrial(SyteLine)のUI画面。カスタマイズも可能な点が製造業にとってもうれしいポイントだ。
工程管理に便利なガントチャートで進捗状況の把握もできる。

特殊性の高い業務にも対応
顧客のニーズに寄り添うオールインワンERP
——ビジネス・アソシエイツ

ERPシステムは一般的な業務プロセスに合わせて設計されていることが多く、製品によっては、企業特有の要件に完全には対応できない場合がある。輸出や輸入業務、外貨取引など業務の特殊性が高い企業にとっては、システムの導入をためらう理由の一つとなり得る。そうした企業のニーズに応えるのが、ビジネス・アソシエイツが提供する特化したオリジナルERPパッケージ「Plaza-i」だ。



 ビジネス・アソシエイツは1987年の設立以来、「経営とITの架け橋となること」という考えの下、基幹システムの設計・開発から導入支援、運用サポートまで一貫したソリューション展開を行う企業だ。そんな同社が提供しているのが、オリジナルERPパッケージの「Plaza-i」である。Plaza-iは、販売・購買・物流在庫といったフロント業務から債権・債務・財務会計・管理会計といった経営管理業務まで一元管理できる基幹業務システムだ。貿易商社や専門商社、輸出・輸入で外貨を扱う機械卸業、家具・インテリア会社、海運業、建設業、役務・サービス業など、多種多様な業種や業界に対応する機能を標準サポートしている。「Plaza-iは多通貨やバイリンガル(多言語)に対応しており、日本企業のみならず、外資系企業など、これまで400社以上の業種・業態に導入されてきました。輸出や輸入業務、外貨取引など特殊性の高い業務にも幅広く対応することが可能です。また、当社は公認会計士が創業した会社ということもあり、内部統制に配慮した会計システムなど会計機能にも強みを持っていると自負しています」と語るのは、ビジネス・アソシエイツ 代表取締役 社長 杉本大志氏だ。

痒いところに手が届く豊富な機能

ビジネス・アソシエイツ
杉本大志

 Plaza-iは、「一般会計」「固定資産管理」「債務管理」「債権管理」「為替予約」といった会計業務に関するモジュール、「販売管理」「購買管理」「物流在庫管理」「サービス業販売管理」といった販売業務に関するモジュール、「顧客管理」「人事管理」「ビジネス分析」といった経営業務に関するモジュールなど、さまざまな機能を用意している。

 また、顧客の多様なニーズに寄り添い、業務ごとに求められる要件を満たすことが可能だ。例えば、多通貨対応では、基準通貨(邦貨)での入力はもちろん、取引通貨(外貨)での入力や基準通貨への換算が行える。外貨での消込にも対応する。月末での外貨換算(実現・未実現為替換算差損益の計上・評価替え)および財務諸表換算処理をすることで、邦貨のほか、あらかじめ設定した通貨での財務諸表も出力可能だ。バイリンガル対応では、全ての画面・帳票をワンタッチで日本語/英語に切り替えられる。入力は日本語画面のまま、帳票を英語で出力するという使い方もできる。外資系企業をはじめ、多国籍のスタッフがいるグローバルな環境にも対応する。

 Plaza-iの特長の一つが、カスタマイズ対応だ。機能を新たに追加する際、他社製品では、顧客ごとにアドオン開発で既存のシステムに上乗せしていく導入方法が多い。一方で、Plaza-iは顧客のカスタマイズを、製品本体に組み込むワンソース・ワンパッケージによる対応を行っている。「追加開発機能はパッケージの標準機能として組み込まれます。ほかのユーザーのために行ったカスタマイズ機能を含め、全ての機能を無償バージョンアップで利用できます。法改正やOS更新時の対応なども無償でアップデートされます」(杉本氏)

 ビジネス・アソシエイツでは、今後もこうしたバージョンアップを随時行い、機能強化を続けていく予定だという。

やさしい・つながる・つよくする
三つの製品コンセプトで企業を支援
——NEC

DXの推進は企業にとって、従来の業務フローやシステムの見直しを図る大きなきっかけとなった。それに伴い、ERPソリューションの需要が拡大しているものの、自社の運用に合ったソリューションが見つからず導入に二の足を踏む企業は少なくない。そうした企業に向けてNECが提供しているのが、多様な機能性と柔軟な操作性、高い拡張性を兼ね備えたERPソリューション「EXPLANNER/Ax」だ。



 NECが提供するERPソリューション「EXPLANNERシリーズ」の歴史は深い。1973年にEXPLANNERシリーズの前身となるオフコン(オフィスコンピューター)用の業務パッケージ「APLIKA」の提供を開始して以来、時代の変化とニーズに応じながら現在のEXPLANNERシリーズへと進化を続けてきた。「EXPLANNERシリーズには、NECが約50年にわたって培ってきたノウハウが注ぎ込まれています。企業のニーズに寄り添い、日本固有の商習慣や法制度への対応も行っています。変化の激しいビジネスの状況に合わせて、お客さまを支援するソリューションです」とNEC インダストリアルDX統括部EXPLANNER第一グループ ディレクター 市島倫太郎氏は説明する。

 そんなEXPLANNERシリーズの新製品として、2024年3月から提供を開始したのが「EXPLANNER/Ax」だ。EXPLANNER/Axは、「販売」「債権」「債務」「会計」「人事」「給与」の六つのモジュールで構成されている。基幹業務の中核となる経営基盤を最適な形で構築が行える。一括導入だけではなく、必要なモジュールのみを選択して導入することも可能で、経営規模や業務の拡張に柔軟に対応する。

ユーザーに寄り添うやさしい設計

NEC
市島倫太郎

 EXPLANNER/Axは、「やさしい(User-Friendly)」「つながる(Connectivity)」「つよくする(Strengthen)」の三つの製品コンセプトを定義しており、業務効率化の実現をサポートする。「まず、ユーザーの利便性を考慮した“やさしい”設計であることに重きを置いています。直感的に分かりやすい操作性や機能性に優れた画面デザインなど、お客さまが慣れ親しんで使えるよう設計にこだわっています」(市島氏)

 “つながる”は、EXPLANNERシリーズと周辺の基幹システムやバックオフィスサービスとの連携を拡充させていることを示す。例えば、デジタルインボイスサービス「KMD Connect」と連携し、EXPLANNER/Axで生成したデジタルインボイスをKMD Connectを介して取引先企業へ送信するなどのことが実現可能だ。

 “つよくする”は、企業の経営力の強化に貢献するという意味だ。データドリブン経営の実践に役立つ「汎用データ出力」と、データ照合・分析ツール「ハイパーグリッド」という二つの機能を搭載しており、経営戦略に必要なデータを活用できるようになる。

 市島氏は「ERPはDXの起点となるシステムだと考えています。お客さまがDXを成し遂げていくために、今後もEXPLANNER/Axをはじめ、EXPLANNERシリーズの機能拡充を継続して行っていきます。そしてEXPLANNERシリーズの拡販に向けてパートナーさまとの連携もより深めていきたいと考えています」と意気込みを語った。