データマネジメント

データマネジメントとは、データを適切に活用できる状態を継続的に維持・管理すること。データの登録や更新、蓄積や可視化の手段なども含まれる。企業活動において日々膨大なデータが発生し、蓄積されている。このデータを資産と捉え、戦略的に活用してビジネスや生活を向上させるには、データマネジメントが不可欠だ。

データマネジメントが扱うデータには、「ビジネスデータ」と「メタデータ」の2つがある。ビジネスデータは一般業務で使うデータ、RDBに格納される構造化データ、企業や組織が所有するリソースデータ、販売実績などの集計系データ、テキスト・音声・画像・動画などの非構造化データがある。メタデータは、データを説明する(意味や桁・型など)データのことを指す。

データマネジメントはDX時代のデータ活用に欠かせないものであり、対応にはしっかりとした準備が必要となる。最も信頼できる情報源は「DMBOK(Data Management Body OF Knowledge)」である。DMBOKはデータマネジメントに関する知識体系がまとめられた書籍で、日本でも第二版「DMBOK2」が出版されている。DMBOK2ではデータマネジメントを以下の「11の領域」に分けて解説している。

  • データガバナンス:基本方針を策定して監督・サポートし、組織的な意思決定を行う
  • データアーキテクチャ:データの構造や配置、相互関係を計画・設計するためのフレームワーク
  • データモデリングとデザイン:データ間のプロセスを図示して可視化する
  • データストレージとオペレーション:データベースを設計し、実装し、サポートする
  • データセキュリティ:セキュリティポリシーや手順を立案、開発、実行し、適切な承認と権限付与を行い、アクセスを制御し、監督する
  • データ統合と相互運用性:データの移動を効率的に管理する
  • ドキュメントとコンテンツ管理:データベース外にある非構造化データの整備と管理
  • 参照データとマスターデータ管理:最新で一貫性があり、信頼性の高いデータを管理する
  • データウェアハウジングとビジネスインテリジェンス:データベースを構築し、分析や機械学習、業務のためにデータを提供する
  • メタデータ管理:データを説明するデータを管理する
  • データ品質:データ品質の基準を定め、現状を測定し、向上のための施策を講じる

データマネジメントを実行すると、データをもとに迅速な意思決定が可能となり、業務の効率化を図れる。RDBに格納できない非構造化データも管理できるようになるほか、データの更新日やアクセス権限が管理されるため、データ改ざんなどのリスクが低下し、セキュリティが強化される。

一方で、企業規模が大きくなるほど組織の横断的な対応に踏み切れない傾向がある。そのため組織間での連携がうまくいかず、データのサイロ化が起こる場合がある。また、効果が出るまでに時間を要するため、投資する価値を見極め難い。理解不足が取り組みを阻む要因となるので、会社にどんなメリットがあるのか、目標は何なのかを明確にすることが重要だ
(青木逸美)

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